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「怪獣8号」に学ぶ、自然に帰るべきか盛るべきか。結局みんな海老が好き。

シン・エヴァンゲリオン劇場版のラストスパートがエグい。


2021年3月8日の公開から3ヶ月。さすがに上映回数は減ってきているものの興行収入は93.2億円突破と、庵野監督が舞台挨拶で「ニッチなロボットアニメで100億を目指せるのはありがたいこと」と言及した大台まであと一歩というところまで来ている。



この勢いに拍車をかけているのが入場者特典の存在だ。第一弾の式波・アスカ・ラングレー描き下ろしチラシから始まり、ビジュアルカードやリバーシブルポスターなど、ファンの心をくすぐるグッズが次から次へと配布され続けている。

特に話題になったのが『:Q』前日譚となる描き下ろし漫画を含んだ公式謹製36P冊子『EVA-EXTRA-EXTRA』だ。

入場特典としてはありえないボリュームと、『:破』から『:Q』までの謎に包まれた14年の一部が明かされるという期待感もあり、配布が開始された週の興行収入が前週比960.5%という異常な数字を叩き出した。

さすが何年も待たされ続けた者達は面構えが違うなと感慨深い気持ちになる。ちなみに私も頂いた。計4度目の視聴である。

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(調査兵団化したEVAファンたち:『進撃の巨人』1巻より引用 諫山創著)



とはいえ、さすがに「もう映画館で見ることはないだろうなぁ〜お腹いっぱいだなぁ〜」と思っていた。普通の人は同じ映画を4回も見ない。しかし先日、公式から入場特典第5弾のお知らせがあった。


内容は人気キャラクター「真希波・マリ・イラストリアス」と「渚カヲル」のキャストサイン入りポスターの配布だそうだ。特典盛り盛りである。

これだけだったら「頑張るなぁ」といったあっさりとした感想で済んだかもしれないが、エグいのは「配布はどちらか1枚となり、絵柄を選ぶことはできません」という一文が加わっていた点である。ここにきてまさかのガチャ要素の追加。

お目当てが当たるまで通わせる気なのか……。ここに100億を目指す怪物が生まれてしまった。

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(㈱カラーは…彼は楽しんでいる……:『Monster』より引用 浦沢直樹著)


案の定Twitterは「譲:マリ、求:カヲル」といった交換を希望する投稿で溢れ返ってしまった。


友人の一人が熱烈なエヴァファンなのだが、この特典入手には流石に二の足を踏んでいた。それもそうだ。EVA-EXTRA-EXTRA目当てでつい先日私と行ったばかりなのだから。

それでも彼は通算5度目の視聴をするか迷っていた。「この入場者特典からは逃げちゃダメな気がする」とメッセージが届いた時は、彼の魂はエヴァの呪縛から逃れられていないのだと儚い気持ちになったが、別の友人から「大人になれシンジ」と諭され、彼は無茶な来場を思いとどまることが出来た。

ちなみに私ももう行かない。これ以上行ってしまっては、嫁さんの顔を正面から見れなくなる。


普通の人は怪物に立ち向かってはいけない。一目散に逃げるのが長生きの秘訣である。しかし今話題の『怪獣8号』は、怪物から市民を守るべく、自らを震え立たせる物語である。



出会うのが遅すぎたんだ

松本直也先生の『怪獣8号』は、今にわかに注目を集めている作品だ。既刊3冊とこれからの漫画であるが、連載している「ジャンプ+」での総閲覧数は1億回を超えている参照)。鬼滅,呪術,怪獣8号と立て続けにヒット作に恵まれる集英社は笑いが止まらないだろう。

怪獣が容赦なく人々の日常生活を破壊する“怪獣大国”・日本。幼いころに住む町が破壊された主人公の日比野カフカは、幼馴染の亜白ミナとともに「怪獣を全滅させよう」と約束した。(中略)決意を新たにするカフカだが、謎の生物に浸食されて身体を怪獣化され、「怪獣8号」と呼ばれるようになってしまう。

