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創作歴の振り返り

僕の番でした。


・はじめに

前回の記事で言った通り、今回は創作歴の振り返りです。

本当は公募に関する考察も書こうとしていたんですが、創作歴を振り返っていたらそれだけで六千文字を超えたし、こんな経歴のやつが公募について語っても説得力ゼロやんけ、となってしまったので公募に関する記事はないです。どうしても書いてくれ、という方が現れたら書きます。

過去の自分語りしかなくなってしまったので、興味のない人は回れ右だ!
ただ、少なくとも自分は先達がどういう風にやってきたか知りたかったので(純粋な興味がほとんどですが)、同じように思っている人の参考になればいいなと思います。あるいはせめて暇つぶしにでもなれば。

・2018年

第25回電撃小説大賞:一次選考で落選(表記なし)
処女作でした。タイトルは『Change the World』
中身はあまり覚えていません。というか中身もくそもない、良くわからない異能現代ファンタジーだった気がします。
いま思い出したけど最初から主人公が記憶喪失を患ってる設定だけど結局作中内で理由も何も明かされなかった気がする。どういう話?

第15回MF文庫Jライトノベル新人賞:三次選考で落選(二次選考止まり)
タイトルは『Change the World-Chronostasis-』
次の作品書きたいけど、上手くやれる気がしない……せや!もっかい同じ設定使えば前回より上手く書けるんじゃね!?という天才的発想により生み出された実質二作目です。
選評には「シリーズものの二作目をいきなり読まされているような印象を受ける」とばりばり書かれてました。本当にその通りでございます。
中身は現代異能ファンタジーですが、舞台を京都にして主人公たちを現代の陰陽師にして百鬼夜行を止めさせるような話にしたと思います。
『神様の言うとおり』を読んだせいでラスボスを凶方である艮(うしとら)と坤(ひつじさる)にした覚えがあります。
と思ったけどそれを喚んだ黒幕で土蜘蛛がいた気がする。百鬼夜行の最後に現れる最強の妖怪である空亡をなんとか出したかったけど上手くいかなかったことも思い出しました。さっきから変な汗がすごい吹き出ています。

・2019年

「X→LIST+」メル・アイヴィ―新曲ストーリー原作小説コンテスト:「X→LIST+」賞(優秀賞みたいなやつ)
タイトルは『メル、愛してる
これは2018年に書いた短編が年を跨いで受賞したものですね。自分でもこんな作品が書けるんだ、とすごく驚いた覚えがあります。
カクヨム内の読者評価ポイントは応募作品中で最多だったんですが、新曲原作コンテストなのに「X→LIST+」の既存曲を作中に盛り込んだせいで大賞は逃しました。馬鹿が代(賊歌斉唱)。

第14回小学館ライトノベル大賞:一次選考落選
知り合いたちが作品を使い回しで出しているのを見て、自分も一回くらいはやってみるかと思って『Change the World-Chronostasis-』を出しました。
まあだめだろうな~と思って出したら案の定だめでした。
新人賞は宝くじじゃない。

・2020年 

前半は年明けから電撃大賞に向けて新作のプロットを組んでいたんですが、膨らみ過ぎて十万文字じゃ終わらんわ!ってあきらめてTRPGのシナリオに組み替えて作っていた気がする。当時の僕はTRPGにハマっていました。しかし八万文字程度書いたところで十人ほどいた主要キャラクターのデータが消えてやる気が消え失せて小説に戻った記憶があります。

タイトルは『幽撃旅団よ、止まることなく(ゴーストレイド・ゴーストレイト)』
あらすじ:あらゆる異世界から定期的に人が召還され、彼らによってもたらされる技術や彼ら自身によって発展してきた世界。その異世界人が一番最初に召還される島の、古びた祠にプレイヤーは召還される。
右も左もわからないプレイヤーは、祠のある森を抜けた先でアリスという少女と出会う。

