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【ワンパブ・オープン社内報 vol.16】 誰かにとって“宝物”になるような本が作りたい。料理書編集部ルーキーの熱き想い

第2メディアプロデュース部 料理書編集部 柏倉友弥

【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。今回は、今年の5月にワンパブに入社、料理書編集部で2冊同時リリースなど快進撃を続ける柏倉友弥さんにお話を聞きました。(所属や肩書は取材当時のものです)

【社員プロフィール】
柏倉友弥(かしわぐら ともや)
2021年5月、ワン・パブリッシングに入社。
新卒で建設会社の経理職に就くも編集職への思いが断ち切れず、編集プロダクションへ転職。主に児童書、料理書、イラスト技法書などの制作を担当。次第に料理書の奥深さに魅了され、より専門性を深めたいとワンパブの中途採用に応募。現在は、月に1冊のペースで料理書籍と健康実用書籍の制作に携わっている。


料理書籍を2冊同時発売! それぞれのこだわりとは

―柏倉さんは、今年(2021年)の5月にワンパブに入社されました。7ヶ月ほど経ちましたが、会社には慣れましたか? 

正直、まだ慣れないです(苦笑)。企画から発売までの一連の業務を、まだ一度しか体験できていないので。11月末に、僕が担当した初めての料理書籍が2冊発売になりましたが、発売後の流れがまだ掴みきれていない状況です(取材時は12月頭)。 

―今回、ワンパブでのデビュー作が2冊同時ということで、とても驚きました! それぞれの内容について、こだわった点などを教えてください。 

一冊目は、『体にいい煮込みおかず』(齋藤菜々子・著)です。少し前に厚手のホーロー鍋を手に入れまして、それをもっと使いこなしたいなと思ったことが企画のはじまりです。できれば放ったらかしで作れて、それひとつでメインにもおかずにもなるものが喜ばれるんじゃないか……だったら煮込み料理だな!と。

ただ、煮込み料理の本は他社からもたくさん出ています。どんなプラスアルファの要素を加えようかと考えていたのがちょうど梅雨時期で、僕自身が体の不調を感じていた頃でした。そこでふと、「煮込み料理で体の調子が整えられたらいいな」と思ったんですね。同時に、書店で見て気になっていた齋藤先生の本を思い出したんです。使う食材も作り方もシンプルなのに、どうしてこんなに斬新なレシピができるんだろう?と以前から思っていて。齋藤先生は国際中医薬膳師資格をお持ちなので、ぜひお願いしようと思い、企画を持って行って形になりました。

―「ほてり・むくみ・イライラが気になるときは“あさり”で解決!」→「あさりのレシピ紹介」といった流れになっていて、使いやすいし、普段の献立を薬膳というちょっと別の視点から考えられて面白いなと思いました。自分自身の体調管理にはもちろん、家族の健康を担う主婦(主夫)の方にもピッタリですね。

はい、これからひとり暮らしを始める人からおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広い世代に届いたらいいなと思っています。年齢だったり季節だったり、環境によって体の不調を感じている人は多いと思うので、食事から不調の予防・改善をしてもらえたらうれしいです。

もう一冊は、『贈りたくなるスイーツ』という本です。こちらの著者は、YouTubeで人気のChez Sucre砂糖の家さん。たまたまおすすめであがってきたChez Sucre砂糖の家さんの動画を視聴して、良い意味で違和感を覚えたんです。言葉をひとことも発さず、調理の音を楽しむASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)の類の動画なのですが、作り方がすごく丁寧で、何より仕上がりがとても美しくて。一体どんな調理器具を使っているのかと思ったら、牛乳パックを使っていたりするんですよ。上品で高級感のある見た目と、庶民的なツールのギャップに惹かれました。

この素敵な世界観を誌面で伝えたいと思い、動画では8分ほどのレシピを、見開きで完結させるように工夫しました。とにかくわかりやすく、プロセスはすべて写真入り。作業の比重が重くなったとしても、丁寧に作り方を見せたいと思ったんです。こだわりは、各メニューの下にある料理紹介です。著者の言葉をそのまま載せることで、読者と著者との距離が縮まってくれたらと考えました。とても人気のある方なので、本の制作中もほかの出版社からお声がけがあったようですが……一緒にお仕事ができてうれしかったです。

転機は23歳の誕生日。編集職への想いが爆発した

―柏倉さんのプロフィールを拝見したところ、新卒で建設会社に入られた後、編集プロダクションへと大きく進路変更されたと感じました。なにかきっかけになる出来事があったのでしょうか?

