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【SS】06.創作者への罠  ※クリエイターフェス

毎日noteへ投稿し他のnoterさんの記事で楽しんでいます。そんなとき、ふとnoteが悪者だったらどうなるのだろうという発想をしてみました。noteさんには感謝こそすれ恨みはありませんのでお許しください。


創作者への罠

 あの手この手でnoteという環境は「創作者」を取り込んでいる。まるでブラックホールのように。日々の投稿に対しエールを送り、バッジという形でやる気の後押しをする。そして畳み掛けるように各種イベントを打って出る。大抵の創作者は背中を押され、迷っていた態度も真っ直ぐに向きを変え日々の変化を感じるのだろう。かくいう私もその一人だ。

 しかし、不思議だと思いませんか? 

 note人口は日に日に増えていて、現在2050年の登録者数は日本だけで五千万人を超えたそうだ。すでに世界展開を始めて20年が経っており、世界で見ると五億人にまで膨らんでいるという。今では、noteの中で生計を立てている会員は三千万人にのぼっているらしい。まぁ、噂の域を出ていないので真偽の程は定かではないのだが、高額所得者ランキングに何名かは登場しているのでまんざらデマでもないらしい。もちろん、私はnoteで生計はたてられてはいない。

 これだけ大きなコミュニティになった今、noteの運営会社の真の狙いが気になり始めた。今や、世界のほとんどの創作者はnoteの中に存在している。あのディズニーでさえもnoteの中での活動が主流になってしまった。そしていつしか「本」というものは電子書籍が席巻し紙の本は一部のマニアのためのものに変化してしまった。森林資源に優しい世界と言えば反論できないが、紙の本を懐かしがるのは私だけだろうか。
 何はともあれ、世界中の知識やアイデアがnoteの中に結集しているような世界が実現してしまっているのが現在だ。それは、国の違いや文化の違いから生まれた創作が自由に飛び交う空間が実現できていることを表している。同時に翻訳機能は充実しリアルタイムで正確に翻訳ができるようにもなっているのだ。

 noteの運営者の狙いが少しずつ見え始めた頃、noteから声明が発表された。

「現在、全世界の創作に関わる人々の99.9%がnoteの世界で活動をされています。我々の使命は、国を跨いで創作者のアイデアを結びつけ、新たなるアイデアを創造することです。アイデアが国を超えて融合し、新しい創作物が出来上がる世界を作ることこそ我々の使命なんだと考えています。そして、それが実現した時には、我々はnote国を宣言し、独立国家としての活動を開始していきたいと思います。その時には、皆さんは、それぞれの国の国民でありながら、note国の国民の権利を有することができるようになります」

 さらに数年が過ぎnoteは全世界に向け、仮想国家としてnote国を宣言した。それに伴い、noteの会員は国民になることを宣言してくれだろうと考えていた。

 残念ながら、noteのメンバーはほぼ全員がnote国民になる権利を放棄すると宣言してしまった。なぜだろうか。

 note国で半端なく高額な税金が課せられることが分かり誰も国民になりたがらなかったのだ。note国としては税金を徴収することで安定した国家を作ろうと考えていたようだが、収入を得るのはnote運営に関わっているメンバーだけだった。

 大きくなり過ぎたコミュニティはこうして崩壊の道を辿り始めた。



#クリエイターフェス #ショートショート #創作 #小説 #ショートショート書いてみた


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