あのね

あのね。貴方の笑顔、本当に素敵だった
土曜日のお昼前。線路沿いのうどん屋さん。わかめ沢山食べると髪がさらさらになること信じてわかめうどん

お爺ちゃんの口癖の 俺が生きてるうちになんでも買っとけ。服を交互に眺めていたらどっちも買いなさいって、、。きゃっ!ほんと大好き
(*優柔不断な私には私の手から無理矢理物を引っこ抜いてカゴに入れてしまう乱暴さは必要)
もうすぐ死ぬんやからも口癖でもうすぐ死んじゃった。

買った服のファションショーの舞台はお婆ちゃんのお家。歩くたびに下の階の人から苦情が来るんだけど。ブーツとか履いて家中歩いちゃう。

私の顧客はおばあちゃんただひとり。おばあちゃんのためだけの初孫によるショー
迷惑客に対応するのはお父さんのお仕事だもんね

ショーの最中に我慢できなくなって私をこそばしてくるから逃げ回ってたらまた下の階から迷惑客が

おばあちゃんを見送って12年が経つけれど、あのね。、いちばん会いたいのはおばあちゃんなんだよ

人に迷惑をかけてはいけないと、
大声を出したり、自分のこと話すことさえ禁止されていた私に迷惑かけてもいいから貴方も許しなさいと教えてくれた祖母。少し、少し前まで忘れてた

貴方が死んでから私は人に迷惑をかけないように生きるのに全力だった

あのね、棺桶の中の貴方を見るお爺ちゃんが今でも焼きついてる。貴方にも見て欲しかった
ひとりパイプ椅子をどこからか引き摺り出してきて、おばあちゃんの近くからずっと離れずにいた寂しそうなお爺ちゃんの目。

この世に溢れているどの愛よりも愛でした。

あぁこのままラウトカまで降りたくないなぁ

日本に見送るたび、あこに会いたくて泣いてしまう。私残される側大嫌いなのに。

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