寒い人、これ読んでみ。文章で暖を取る試み。

なんという寒さだろうか。窓の外は、雪になりきれない冷たい雨が降っている朝である。冷え切った台所で昼の弁当、ウィンナー3本と目玉焼きでたるがそれの準備を済ませて今である。

さて、文章で暖を取ることは可能だろうか?などと考える。試みに、暖かい、いやなんなら暑いなと感じられるような文章を書いてみる。文章というか、そういうキーワードの羅列である。

アツアツのおでんのなべを温める卓上ガスコンロの火がラアラアと燃えている。それを眺める赤鬼の顔面は、火に照らされのが手伝っていつもの赤よりも赤い。途方もなく赤である。

こんな赤はきっと、灼熱の砂漠の夕暮れ時に燃える西の空でも、見られるまい。というほどの赤で、地獄で罪を犯した人間を炙る炎があるとすればこんな色をしているだろうという赤でもある。

ガラガラ音立てておでんの汁の表面から蒸気が上がっている。かつて、大分の別府に旅をしたことがある赤鬼は、地獄温泉のことを思い出していた。地獄繋がりである。

当時赤鬼はまだこの世に生を受けて4歳という子供であったが、地獄温泉の立て看板に「熱いので絶対に触らないでください」と書いてあるのを見た。観賞用の溜池風の温泉で、水面からは湯気がもうもうと出ており、触らなくても熱いのがよく伝わってくる。

白濁したお湯は、まったく光を透過せずにドロっとした、中華料理の餡を思い出させたが、それがまた赤鬼の中にアツアツのイメージを彷彿させる。もし指でも触れたなら、指先から一気に大火傷して、そこから伝った熱で全身が焼けてしまうのじゃなかろうか。そんな心配までしたのである。

さて、アツアツのおでんの前に現在の赤鬼である。土鍋からは地獄温泉のようにもうもうと相変わらず湯気である。沸点に到達してる出汁をよく吸った、油揚げがぶくぶくと湯の表面でふやけてある。冷まさずにひと噛みしたら最後、口の中は太陽のフレアばりの高音にさらされ、たちまち大火傷を負うだろう。

ふーふーしながら食べるのだ。あー、熱い、暑い、熱い。

って、やっぱ寒ぃな

あ〜、金麦飲みてぇなぁ