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「ブロードキャスト」シリーズ

こんにちは、haruna🔖です。一昨日高校の卒業式を迎え、昨日はその疲れで一日中寝てました。(笑)
そんな私ですが、今回は高校の部活動を題材とした青春小説を紹介します。湊かなえさんの「ブロードキャスト」です。
主人公の町田圭祐(まちだけいすけ)は、中学時代陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していましたが、3年生の最後の大会、惜しくも出場を逃してしまいました。その後、親友である良太と高校でも陸上を続けると約束し、二人とも陸上の名門である青海学院高校に進学しますが、圭祐はある理由から陸上を断念します。
目標を見失った圭祐の前に現れたのは、同じ中学出身だという宮本正也(みやもとまさや)。彼は脚本家志望で、放送部に入るために青海に入ったのだと話します。そして、圭祐の声の良さを絶賛し、一緒に放送部に入ろうと誘ってきます。
「俺の作るドラマには、お前の声が必要なんだ。」
圭祐は、初めは全く興味が湧きませんでしたが、部活動紹介で放送部が全国大会に出場していることを知り、正也とともに見学に向かいます。
すると、いきなりコンクールに出す予定のテレビドラマへの出演を依頼されました。二人は緊張しながらも上手く役をこなし、正也は、逆に先輩たちの演出の解釈にダメ出しをし、それに対し3年生の一人が役を降りると言ってしまいます。結局その日問題が解決することはなく、翌日二人は、下駄箱に部長からの手紙が入っているのを見つけます。
そこには、謝罪の言葉と、抜けてしまった3年生の代役を探して欲しいという無茶なお願いが書かれていました。しかし、正也には心当たりがありました。それが、彼と同じクラスの久米咲楽(くめさくら)。昼休みに声をかけると、彼女は青海放送部OBである声優・小田祐輔に憧れていること、放送部に来たけれど怖くて逃げ出してしまったことを話し、代役を了承してくれます。3人はその後、放送部に正式に入部し、放送部の大会である「Jコン」の地区大会に向け、正也が脚本を務めるラジオドラマの制作に取り掛かります。圭祐は、制作を通じて放送部の活動の奥深さを知って行きますが、ある時、陸上部の顧問から「もう一度陸上をやってみないか」と誘われ、陸上部と放送部のどちらを取るかで悩むことになります。
有名なので知っている方も多いとは思いますが、この作者である湊かなえさんは、「イヤミスの女王」と呼ばれるほど後味の悪いミステリ作品が有名な方です。私自身、湊かなえさんの作品がとても大好きなのですが、ドロドロの物語が多いので、これを読み始めた時も、半分くらいまでは「これ最後誰か死んじゃうのかな」と思っていました。しかし「ブロードキャスト」は、対照的に読後感爽やかな青春小説でした。しかも、ただ爽やかなだけではなく、嫉妬や葛藤、「放送部=オタク」というレッテルや陰湿な仲間はずれなど、ネガティブな部分もくっきりと描き出されており、それによって更に放送部の活動のエネルギッシュな部分や輝きが際立っているように感じました。だからこの物語は、いつも人間の残酷な部分を描いている湊かなえさんだからこそ書ける青春小説なんじゃないかと感じました。
湊かなえさんファンの方も、初めて読むという方も、ぜひ一度読んでみて欲しい一冊です。
そして、「ブロードキャスト」が面白いと思った方は、ぜひ続編の「ドキュメント」も読んでみてください。








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