アリスにこの世界のことを教わっていくうち、島では異世界人からもたらされる技術や恵みに感謝する祭りがおこなわれており、最終日の儀式に用いられる宝玉を使えば元の世界に帰れると判明する。

では宝玉を手に入れよう、と目的が定まるのとほぼ同時、十年前に消えた、異世界人だけで構成された伝説の集団《幽撃旅団(ゴーストレイド)》の一人である【白痴】スノウホワイトがプレイヤーの前に姿を現す。

十年前、彼らは国家を乗っ取ろうとした罪に追われて全員が逃亡して消息不明になっていたはずだった。スノウホワイトは『アリスは敵だ。何も覚えていないのか?』と言う。彼女に襲われてそれを跳ね除けたプレイヤーは彼女の言葉の真意を知るべく探索を続けた結果、十年以上前に自分はこの世界に呼ばれており、《幽撃旅団(ゴーストレイド)》と共に世界を駆けた【果ての旅人(ストレイゴースト)】だった、という真実にたどり着く。

そして《幽撃旅団(ゴーストレイド)》のリーダーであるアリスは宝玉を用いて異世界とのつながりである門を完全に閉じ、この世界の歪な発展を止めようとしていた。

「イレギュラーであるあなたと違って私は元の世界に戻れなかった。
 なら、この世界を愛するしかないでしょう?
 だから私はこの世界のために最善を尽くすの」

異世界との繋がりが断たれれば帝国がその他大勢の国家に異世界人の恵みをもたらし忠誠を誓わせるという均衡が崩れて帝国vs全世界という世界大戦が始まるとスノウホワイトは告げる。
何より、プレイヤーが帰れなくなってしまう。

アリスの凶行を止めるため、プレイヤーはスノウホワイトや彼女と意思を同じくする《幽撃旅団(ゴーストレイド)》のメンバーと共に奔走し始める。
だがアリスに協力している《幽撃旅団(ゴーストレイド)》のメンバーもいて、島は《幽撃旅団(ゴーストレイド)》同士の全面戦争の舞台になっていき――――

これだけめちゃくちゃなげえ!しかもめちゃくちゃ細かいし!

違うんです、これには訳があるんです。
十七歳ごろから設定だけはあったしめちゃくちゃやる気があったので色々頑張っていたもので、思い入れがあるんです。
《幽撃旅団(ゴーストレイド)》のメンバー十人それぞれに三千文字弱の短編小説みたいな設定があったし、島の総面積も総人口も世界の歴史の発展の仕方も数百年前から設定した。異世界人の恵みによってしか発展しない歪な構造とそれをほとんど独占する中央帝国のせいで世界に火種は絶えず、島は災禍の目でありながらとても繁栄していた、とか色々ありました。
実際のシナリオに着手するまでに五万文字くらいあった。めちゃくちゃ楽しかった。
上記のシナリオで全体の六割くらい?
この後に各《幽撃旅団(ゴーストレイド)》のメンバー一人を選んでパートナーにして一緒に戦っていく、みたいな流れがある予定でした。
後半のシナリオも大筋のプロット自体は存在している。
まあほっぽってあるんですが……。いつかリブートするのかな。前半のテストプレイに付き合ってくれた友人と話すと、未だに「あれ続きまだ?」って言われます。まだです。


第17回MF文庫Jライトノベル新人賞:二次選考落選
新作。タイトルは『師弟に始まり、師弟に終わる』
たんもしを読んだ僕は主人公とヒロインの関係性が重要だ、という結論にたどり着き、なら自分の書きたいジャンルで書ける、最も多くの関係性を盛り込める関係性を書けば良いのでは、と考えてそこに師弟を選びました。疑似家族であったり、愛憎交じる爛れた関係性も、それこそ純粋な師弟の関係も色々できるな~、と思ったので。

中身は8年くらい前(詳細忘れてしまった)に隣国を滅ぼした厄災(触れたら可逆的な泥(概念的スワンプマン)と化す)によって両親を失ったヒロイン(14歳)と、同じく厄災で師匠を失った主人公(18歳)が師弟関係を組んで王国の首都へ向かうため(首都へ入るのに必要な冒険者の資格を得るべく)特訓をしているうちに過去の厄災の影が今いる街に忍びよってきて――――みたいなハイファンタジーだったと思います。

