世界のDMO視点からみた渋谷を知る。「Destination NEXT」調査とは
100年に一度と言われる大規模再開発が進み、日々成長し続ける都市・渋谷。
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noteでは「渋谷」が持つ魅力を伝えるべく、街の活用、プロモーション・イベント開催のヒントなどさまざまな情報をお届けします。
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日本国内で2例目となる、観光地魅力度調査(米国DMO統括団体の財団Destinations International Foundationによる)「Destination NEXT」を渋谷で実施。今回は、調査結果と一般社団法人渋谷区観光協会へのインタビューを通して、“世界から見た渋谷”を紐解きます。
「渋谷におけるDestination NEXTを活用した観光地域診断」の診断結果が、2021年3月に公開されました。この取り組みは、米国DMO統括団体の財団Destinations International Foundationの「Destination NEXT」を活用し、公益財団法人東京観光財団と一般財団法人渋谷区観光協会が連携して行ったもの。
今回は、調査を通して見えてきた渋谷の魅力と課題、今後の展望について、一般財団法人渋谷区観光協会の小池さん、太田さんにお話を伺いました。
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小池 弘代
一般財団法人渋谷区観光協会 理事 兼 事務局長。2016年より(社)シェアリングエコノミー協会事務局次長・(株)スペースマーケット 社長室ブランド戦略などに従事。旅行業業界に7年在籍した経験からエリアブランディング(地域活性)・コミュニケーション領域を軸に活動の幅を広げる。渋谷区在住。2018年より現職。
太田 夏紀
一般財団法人渋谷区観光協会Marketing&Promotion Manager。渋谷の街ブランディング、イノベーションエコシステムの構築など、渋谷に関わる新規施策など従事。渋谷区出身・渋谷区在住。
|観光地としての「渋谷」の立ち位置とは?
―「Destination NEXTを活用した観光地域診断」とはどういうものなのでしょう?
小池 弘代さん(以下、敬称略) アメリカDMO(観光地域づくり法人)の業界団体が提唱する観光地域診断「Destination NEXT」を用いた調査のことです。渋谷エリア関係者約300名に対して観光全般に関する意識調査をおこない、世界中の観光地の結果と比較しながら評価・分析することで、渋谷がどのような特徴を持つ街なのかというポジションを知ることができます。これまでに18か国、350か所以上の観光地で導入されていて、今回は”都市型モデル”の調査をするため、秋田県大館に続き国内2例目として渋谷で調査が行われました。渋谷の街は多くの企業が集積し、国内外からの来街者が多いにもかかわらず、これまでマーケティング調査など公的なデータが見当たらない状況でした。もともと東京観光財団からお話をいただいたのですが、渋谷をもっと盛り上げるためには観光地としての渋谷のポジションを知る必要があると思い、調査を行うことにしました。
―渋谷の観光魅力度は「世界の業界平均よりもやや弱く、地域における協力関係については平均的」という評価でした。しかし、「観光地としての魅力」の項目では、交通アクセスの良さが渋谷の強みで、世界平均を上回っていましたね。この結果は予想していたものと整合するものでしたか?
小池 調査結果全体を通して、想定の範囲内と捉えられる結果が多かった印象です。良い意味でも、課題という意味でも「そうだよね」と言いたくなるような結果でした。また改善点に関しても、今後の動きに反映できそうなポイントも抽出できました。
太田 夏紀さん(以下、敬称略)渋谷はもともと大きなイベント会場や会議室が少ないことが課題とされてきましたが、コロナ禍では単なる会場の広さや数ではなく、オンライン・オフラインどちらにも対応できるような機能をもった会場が求められてきているようです。これは新たな気づきでしたね。
今までは収容人数の視点で見ることが多く、この観点では検討しきれていませんでした。「ハイブリッド開催が可能な会場をどれだけ増やせるか」という点は、最先端の街「渋谷」らしさに繋がるのではないでしょうか。
―渋谷にはICT関連事業や、映像関連事業などの企業も集積しているので、そういった企業とタッグを組んでいくのも「渋谷ならでは」になりますね。
小池 そうですね。一方で、今後の課題としては「今あるものを活用していく」という意味でのユニークベニューがポイントになると思っています。行政と民間施設が連携を取り、渋谷の色々なところででユニークベニューを開放できれば、MICEの観点から見ても質、内容ともにレベルの高いイベントを開催することができるのではないかと思っています。
―調査は18か国350か所の都市で実施されてきましたが、ベンチマークとなる都市はありましたか?
