![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106539752/rectangle_large_type_2_cdd24bae0bd351a6e7a1a76510d465fd.jpeg?width=800)
【詩】 桜の頃 他2編
今月の詩を3編選んでみました。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
「桜の頃」
春に舞う雪を 銀色の浴槽から見た
力を無くした泡が私の体を滑っていく
溜め息と蛍光灯のあかるさに包まれて
波打つ湯は溢れ出す
小さな窓をもっと開けてしまおうか
すると 肌を刺しきれぬそよ風と
あの繊細な香りが舞い込んでくる
あ、と思わず声を上げた
微かに明滅する街灯の橙
柔らかな薄紅色の絨毯を見た
![](https://assets.st-note.com/img/1681977772233-ngW9Vg8Gpg.jpg?width=800)
「虫」
ひそひそ言われてる
気づいてる
腹の虫が剽軽な音を立てた
真面目で面白くないから
新聞は読まない
真面目で面白くないわたしは
いつもひとり 蚊帳の外
虫 けらけら 弱虫毛虫
ひとりぼっちの 虫けらけら
泣き虫 いつも 孤独のわたし
「CAT BAT」
悪い猫ちゃんや ちょっとこっちに来ておいで
一緒にお菓子を食べに行こう
夜の闇が僕らの姿を消して
あらゆる悪事を隠しているから
盗んだバイクで 隣町まで行こう
あんまりしがみつくでないよ 猫ちゃん
大きな翼でハンドルを握る
風を切る 風を切る
国道を一直線に突っ走る
おいしいお菓子の店が あるからね
秘密の路地裏
猫ちゃんや 好きな味を選ぶといい
さあ 夜が更けぬうちに
僕らの時間が終わらぬうちに
![](https://assets.st-note.com/img/1681975433741-ydTOA61Bct.jpg?width=800)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?