こうして振り返ってみれば調理しなおせばまだなんとかなりそう?感。蝸牛のごとき歩みの速度で進化している。
設定だけは選評ですごく褒められた覚えがあります。実際、厄災の設定だったりファンタジー周りはすごく頑張りました。
というかハイファンタジーが書くのにめちゃくちゃ大変だとそこで気づいた。インプット量がモノをいうジャンルです。そして何より設定ばかり凝ってストーリーがないんじゃ意味がない……

蛇足ですが、九月ごろにMF文庫J新人賞に送った後は十二月ごろまでネット小説に挑戦していました。上っ面だけなぞったあっさいシチュエーションラブコメです。きちんと一巻分に相当する区切りまで持っていったことだけは褒められる。完結させた、と言えなくもないので。

・2021年

第28回電撃小説大賞:一次選考落選
長編はもはや使い回しをしても受賞できない出来のものしかないなと思っていたので、直前のカクヨムコンで総合ランキング一位を取った『千歳』という短編を出しました。しかし箸にも棒にも掛からず。
実際今見てみると、良い作品ではあるとは思えますがいろいろ足りないよな~と思います。それでもセンスオブワンダーだけはある。

第18回MF文庫Jライトノベル新人賞:二次選考落選
新作。タイトルは『『ライ』カンスロープと死妖姫』。百合SFアンソロジー『アステロイドに花束を』に収録されている伴名練『彼岸花』があまりに面白くて、自分なりの『彼岸花』を書きたいと思って、当時ハマっていたアークナイツの鉱石病と組み合わせて『吸血鬼が病になった世界のSFダークファンタジー』を書こうと思い立ちました。すごい作品を摂取して、『自分なりの〇〇を書きたい!』で作品を書くことがちょくちょくあります。

あらすじ:99.9%の確率で死亡し、33.3%の確率で生き返り、人の血を定期的に摂取しなければならなくなる病が全世界を席巻し、ポストアポカリプスに陥った近未来。最後の自治都市に姉からの便りを当てに外からやってきた主人公は諸事情で身分を明かせず、姉に自分の名を使っていいと言われていたので名を借りるが、その場に居合わせたヒロインから『その人は、もう死んでるのよ』と告げられて――――

ここだけ見たらめちゃおもろそう。
実際、第一章まで読んだ詠井晴佳はツイッターで「受賞おめでとうと言いたいくらいの出来だ」と言っていました。
まあその後が何も考えていなかったせいでうんこになったんですが。
いや、色々詰め込みすぎたせいでまとまりきらなかったという方が正しい。
罹患者にとある魔術の禁書目録みたいな超能力(異能)をつけたのが一番の敗因だと思う。でも異能バトルファンタジーやりたいじゃんかよ!!
全部読み終えた詠井晴佳には『めちゃくちゃすごいことをやりたかったという意思は伝わった』と言われました。
そしてまたもや選評では設定を褒められました。そこしか褒めるとこがない。知らないうちに読んでくれていた知り合いも『設定すごかったです!』と褒めてくれました。この設定厨がよ……

この年は前半はyoutubeシナリオに取り組んでいたのと、薬を飲み始めたこと、およびその二つで本当にメンタルが終わっていて、ほとんど創作ができなかった。ただ『この作品を書きあげられなかったら自分はもう一生小説を書けない気がする』と、意地と気合と根性で最後の三日間で四万文字くらい書いて完成させて送りました。
ほかは本当に短い短編コンテスト一作に応募した程度だった気がします。

