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(公務員の仕事)予算執行の実務について(執行協議、予算流用、補正予算)

これまでの投稿では、予算が成立するまでの予算要求⇒査定⇒議会での議決の流れを中心に書いてきました。

今回の投稿では、実際に予算を執行していく段階に入った時に、実務的な面で重要と思われるポイントを書いていきます。

今回の投稿は、行政組織の内部の人には伝わるけど、そうではない人には「?」という内容になってしまったと思います。
「島根県ではこのようなやり方ですが、他の自治体ではどうでしょうか?」という問いかけでもあります。
行政向けの話ではありますが、「なるべく多くの人に知ってもらいたい」という気持ちもあり、誰でも読める場であるnoteに書いています。
公務員ではない人には、興味のない内容だったり、何のことかさっぱりだったとしたら、すみません。


1 予算の執行

県庁の各課は、議会により承認された予算内容に基づき、事業を実施していきます。

具体的には、個々の支出について、担当者が起案し、課長(重要なものは部長等)まで決裁を得る形で意思決定をした後、実行に移します。

支出の中には、①事業実施にあたり必要となる契約を結ぶ、②セミナーの講師や会場を手配する、③申請があった補助金を支給する、など様々なものがあります。

その事業の目的、事業内容、経費の内訳などが、予算要求時の状況から変更がない場合は、部課内の決裁のみで実行に移します。

一方、以下の3つの場合(執行協議、流用、補正予算)は、変化に対応する必要がある場合ということで、例外的な扱いになります。該当する場合は、規定された手続きを経たうえで、予算を執行する必要があります。

【予算があるからといって、なんでもかんでも、好き勝手にできるわけではありません。
 常識に照らしても、当初の予定と違うことをする際には制約があるのは当たり前かもしれません。一方、以下の手続きを踏む必要があることは、結果的に公務員が臨機応変な対応が苦手となる要因の一つになっているかも。】

2 予算の執行協議

予算の執行は、予算の範囲を超えないこと、及び、予算の事業内容に変更がないことが原則ですが、何らかの事情の変化があり、必ずしも、予算要求した通りの内容では事業が実施できないこともあり得ます。
そのような場合は、次のような形で、予算の執行協議を行って、財政課の了解を得てから、実行します。

執行協議は、担当課からの相談に基づき、とりまとめ課が財政課に対し、協議を行います。

情勢の変化などにより執行協議を行う場合は、「事情」だけでなく、「理屈」で説明できるように準備します(例えば、①当初、情勢の変化が見通せなかった客観的な説明や、②やり方を変えても同等かそれ以上の効果が期待できること、など。)

執行協議は、結論が出るまで時間がかかるケースもあるので、余裕をもったスケジュールでの相談=早いタイミングでの相談が大切です。

なお、執行協議をすべき事案だったのに、そのことに気づかないまま、(結果的に)無断で執行方法を変えてしまった、ということが生じる可能性があります。これを防ぐためにも、執行協議が必要なケースをあらかじめ認識し、危険察知能力を上げておく必要があります。

3 予算の流用

 自治体の予算には、旅費、委託費、補助費などの費目という区分があります。先ほどの執行協議とも関連しますが、事業の実行方法を変える場合など、ある費目の金額を増やす必要が生じたときに、別の費目からお金を持ってくることを流用といいます。

流用には、部内のとりまとめ課への事前相談が必要であり、場合によっては財政課への協議が必要なものもあります。

 なお、島根県予算規則においては、「人件費、物件費相互間の流用」「補助金の流用」はできないこととなっています。

4 補正予算

大きな政策変更を行う際には、執行協議や予算の流用ではなく、補正予算を編成します。

以上、分かる人には当たり前な内容だったかもしれませんが、参考にしてください。

最後に、、、
公務員の仕事の中で、重要なもののひとつである、「予算編成(要求)」に関する概要をまとめた記事を書いています。こちらも参考にしてください。


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