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インカトレイル-4200mまで-

私はどこでも寝れる方だがどうしても一泊目、初日は眠りが浅くなる。
目が覚めたが、周りはまだ暗い。

外の空気を吸うために、テントから出るとひんやりとした空気が伝わってきた。
好きな空気だ。
近くのベンチに座り、空を見上げると満天の星空。
インカ道はアンデス山脈の渓谷を通るので、壁の様にそびえたつ山々で空は狭くなっているが、それでも十分にきれいだった。
フィッツロイに行った時と同じくらいの感動だ。

ずっと見ていたいが寒くなってきたので、テントに戻り寝袋にもう一度もぐりこんだ。

だんだんと明るくなり、朝食の時間に近づいてきた。
テントから出ると、ポーターたちがせっせと朝食の準備をしてくれているところだった。
席に着き、暖かいお茶をすすると、じんわりと体が暖かくなった。

朝食を食べ、支度をして2日目の一歩目を踏み出した。
テントはポーターが片付けて次のキャンプ地へ運んでくれる。

2日目は、インカトレイル最高地点の4200mに向かう。
途中には、インカ帝国時代に使われた中継地点や畑が数多くあった。
平地が少ないので、山を切り開き段々畑が作られていた。
日本でも見られる形式の畑は、遠く南米でも使われていることに驚いた。

だんだんと高度が上がり、ペースもゆっくりとなった。
4200mが遠くに見え、心が折れそうになる。前を見ないように一歩ずつ進んでいる中、横をラマが颯爽と駆け抜けて行った。

パーティーで一番早かったのは、20代くらいの兄弟だった。
最高地点でも、しゃべりながら歩く余裕さえあった。50代の夫婦はだんだんとスピードが遅くなり、苦しそうだ。
最高地点へ到着し、振り返ると遠くにスタート地点が見えた。

パーティーのほとんどがアメリカ人なので当然英語だった。会話の中で「Oh my gosh!」がよく聞こえた。英語に明るくない私は、「Oh my god!」じゃないのかと疑問に思ったが、最近は、宗教の観点からgoshの方が一般的らしい。
日本語もそうだけど、英語も時代によって変化していくもんだなと感じる場面だった。

3日目は、マチュピチュの手前まで行き、最終日に太陽の門と呼ばれる場所から入る行程だ。

3日目の朝は昨日の疲れが残っていて、起きるのが億劫だった。
それでも、パッキングをして歩き始めるとインカ道でしか見られない、岩をくりぬいた道や石を積み上げた関所が点々とあり飽きることなく進めた。
インカ道はクスコからマチュピチュへだけでなく、アンデス山脈全域に広がっているのでその全貌はまだわかっていないらしい。

最終キャンプ地に到着すると、他のパーティーが5組くらいいてにぎわっていた。
夕飯を終えると、私たちに帯同してくれたシェフやポーターに感謝の挨拶をしてチップを払った。

明日はついに最終日、、、


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