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買っても買っても何もない(ワンオペ介護日記6/14)

母も年金だけが頼りだ。 年金額が少し上がって2ヶ月で30万を少し超えるぐらいになった。持ち家で、介護サービスを利用し、私にヘルパー代と称して22000円ほど配り、食費、光熱費などを引いても月に数万円は貯金ができるような金額だ。今や私の管理下に置かれて無駄な出費がないのが一番の要因なのだが。

母がひとり暮らしの時には貯金はほとんどできず、挙句にキャッシングも重ねていたようだ。脳梗塞で倒れた頃、通帳の残はほとんど 0に近かった。いったい何にそんなに使っていたのか。実は、父が死んでから調子に乗ってあれこれ買い物をしたようだ。それまで 節約に節約を重ねていたことへの反動なのか、独居になったことの物足りなさなのか。

特にお金をつぎ込んだ先は、いわゆる催眠商法だった。無料で何か配っては年寄りを集めて布団やら浄水器やらサプリやらを販売する業者にはまったのだ。そういった業者の営業のお兄さんたちは若くかっこいい。こんな年寄りに優しく声をかけてくれるのは、もはや営業のお兄さんくらいしかいないのだが、その営業トークにまんまと乗せられどんどん買ってしまう。30万の布団、20万のコート、10万の水素浄水器、5万円の財布、サプリ5万円分・・・と延々と続く。あれもこれも年金が入ってくるというあてがあるから出来ることなのだが···

結局、いくら 買ってみたところで優しいお兄さんたちがその商品と一緒についてくるわけではない。 資金が尽きてもう買えなくなった年寄りは、もはや見込み客ではなくなり、お兄さんたちは次のターゲットに行ってしまう。もう相手にしてもらえないのだ。そして買い込んだ商品の山を見ても、母は「この家には何もない」と落ち込むのだった。