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神さまのビオトープ

凪良ゆう 2017年

・あらすじ
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けてほどなく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは?機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。(あらすじより引用)

・感想
去年あたりから、SNSの投稿でちょくちょく見かけ、興味を持った本です。この小説は4編からなり、事故で夫に先立たれた妻、大学の後輩で恋人、ロボットと一緒に暮らす小学生、自分より年上のお兄さんと恋人関係の女子小学生、そして、ストーカーの疑いをかけられた男子高校生が描かれていました。いずれも、周りと違った価値観をもっていて、ついていけなかったり、後ろ指をさされたり、気味悪がられたりして、自分と周りの価値観に合わせられなくてずっと悩み続けている様子が描かれていました。

人はそれぞれ価値観や考え方が違います。周りが受け入れないことでも、その人にとってはかけがえのなかったものを失って、そうなったかもしれない。外面しか見れない自分には見えていないだけで、誰にも共感してもらえず、秘密にしていることがあるということを感じることの出来る本でした。周りに受け入れてもらえないで苦しんでいる、作中の人物たちを見ていて、軽い気持ちで否定したことが、相手を傷つけてしまっていないか、考え直すことが出来ました。

また、3章の「植物性ロミオ」のロリコンと付き合う小学生という設定は、凪良さんの別作品「流浪の月」を思い出すようなお話でした。(多分、本作の方が先に発表されたと思うけど)小説ってこういうこと多いですよね。読み比べをしている気分でした。

・書籍情報
この作品は2017年4月19日、講談社より刊行されました。


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