出雲の企業、ベトナムに法人を設立 日本の技能実習生を中心に雇用
引き続き、現在の島根県内での海外との関係として、最も目に見える関係の一つである「外国人雇用」について取り上げます。
具体的には、自社サービスの海外での展開の開始と、地元の出雲での雇用確保として外国人社員の雇用を両輪で進めようとする事例を取り上げます。
なお、個人的には、今後10年間程度のスパンで、ますます重要性が増していく企業課題の一つが外国人雇用だと確信しています。この分野における企業の新たな取組が増えてくるべきと感じています。
○山陰設備工業、ベトナムに法人を設立 日本の技能実習生を中心に雇用
※地元紙「山陰中央新報」(2024年9月26日)より抜粋し、紹介します。
建設業界の人手不足が続く中、配管工事などの山陰設備工業(出雲市稲岡町)が10月をめどに、人材確保の一環でベトナムに現地法人を設立する。実習期限を迎えた同社の技能実習生を中心に雇用し、ビルの配管工事などを受注するほか、ハノイ工科大学などトップクラスの教育機関と連携し、人材確保の拠点とする計画。ベトナム人社員を日本にも環流させ、人手不足を乗り越える。
同社は2017年に外国人の受け入れを始め、現在はベトナム人技能実習生ら9人が日本人従業員約20人と共に働く。ただ実習生の実習期間は最長5年で、その後は帰国するなどしていた。「せっかく日本で技術を学び、交流を深めた人材が離れるのはもったいない」(原真士社長)との考えから、継続雇用できる方法を検討した結果、現地での法人設立を決めた。
ベトナムは人口約1億人で、15~64歳の生産年齢人口が68%を占める。24年の国内総生産(GDP)成長率は推計5・8%。国際通貨基金(IMF)の予測では、25年は実質GDP成長率が6%超になるとされる。経済発展に伴い、オフィスビルなどの建設需要も伸びている。
山陰設備工業はホーチミン市に現地法人を設け、12月には工場を建設する計画で、総事業費は約1億円を見込む。同社で働いていた技能実習生らの人脈や経験を生かし、現地でビルの配管工事などを受注。現地法人社員は、高度専門職などの在留資格で日本での就業が可能になるため、出雲市の本社に勤務させて人手不足の解消につなげる。
ベトナムを代表する理系大学であるハノイ工科大やホーチミン市工科大と交流し、セミナーを開催。優秀な生徒には同社で働くことなどを条件に奨学金の支援も予定している。
現地法人での年間売り上げは当初1億円を目指す考えで、原社長は「ベトナム経済は発展しており、優秀な人材を多く獲得できる可能性も高い。現地を拠点に事業拡大や人材の確保、定着が進む体制を築きたい」と力を込めた。
以下、感想です。
国内消費の縮小により、国内にとどまっているだけでなく海外にチャレンジする必要があることはわかりつつも、島根のような地方の企業にとって海外展開はなかなか手が出しにくい取組です。
一方、国内事業においても若年労働力の減少などによる人手不足により、外国人労働力をあてにしないとやっていけない時代になってきています。
ある意味、外的要因においても、内的要因においても海外との関係を構築する必要性は高まってきていると言えます。でも、どうしたら、良いのか?
今回の山陰設備工業の取組は、地元での外国人社員の採用と海外での事業展開の両方を連動させていこうとする取組です。
上記の問いに対する、一つの答えになりそうで、他の企業にも参考になることが多いと思うので、注目していきたいです。
最後に、以前、外国人雇用に関する企業の皆様向けの島根県庁の支援策を紹介しました。あらためて、これらの支援策の概要をお伝えします。
https://note.com/ondakazuki/n/nff0821e90df2
https://note.com/ondakazuki/n/n7a3700ba2385
外国人雇用相談窓口
島根県庁商工労働部雇用政策課に外国人雇用の相談窓口を設置しています。相談員が常駐していますので、電話等で、気軽に相談していただけます。
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/employ/koyo_syugyo/gaikokujinnokoyo/index.html