「4輪バギーで災害支援!」~日本笑顔プロジェクト Vol.4
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「4輪バギーで災害支援!」~日本笑顔プロジェクト Vol.4

ONE-NAGANO長野地域版取材班
令和元年東日本台風から2年が過ぎました。「まだ」2年なのに、私たちのなかで、災害や防災への意識が過去のモノになっていないでしょうか?5回にわたって紹介する、『地域発の新しい防災の仕組み』~第4回。日本笑顔プロジェクト副代表 春原圭太さんから、今回は、レジャーや牧場などのイメージが強い四輪バギーを活用した、災害支援の取り組みについてお話いただきました。

 日本笑顔プロジェクトでは、ライフアミューズメントパーク「nuovo」を運営し、重機や全地形対応車(以下四輪バギー)の体験や資格講習会を定期的に開催しています。

 前回は重機の講習会等を紹介させて頂きましたが、今回は災害や雪害時にも活躍する四輪バギーと、実際に四輪バギーを活用した支援活動について紹介いたします。

 日本笑顔プロジェクトは、重機だけではなく四輪バギーも活用し、特に人材育成等に力を入れています。そもそも、なぜ私たちが四輪バギーに注目したのかというと、きっかけは令和元年東日本台風災害でした。

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 小布施町の農地には、土砂はもちろん、災害廃棄物が大量に流れてきており、人力で土砂の中を歩き、拾い集めるには非常に過酷な現場でした。人間の手でなんとか集めることができても、広範囲に廃棄物があったり、置き場が遠かったりと、移動が非常に大変でした。

また、堆積した土砂の中は、人が歩いて漂流物までたどり着くことすら困難でしたが、カーゴトレーラーの後ろにボランティアを乗せ目的地まで運ぶ移動手段にするなど、多様な使い方ができるバギーは大活躍しました。ぬかるんだ土砂の中や車では進めない悪路をものともせず進んでいく四輪バギーの走破性を実感し、私たち自身も本当に驚きました。

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 令和元年東日本台風の次にバギーが力を発揮したのは、令和2年の関越道で起きた雪害支援です。令和2年12月16日に新潟県の関越道にて大雪による交通麻痺が起こり、高速道路上には約2100台もの車が滞留しました。中には、最長52時間車の中に閉じ込められた方も!

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 滞留が2日目に入ろうとしていた時、全く車が動かないことに危機感を感じた代表の林は、日本笑顔プロジェクトが連携をしているオフロードビークル協会 代表の高橋さんに連絡を取り、四輪バギーとスノーモービルを1台ずつ用意して頂き、17日の夜に小布施から新潟へ向かいました。当時は特に連携先もなかった為「何ができるかわからないけれど、空振りでもいいから行ってみよう」という想いが林の胸中にありました。

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 小布施を出発し新潟に入った林と高橋さんは、六日町のインターチェンジ近くまで来ました。すでにそこから車の滞留が始まっており、その先の高速道路上の状況がわからない為、二人は高速道路の側面を歩いて上り、高速道路内にいた自衛隊に声をかけ状況を確認しました。

 自衛隊の方々は10人ほどで雪上を徒歩で進みながら、パンやおにぎりを配っている状況でした。車に閉じ込められて既に2日目!そして今なお強く雪が降り続く状況下、これは急がなければまずい!と感じた2人は、自衛隊を通じてNEXCO新潟支社の許可を頂き、スノーモービル、キャタピラータイプの四輪バギーで六日町インターのゲートから進入しました。

2人は、自衛隊の方が歩くルートを四輪バギーやスノーモービルで圧雪したり、自衛隊と連携しながら各車に燃料を給油したり、マフラー周りの雪を片付けて一酸化炭素中毒を防いだり、様々な活動をしました。スノーモービルは雪のない道路を走行するとソリと言われる前部分が壊れてしまう為、トンネル等を走行することができません。しかし、四輪バギーであれば(ゴム製のキャタピラーの為)トンネル内などの雪のない場所も走行することが可能なため。雪のない道路でも非常に活躍しました。

この活動が世間に知られて四輪バギーの存在が一気に有名になりました。そしてこの雪害支援をきっかけにNEXCO東日本新潟支社様と災害協定を行い、冬の雪害支援に備えることとなりましたが、災害協定後すぐの令和3年1月に北陸道と国道8号線で立ち往生が発生。別の災害が起きました。

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 国土交通省北陸地方整備局とも新たに連携し、下道の立ち往生した車両に日本笑顔プロジェクト本部3名で、飲料・簡易トイレ・非常食を1台ずつドライバーに配ったり、マフラー周りの雪かきを行う等の支援にあたりました。立ち往生している車両の中には女性が1人で乗っている車両もあり、声をかけると涙を流されていました。どんなに心細くて怖かっただろう、と、今でも強く記憶に残っています。

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 そしてこの活動で四輪バギーの重要性を痛感した私たちは、ライセンス講習会を開催し、四輪バギーの人材育成を開始しました。

 バギーは、車のようにナンバーが無いため公道を走ることはできませんが(注1)、特に資格や免許がなくても、実は16歳以上なら私有地等で乗ることができます。我々は、事故を防ぐためにもライセンスを独自で作り、操作や性能など、四輪バギーについてしっかり学んだ人材の育成に力を入れています。

 四輪バギーの講習会はすでに100名を超える方が受講されています。受講者の皆様は実際に運転をし、四輪バギーの走破性に驚きを感じています。また、誰もが口をそろえて「楽しい」とおっしゃっています。楽しいことが防災につながる仕組み作りは非常に重要で「平時を楽しみ有事に備える」ことが実践できていると思っています。

 また、KDDIエンジニアリング様は、我々の活動を通じて四輪バギーを知り、昨年度導入、日本笑顔プロジェクトが定期的にKDDI職員様向けの講習会を開催しています。これまで、通信基地局がダウンした時には発電機を背負子で担ぐなど多大な時間と労力を要していましたが、四輪バギーの利用により、今では復旧作業の効率化や復旧速度のアップが図られています。今後は地元消防と山林火災時に水利のない場所へ四輪バギーを使い、水を運ぶような訓練などを開催していきます。

 日本笑顔プロジェクトは、台風災害や雪害支援等で四輪バギーを活用しています。今後もライセンス講習会を定期的に開催し、従事できるオペレーターを増やしながら災害に備えていきたいと思っています。

 次回はnuovoの全国展開に向けたお話をさせて頂きます。

(注1) NEXCO東日本新潟市支社様及び国土交通省北陸地方整備局様との災害協定締結により許可を得て走行可能

https://egaonowa.net/

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ONE-NAGANO長野地域版取材班
令和元年東日本台風からの復興に向けた様々な取り組みを紹介する長野県(長野地域振興局)の情報発信サイト「ONE NAGANO.NET 長野地域版」の取材班が、地域で出会った人々やまちの様子を書き留めます。