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学術誌「作業療法」への投稿論文について~論文完成までの流れ~

 本日は私の起業以外の活動についての報告と広報をせていただきたいと思います。興味のない方は完全に無視していただいて結構です笑

 まず簡単に私の経歴と行なっている活動について紹介いたします。
 私、川原は大学院修士課程を卒業しており、それ以来作業療法に関する研究にも継続的に関わらせていただいています。
 主な研究テーマとしては「がん患者に対する外見のケアについて」になります。

  あれ?今回発表された論文とは全く違うじゃん?
 その通りです。

 今回発表された論文はなんと学部を卒業する際の卒業研究の内容なのです。
 えええーーー!めっちゃ昔のやつやーん!
 って思いますよね(笑)
 そう。私が今回学んだことの一番大きいことは、とどのつまり、論文投稿って大変!ってことなんです。

研究の質の問題

 実際に卒業研究を論文化して投稿しようとなったのは大学院入学とほとんど同時くらいです。しかし、卒業研究なんてめも当てられないお粗末なものだったのでこれでは論文化しても査読を通ることができないのではないかと担当教諭からアドバイスがありました。そこでまずは卒業研究のブラッシュアップ作業です。今回は文献の膨大なテキストデータを計量的に分析するという手法(計量テキスト分析)を取ったのであまりデータ収集の段階は変えずに、分析ソフトを用いて行う分析の手法を様々試しました。この段階は、「さあ、大学院だ。論文投稿がんばるぞ!」と高いモチベーションがあったのでそんなに苦労なく作業を進めることができました。

論文で使う文章力の問題

 分析はとんとん拍子で進めることができました。
 次にぶち当たった問題が、論文化するときの文章構成や言葉使いなど論文作成における文章力の問題です。まず、投稿する前に担当教諭と論文の内容や構成についてじっくり相談しながら進めました。この段階を私は後に”0次査読”と呼ぶことになるのですが、この段階もまぁまぁ突破するのが難しい。今回は特に論文を読むということを学生時代、ろくにしていなかった川原は論文の書き方なんてものは全くわからなかったのです。そのため、担当教諭にチェックしてもらう段階で、何度も修正が入りました。しかし、その成果もあり、提出する際には自分なりに様になっていると思える論文が出来上がっていました。

地獄の査読

 さぁ、いい感じに論文が仕上がった。これで提出して論文掲載できる!と思っていた過去の私。”甘い”。クリームパンくらい甘い。
 論文を雑誌に掲載するためにはその前段階として、掲載しの編集側が果たして投稿された論文はこの雑誌に掲載する内容に見合っているか、研究内容は適切かといった監査が入るのです。これを”査読”といいます。論文掲載に関して無知だった私は査読なんてものの存在を知らず、書いたら即掲載だと思っていたので、投稿してしばらくして査読結果が帰ってきた時には絶望しました。前段階の0次査読であれだけ修正し、もう完璧と思っていた論文がタコ殴りにされて帰ってきたのです(今思えば掲載不可いわゆる”Reject”されなかったことは救いです)。まずは驚きながらも、これらを直せばいいのかと楽観的に判断し、修正に取り掛かります。そして再投稿します。また査読結果が帰ってきます。また修正します。・・・。
 「あれ?これいつまで続くんだ?」
 脳裏に疑問と絶望が浮かびます。結果、この論文を投稿可の物にするために計8回の査読を経ました。この数字が多いのか少ないのかは分かりません(おそらく多い)。中盤ではもうやめたくなった時期もありました。しかし、こと学術誌作業療法の査読者はボラティアでやっているということをあるとき知りました。これには本当に驚きました。査読の先生はそれこそ計8回も私の論文を熟読し、内容の修正を一緒に行ってくれたのです。無償で。各査読内容も本当に丁寧なもので、自分では気づけなかった論文内での説明不足や論理の飛躍に関してしっかりと指摘していただけました。

投稿に至る

 こうして長らく修正を重ね、ようやく投稿に至った時は安堵とも喜びともなんとも表現し難い気持ちになっていました。
 間違いないことは長い期間肩にのっていた重荷がスッと楽になったことは確かです。そしてこんなに苦労して投稿したのだからぜひたくさんの方に読んで欲しいという気持ちもあります。

 今まで何の気なしに読んでいた論文も苦労の大きさは違えど、同じプロセスを辿って雑誌に掲載されているということがわかり、それこそ全ての論文がありがたいものだと認識することができました。
 論文投稿は大変ですが(私の要領が悪いだけかもしれません)、皆さんが行った研究を世に出すためには必要不可欠なプロセスです。そしてそんな苦労の果てに投稿された論文をその背景まで察して涙しながらありがたーく読んでいる読者(川原)がいることも忘れずに。ぜひ、論文投稿やってみてください。

 ではまた!

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