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夫の発達障害を疑った結果、最新の精神医学雑誌を手に取った妻の感想

[読んだ本]
精神医学7月号特集「大人の発達障害」をめぐる最近の動向
2020年07月号 (通常号) ( Vol.62 No.7)
定価2,970円

[読んだ人]
 発達障害児子育て中の母であり、発達障害を疑う夫のいる妻

[読もうと思ったきっかけ
 長い付き合いの夫が、発達障害児の子育てに役に立たず、子どもの療育関係者に家庭でのアドバイスをもらうものの全く活かせないため、夫の発達障害を疑った。
 なお、面識もあり複数回面談もしている療育関係者(心理職ほか)は発達障害だとほぼ断定しているものの夫は最近、簡易スクリーニングを受けパス(カットオフ以下)したので発達障害ではないという。
 そこで、大人の発達障害の最近の動向や検査の種類を知りたいと思ったところ、SNSにて本書に出会い即Amazonで購入した。

[感想]
 難しいことは置いておいて期待以上に知りたいことがわかった。手元において都度読み返したい。もっと勉強して知りたいことができた。

 大人の発達障害はその専門の医師でないと診断できないと思い込んでいた。しかし、ほかの精神疾患がなくて初めて発達障害を疑えるというのなら当然、精神疾患全般に精通している(似た疾患と鑑別できる)必要があるため、特別に大人の発達障害外来は不要であるとのこと。最近その看板を下ろした病院もある。
 スクリーニング検査はよく行われるが、肝心のアセセメントツールはより詳しい検査が必要なため、スクリーニングでの検査結果には注意が必要である。また、検査自体はスクリーニングが主で丁寧な検査自体行っている機関は少ないようだ。扱える人材もまだ揃っておらず、現場では最近いくつかの行動観察による検査の認知が広まってきたようだ。
 また、当事者が発達障害にネガティブな印象を持っていたり、自分の特性を自覚していない場合はスクリーニング検査もすり抜けてしまうことがある。
 やはり検査には家族の同行が欠かせない。

 必要なのは単に白黒つける診断ではなく、特有の認知特性がどんなものでそのために必要な支援はなにかという見立て。つまり当事者になにができて周りがなにができるのかということを専門家からアドバイスされなければわからない。

 結局のところ、当事者に変わる見込みがなければガラッと環境を変えるという思い切りも必要だと言うこと。

[参考]
・宮岡 等 、内山 登紀夫『大人の発達障害ってそういうことだったのか』医学書院 (2013/5/17)
・宮岡 等 内山 登紀夫『大人の発達障害ってそういうことだったのかその後』、医学書院 (2018/6/25)
・阿部 利彦『大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』、合同出版 (2020/7/21)

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