太田 診断結果を見てから渋谷と対比できるような都市のデータは探しましたが、ベンチマークと言える場所はありませんでした。他の調査都市は政令都市レベルの括りで調査していたので、日本であれば「東京都」や「横浜市」「川崎市」・・・といった単位であれば、比較しやすかったかもしれません。
小池 ただ、今回は区単位で採択いただけたので、そういった意味で「渋谷」という言葉のパワーが世界的にも強いことが分かりました。これは嬉しいところです。もし今後他都市と対比するのであれば、エリアごとの比較をしてみたいですね。例えばアメリカニューヨークのブルックリンと、渋谷区の「ササハタハツ*」エリアなんて、おもしろい結果が見えるかもしれませんね。
*ササハタハツ:笹塚・幡ヶ谷・初台駅周辺エリアを総称した愛称。
―たしかに「渋谷」というと、つい渋谷スクランブル交差点付近をイメージしてしまいますが、渋谷区内には話題にあがった”ササハタハツ”や”恵比寿”、“代官山”など、魅力のある地域がいくつもありますね。
|全国の企業・自治体との連携も積極的に行いたい
―今回のDestination NEXT調査を通して、どのような課題が浮かび上がってきたのでしょうか?
小池 地域との対話が少ないことです。観光地域として魅力のある都市は、コミュニティを地域ベースで作っていて、観光資源や観光担い手の創出に繋げているようです。例えば、京都は住民の皆さんがほぼ観光に携わっていますが、渋谷は自分の住んでいる街を「観光地」として捉えている住民がまだまだ少ない印象です。渋谷の魅力は渋谷の人たちが一番知っているので、みなさんから意見をいただいて事業につなげていく視点が必要だと思っています。
―地元の人たちと連携できれば、渋谷を訪れる方がより深く街を楽しんでもらえそうですね。そのほかにも、連携したいところはありますか?
小池 渋谷区内だけでなく、渋谷区外の企業や自治体との連携も積極的に取り組みたいです。これまでは渋谷に来街される方に対して「何度も来てもらう」ことを目指していましたが、これからは日本全国の方々とも連携を図ろうと思っています。例えば「渋谷で何かやりたい」という地方の団体、企業がいらっしゃれば積極的に受け入れたり、逆に渋谷のコンテンツを各地に持っていったりするイメージです。渋谷の”情報発信力”を活用していただけたら嬉しいですね。
イベント開催という点で、渋谷では「一般社団法人渋谷MICE協会」も活動されています。渋谷MICE協会は、国際的なMICEを積極的に誘致する観点で活動されていますが、私たち渋谷区観光協会は、どちらかというと「観光を軸とした国内の都市連携イベント」について力を入れていきたいです。渋谷内外の事業者の皆さんとも、リレーションシップを高めていけたら、と思っています。
―渋谷区観光協会として、今後展開したい取り組みはありますか?
小池 企業や自治体のみなさんが、渋谷をイベント利用しやすいよう…
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磯野 絵璃奈/Erina Isono
コーヒー党の旅好き。広告媒体開発・イベント企画経験を経て、2019年まで渋谷駅周辺再開発(主に地下工事)の広報担当を務める。
渋谷のイチオシスポットは、夕暮れ時の「渋谷二丁目交差点」。再開発中のビルが折り重なる隠れたビューポイント!
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