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サルはそのうち人間になるのか?

 大人が普段忘れている自然な疑問を、子供はふと思い出させてくれたりします。子供が発した一言から、いろいろあれこれ考えて、ふと気づくこともあるものです。
 似たような目線・発想をする者同士より、違った目線・発想をする人と一緒に考える方が面白い。子供は絶好のパートナーです。


サルはそのうち人間になるのか?

娘からの質問。「人間って、昔はサルだったんでしょ?」
私は答えた。 「そうだね。中にはまだサルっぽいヤツもいるけどね」
続いて質問。 「ってことは、サルはそのうち人間になるの?」
私は詰まった。「… さぁ、どうなんだろ?」

 後でのんびり考えました。いや、サルはこの先もサルのまんまでしょう、たぶん。サルはサルなりに進化するのかもしれないが、おそらく人間になったりはしないでしょう。未来のことは断言できませんが、きっとそうだろうと思います。
 でもねぇ、「サルが人間に進化した」と言われると、サルがそのうちみんな人間になっちゃうように聞こえますね。娘がそう思うのは当然です。誤解しやすい言い方なんですよね。
 想像してみました。サル山のサルの一匹がある日突然人間になったとか、サルの赤ちゃんの毛がすこしずつ抜けて気がついたら人間になっていたとか、ジャングルの高い木の上に村があるので聞いてみたら「あの人たちついこの前までサルだったのよ」とか。いやいや、それはないでしょう。

 「サルが人間に進化した」というより、本当は「サルと人間に分かれた」んですよね。どのタイミングかはわかりませんが、どこかで枝分かれしたんでしょう、たぶん。その瞬間を私は目撃したわけではありませんから確証はありませんが、きっとそういうことなんだろうと思います。
 それに、進化というけれど、退化した部分だってあるはずです。というより「進化」という価値観を匂わせる表現がまた胡散臭いんですね。変わる方向性が「良い方向」だと決めつけています。
 「進化した」と言うより、素直に「分かれた」と言えばいいんじゃないでしょうか。考えてみると、「分かれた」という言い方なら、生物に限らず、地球そのものについても同じ言葉で語れます。

宇宙のチリが渦状に廻り始めて、恒星と惑星に分かれた。こうして地球が誕生した。
できたてホヤホヤの地球は少しずつ冷えて、やがて核と地表に分かれた。
続いて気体がこもって空と陸地に分かれ、さらに水がたまって海と陸に分かれた。

深海の熱水のそばで生まれた生物は、そこに留まるものと水面近くに移り住むものに分かれ、
さらに海で生活するものと陸で生活するものに分かれた。
同時に、植物と動物に分かれた。・・・ (中略) ・・・ サルと人間に分かれた。

 分かれて分かれてどんどん細かくなって、多様性に満ちた今がある。「進化論」改め「分化論」です。

もし性別が3種類あったら?

娘からの質問。「あかちゃんは、おかあさんのお腹から産まれてくるんでしょ」
私が答えた。「そうだね」
続いて娘。「どうして、おとうさんが要るの?」
年ごろの子供の自然な疑問だ。
父親としては、こういう質問にはちゃんと答えた方がいいんだろう。
「うーん ・・・ 犬も猫もカタツムリも、オスとメスが両方いないと産まれないんだな。
花だって、めしべとおしべの両方要る。 そういうことになってるんだよなぁ ・・・」
「どうして2つ要るの?」、同じ質問が続いた。
「1つじゃダメなんだよ」と私。でも、それじゃ答えになっていないことに私も薄々気づいてはいる。
そうしたら娘は問いを微妙に変えてきた。「3つはダメなの?」

 えっ、3つ???
 「それじゃ、結婚するのも大変だな。3種類がいい感じで出会って、気持ちとタイミングがぴったり合うなんて、難しそうだなぁ」
 関係を維持するのも難しそうだ。2種類のときよりも、3種類になったら、もっと難しいだろうな、そんなことも考えました。
 話は微妙にズレてきているのかもしれません。もともとの話は「どうやったら子供ができるのか」という話だったんでしょう。そこに戻すべきでしょうか。
 そんなことを思っているうちに、私の頭は「3種類で子供を作るとしたら、どんな風になるんだろう?」という方へ行ってしまいました。そして空想するうちに、こりゃ大変だと思いました。その煩わしさは、2人の場合とは比べ物にならないでしょう。
 私は娘に答えました。「3つだったら、少子化がもっと進むだろうな。きっと『2つ』が最適解なんだよ」
 「ふーん ・・・ そうなのかな?」と娘。
 娘からの追及はとりあえず止みました。ここから先はママ、よろしく!

子供の気持ち と 大人の気持ち

子:パパがみるテレビ番組、子供にはつまんないの!
パパだって子供だったときがあるんだから、子供の気持ちわかるでしょ!

父:わかるけど 。。。 パパも好きな番組みたいな。
  ◯◯ちゃんも「大人の気持ち」わかってよ。

子:パパは子供だったときがあるけど、
私は大人だったときは無いんだから、大人の気持ちわかるわけないじゃん!

父:(やれやれ。… いや、なるほど … うん、確かに、そりゃそうだ … )

◇      ◇      ◇

〜 子供といっしょに考える科学 〜  
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