・2022年

この年は公募は何も送らなかった。
受賞するかもしれないという希望の持てる既作はもはやなかった。

・2023年

第30回電撃小説大賞:選考委員奨励賞
新作。タイトル『偽盲の君へ、不可視の僕より。』

自作の発売後に改めて裏話をするので、どういう経緯で書いたかや、作品の中身については詳細を伏せさせてください。

とりあえずジャンルはライト文芸です。

ただ経過を記しておくと、昨年からメンタルが本当に終わっていて、この作品を仕上げるのに16か月かかりました。
2022年の一月から書き始めて、応募したのが2023年の四月十日です。

小説を書けない日の方が多かった気がします。
一日三時間ほどで千文字書いたらもう限界で、翌日と翌々日は椅子に座る気すら起きない。休日もベッドの上で無意味にyoutubeを十時間ほど眺めて終わり、みたいな生活を送っていました。いまも薬を飲まないと普通になります。大変だぁ!

そんなペースで一月頭くらいにプロットを組みながら書き始めて前半が出来上がったのは八月末頃。詠井晴佳に読んでもらったら『前半は完璧、本当に文句ない』とお墨付きをもらえてうれしかったです。

後半はまた脳内に吹き荒れる磁気嵐と身体中にへばりつく鉛が消えた隙をついて書き進めていましたが、締め切りまで一週間を切ったところで身体が動かなくなり、5日から8日の間に一文字も書けませんでした。けれど『ここでやらなければまた自分は小説が仕上げられなくなる』と残りの二日で三万文字を書いて完成させ、四月十日の23:59に作品を応募しました。推敲なんてしていません。お前が推敲するんだ電撃大賞の気持ちで投げました。
結果、自分がすることになりました。
マジで後悔するんで推敲はきちんとしましょう。

・終わりに

以上が僕の創作歴においてきちんと示せる足跡です。
ただの自慢で良いなら第五回カクヨム短編小説コンテストで『千歳』が総合ランキング一位を取ったり、二十歳の記念に書いた百合SF短編『ミザの手紙』で某youtubeアニメシナリオ会社の社長から直々にオファーを頂いて半年ほど制作に加わらせていただいたり、とかはあるんですが別段賞を取っているわけではないので……。

そしてここには書いていない書きかけの長編が二つほどあったり、省いている短編も十何本かある気がします。あとたんもしの二次創作も二本ほど書きました。

まとめると、完結(一区切りまでもっていった)させた長編は受賞作合わせて六本、短編は十五本~二十本の間くらいです。

全部でどれほど文字を書いてきたのだろう、と書いてきたものを思い返してみたんですが、多くて八十万文字から九十万文字の間、少なくて七十万文字程度だと思われます。百万文字は絶対書いてない。

こうしてみるとけちょんけちょんな創作歴だな~と思います。
あと本当に異能バトルファンタジー好きなんだなって。青春でした。

心残りがあるとすれば、周りの人たちは使い回しをしてもいいと思える作品をいくつも書いているのに、僕は使い回しもできないような出来のものしか書けなかったのが悔しいです。
今でも読み返せるのは出来のいい短編四つだけで、長編はほっぽったものを含めてひとつも読み返せない。

唯一、使い回しをしてもいいなと思えたのが受賞作です。
電撃大賞に応募した後、下読みをしてくれた人たちからは(たった一人を覗いて)受賞の目がある、という発言は出ませんでしたし、僕も受賞するとは思いませんでした。それでも確実にこれまでで一番出来が良かった。それは確か。

ちなみにただ一人、『全部良かったよこれ!受賞するんじゃない?』と言ってくれたのは服部大河さんです。彼は前年のファンタジア大賞で受賞して今年に本が出る予定なので皆さん買ってあげてください(露骨なゴマすり)。ばりおもろそうなセカイ系ファンタジーです。

長くなってしまいましたが、これからはもっといろんな作品に挑戦していけたらなと思います。決して焦らず、けれど出せる全速力で進んでいきます。

なにはともあれ、まずは4/25に発売予定のデビュー作を無事に刊行するところから!メディアワークス文庫より出ます!よろしくお願いします!

2024/1/28 22:20 MIMI フィオーレを聴きながら


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