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鍵盤とARTのアンサンブル

2021年9月5日、日曜日。
時刻は18:00を回ったところ。
この日、伊澤一葉さんと近藤康平さんの
ライブが『下北沢440』で行われました。


私は配信の方で視聴したのですが、
約2時間に渡り行われたこのライブは
観ごたえ、聴きごたえ共に最高!


今回はそのライブを振り返り、じっくりと
感想などを綴っていきたいと思います。



まずは、簡単にお二人の紹介から。

伊澤一葉さん

東京事変theHIATUSで活躍する鍵盤奏者。
自身のバンドあっぱでも活躍しています。
作曲やプロデュースも多数されており、
米津玄師さんの『lemon』でピアノを
弾いているのも彼です。愛称はわっち。


近藤康平さん

今回のライブで初めて拝見したのですが、
柔らかなタッチの絵に凄く心惹かれました。
伊澤さんの他にも数々のアーティスト方と
ご一緒されているようです!


ライブのスタイル

伊澤さんがピアノで曲を弾いて、その間に
近藤さんが1曲につき1枚即興で絵を描く、

というスタイル。壁面のプロジェクターに
近藤さんの手元が映し出されるので、絵が
完成するまでの過程も見ることが出来ます。


伊澤さんの甘くも力強い声と、鍵盤の音色。
そして、それに呼応するかのように描かれる
近藤さんの緻密な絵……まさにアンサンブル。


異なるもの同士がまじりあって一つの作品が
生まれゆく姿というものは、本当に美しい。
普段中々見れない光景なので新鮮でした。


途中で「ちょっとリセットしてくる」と
伊澤さんが姿を消したりと、ゆるーい
雰囲気がなんとも心地よかったです。


演者が居ない中突如始まった近藤さんの
MC コーナー「僕の道具紹介シリーズ」
絵を描く際、筆以外にも歯ブラシ注射針
ペインティングナイフなどを使うとのこと。
これらを使って描く際に生じるサウンドも
好きなんだとか。(確かに、いい音だった!)



最高級に美しい旋律

この日披露された楽曲は、
あっぱの曲やカバーなど多種多様。


伊澤さんが弾くピアノは、
たまらなく気持ち好い音を奏でるのですが、
今回序盤で披露された薬師丸ひろ子さんの
カバー曲、『Woman』では、切ない歌詞に
伊澤さんのメロディアスなピアノと深い声が
相まってその魅力が爆発していました。


中盤では即興で弾いていくという場面も。
キーボードを使い曲を紡ぐ伊澤さん。
その鍵盤からは近未来的な音が鳴り響き、
まるで惑星から惑星に移動しているかのよう
に感じました。(出来た絵もSFっぽかった!)


ラストナンバーは、東京事変の『生きる』
美しくも儚い、でも力強いこの曲はまるで
一本の映画のよう。締めに相応しい選曲!


林檎さんがこの曲を歌われるときは、
パフォーマンスを通してジャンヌ・ダルク
姿が毎回目に浮かぶのですが、

忌み嫌い続けていた筈の、
無欲と空虚が胸を占める。
なんてこの身は頼りないのだろう。
あまりに何も無い。


と、伊澤さんが声を張り上げこう歌う姿は
ベートーベンを表しているかのようでした。
繊細なピアノの響きからアグレッシブに弾き
音色が変わる瞬間も美しかった。



イメージをカタチに

本編が終ると、すぐさまアンコールへ。
なんとこのアンコールでは、前代未聞の
「歌わないアンコール」として絵の解説
コーナーが設けられます!


内容としては、もう、そのまんまです。
出来上がった絵をプロジェクターに映して
近藤さんが解説し、伊澤さんが感想を言う。


猫と女の子が描かれた可愛らしい絵から、
宇宙空間のような光景で恋人たちが並び歩く
日常と非日常が重なった不思議な絵まで、
映し出された絵はどれも素敵。


曲から想像して描かれたという絵たちは
近藤さんのイメージ自体を形にしたようで、
解釈を聴きながらじっくり絵を拝見するのも
中々面白い時間でした。



「ピアノ」と「絵」

同じ芸術と呼ばれる領域に存在する、異なる
フィールドで活躍する伊澤さんと近藤さん。
表現の形を変えて共に一つの作品を作ってい
くお二人の姿は、とても格好良かったです。


音楽で言ったらアンサンブル、
料理で言ったらマリアージュのような素敵な
コラボレーションでした!また是非お二人の
ライブを観てみたいなー。


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