高校、大学と会計学を学んでいて、そのままなんとなく経理の仕事に就きました。本当は出版に関わる仕事をしたかったんです。本が好きで、本を介してのコンテンツ配信にすごく魅力を感じていました。でも当時は、ずっと会計学を学んできたのに、それが編集業にどう繋がるのか、自分でもうまく説明できなかったですし、何よりリスクの少ない人生を送ろうとしていました。

でも、このままだと人生平凡に終わっちゃうな、とふいに思ったんです。編集に対する気持ちをなかったものにすることができなくなってしまって。安定とかプライベートの充実も大事だけど、一生続ける仕事への情熱を持って生きていきたい!という思いが芽生えました。思い返せば、それが23歳の誕生日のことでした。

―これまで募っていた想いが爆発した感じですね。編集プロダクションに入って料理書を担当するようになり、さらに専門性を突き詰めたいとワンパブに入社されたとのことですが、もともとお料理は好きだったのですか?

はい。一人暮らしをはじめてから、自然と自炊するようになりました。今でもよく作ります。スーパーにも行きますよ。今日は葉物が安かったとか、こんな調味料を見つけたとか、そんな日常生活の中から企画のヒントを得ていますね。制作中の本で紹介しているレシピも、すべてというわけにはいきませんが、10品以上は自分で作ってみるようにしています。

―ちなみに、料理を日常的にしているがゆえに、料理初心者向けの企画を立てるときに困ったりしませんか? 企画を考える際に大事にしていることがあれば教えてください。

やはりレベル感は大切にしています。初心者向け、ズボラさん向け、ある程度料理ができる人向け……まったく料理経験ゼロの方をターゲットにする場合は、レンジでチンするだけと、思い切り振り切ってしまうとか。じつは、学生時代から仲の良い友達4人組がいるんですが、家族構成から生活環境などがちょうど良い感じでバラバラなんです。なので、それぞれの意見を聞いていると、「休日料理にこだわりたい人は、こんなことに興味があるのか」とか「普段料理をしないと、こんなことも面倒だと感じるのか」とか発見がたくさんあります。読者層を考えるときの参考にしていますね。

今売れている本のリサーチは、あまりしないかもしれません。まずは日常生活の中で思いついたことを企画にして、概要を考え、章立てやどんな道具を使うかなどまでイメージしたうえで初めて、必要な情報をリサーチします。いま僕が作っている本は、自分自身が必要としている本なのかもしれません。

目標は「何年経っても忘れられない編集者」でいること

ここからは、柏倉さんご自身のお話を聞かせてください。仕事をしていて、うれしい・楽しい瞬間はどんなときですか。

いろいろな方とコミュニケーションを取りながら、一冊の本を作っていく過程が楽しいです。自分の情熱がうまく相手に伝わって、形になったときは、本当にうれしい瞬間ですね。料理本の撮影では、1日に20~25品くらい作って進めていく場合が多いのですが、先生が作ったものをどんなアングルで撮ればより美味しそうに写るかとか、みんなであれこれ言いながら作り上げていく空間が、うれしくて楽しいです。

―反対に、仕事をしていて大変なのはどんなときでしょうか。

誤った情報を掲載していないか、本当にこの言葉遣いや表現は正しいのかといった内容の確認には根気が必要なので、大変だなと思っています。専門的な知識を持った著者や関係者と制作を進めてはいますが、自分自身も勉強を重ね、同等の話ができる土俵に立たなければという思いで、知識を身につけるようにしています。今回で言うと、薬膳について学びました。専門的な内容なのでとても難しかったですが、今後の本作りにも必ず役立つときが来ると思うんです。

実際に、数年前に台湾料理の本を編集したときに「医食同源」の考え方を学んだのですが、そのときの知識が今回の薬膳へと繋がったな……と感慨深く思っているところです。

―最後に、今後作りたい本や夢、目標などを教えてもらえますか。

料理書編集部としては、料理レシピ本大賞にノミネートされるようなヒット本を作りたいです。売れるということは、それだけ読者や世の中が欲していた情報の発信ができているという証拠でもあるので。本という古典的な媒体ではありますが、時代を先読みして未来を見据えた新しい情報発信にチャレンジしていきたいです。

そのほかには……いつか絵本を出したいですね。絵本と料理を絡めた作品を出したい。家族が囲む楽しい食卓とか、子どもが学校の帰り道に「今日の夕飯なにかな?」って想像しているとか、そんなシーンを絵本という形で残し、伝えていきたいなと思います。

どんな本を作るにしても、何年経っても忘れられない編集者でいることが目標です。本という形に残る仕事だからこそ、私が編集担当した本がだれかの宝物になるくらい、良いものを作れればと思います。

―社内の人へメッセージを、と尋ねると、「まだまだお話していない人がほとんどですので、ぜひ声をかけてください。いろんなことをお話したいです!」と柏倉さん。2022年担当する本はすでに9月まで決まっていて、料理に加えて健康ジャンルにも挑戦するそうです。ますます専門的な知識を身につけ、パワーアップしていく柏倉さんに期待しています!

 『体にいい煮込みおかず』
https://www.amazon.co.jp/dp/4651201466

『贈りたくなるスイーツ』
https://www.amazon.co.jp/dp/4651201474/

(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)

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