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名探偵のままでいて

小西マサテル 2024年

・あらすじ

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は現在、幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻す。そんな祖父のもとへ相談を持ち込む楓だったが、やがて自らの人生にかかわる重大な事件が……。古典作品が彩る安楽椅子探偵ミステリー!

『名探偵のままでいて』小西マサテル (2024) 宝島社 表紙あらすじ

・感想

書店などでよくこの表紙の本を見かけておりましたが、なかなか機会がなくて、今まで読まなかった作品の一つです。先日、近くの本屋を回っていた時に偶然見つけたので買ってきました。

今回はまたミステリー小説です。最近ミステリー小説にあたること多いですね。楓という女性が身の回りで起こる、様々な事件について祖父に相談し、根掘り葉掘りして、真相を解き明かしてゆくという作品です。ミステリー要素しかないのかと思ったら、最後にはとても悲しい過去があったということを知り、胸が締め付けられました。

「本当にこんなこと起こるの」みたいなことが多くて、とても面白かったです。例えば、学校のプールで教師が何者かに殺された話とか。プールの授業中、最後の自由時間の最中に突然姿を消し、その後殺されたことが分かりました。なぜ殺されたのか、犯人は誰なのかというので様々な議論がなされて白熱しておりました。結果はあまりにも予想外すぎて、拍子抜けするレベルです。このように提唱されるいくつかの仮説も、読んでいく中で段々見えなかった雲の先が見えてくるような感覚に陥り、そういうのを考えながら読むのが面白かったです。少し、グロテスクな要素もあったりしてぞっとする部分もありますが、それ以上にあのよく分からないベールに包まれたワクワク感の方がはるかに勝っていると思います(小西マサテルだけに)

作中で度々名前が出てくる古典作品は、正直読んだことないので全く分からないのですが、何とか気持ちだけで乗り切りました(笑)

読んでいて思ったのですが、ミステリー小説というだけあってか、先々週に紹介した『スマホを落としただけなのに』に似通る部分があるように感じました。そしたら、解説のところに著者の小西さんは志駕さんと関係する人だったと書かれておりまして…。「だからか」と思ったりして面白かったのですが…。

ちなみにこちらの作品は2023年1月に単行本として発売され、同年、第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しました。続編には『名探偵じゃなくても』が2023年12月に発売されております。続編の存在は最近まで知らなかったので、今後また購入したいと思います。

・書籍情報

名探偵のままでいて 小西マサテル

初版刊行:2024年4月17日
刊行元:宝島社
定価:880円(税込)
ページ数:416p
ISBN978-4-299-05298-8

備考
単行本:2023年1月、宝島社


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