『怪獣8号』Wikipediaより引用


いろいろな本屋さんでも大々的に宣伝されていたこともあって、私も認知はしていた。更に友人から是非にと勧められて読むに至った訳だ。

感想としては、もう少し早く読みたかったなといった感じだ「早く」というのは「世間で注目される前に!」とか「1巻が出る前に!」ということではなく、自分が少年の頃に読みたかったなという意味だ。


『怪獣8号』はよく出来た王道漫画だ。良質な作画に加え、シリアスなバトルシーンとコメディパートがシームレスに描かれているので、全編通じてストレス無く読める。

個人的には怪獣化した主人公が強すぎてほぼワンパンマン化しているので、こいつがシリアスな場面に出てくるだけで笑える。これこそが『バクマン』でよく言及されていたシリアスな笑いなのかもしれない。

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(カッコいい場面なのに笑える:『怪獣8号』2巻より引用 松本直也著)


でもこれは本来の楽しみ方とは違うのだと思う。

カッコいい大ゴマのバトルシーンにドキドキし、人語を操る人型怪獣の正体を予想するのが、きっと正しい楽しみ方だ。青少年のあるべき姿と言える。


しかし私は、主人公が謎のまま手に入れた怪獣の力をつかって怪獣たちを倒していく姿をみて、『仮面ライダー』と同じように、全ての怪獣を倒した後に残されたのは、怪獣である自分という展開にならないかと期待してしまった。

主人公が怪獣を倒していく中で自己否定に苛まれる姿が見たいという……。我ながら滅茶苦茶すれた見方だ。少年漫画に期待することではない。


自分の年齢は当然のこと、本作が対象とする読者層ではもうないんだなという物悲しさを感じた。エヴァの呪縛からは逃れられても、漫画の呪縛からは逃れられない。その結果がコレである。

…………もっともエヴァの呪縛からも逃れられている気がしないが。



Q. 金髪ツインテールから何を連想しますか?

それでも『怪獣8号』は読んでいて楽しい。何が楽しいって「四ノ宮キコル」が楽しくて読んでいる。

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(見ていて楽しいキャラクター:『怪獣8号』1巻より引用 松本直也著)


四ノ宮キコルは怪獣から街を守る防衛隊の一員だ。主人公とは同期である。「16歳で大学を最年少主席卒業」「お嬢様」と生まれながらのエリートなのだが、「自分のいる戦場で死人は出さない」といったアツい一面もあって、親しみを持ちやすい。なによりコロコロかわる彼女の表情は、とても魅力的だ。

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(可愛い、これは可愛い:『怪獣8号』1巻より引用 松本直也著)


そんな彼女の大きな特徴の一つが金髪ツインテールである。両サイドに束ねた髪を、なにかとパンパンはたいている。この仕草、めちゃくちゃ気になる。クセなのだろうか……えっ、なにそれ、どんなクセなん???

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(クセが凄い:『怪獣8号』1巻より引用 松本直也著)



ところで、皆さんは金髪ツインテールから何を連想しますか?

サブカルチャーに明るい人は「ツンデレ」「お嬢様」「妹キャラ」といった、この手のキャラクターによくあるテンプレートを思い浮かべるのではないだろうか。しかしサブカルチャーに疎い人は異なる印象を持っている。

試しに嫁さんに質問してみたら「オタクが好きな髪型」と即答された。豪速球が過ぎる。辛辣な意見だが否定することが出来ず、私は泣いた。



何故かマンガやアニメのキャラクターにはツインテールが多い。

現実で成人女性がツインテールをしていたら二度見してしまうが、キコルしかり、マンガでツインテールのキャラクターが出てきても、そこに驚きもない。すんなり受け入れて物語に没頭してしまう。

このツインテールの二面性は一体何なのだろうか?



古代ローマのIKKOさん

ツインテールが持つ二面性を考察ために、とりあえず女性の髪型の歴史に関連する書籍を読んだ。『女性の服飾文化史』と『女性たちの美容文化史』という本だ。


古くはツインテールを二つ結びと呼んだそうだが、その基となったのが一つ結び、通称ポニーテールであることに違和感はない。ポニーテールの歴史は古く、古代ギリシャ時代(紀元前2000〜1500年)のフレスコ画などにもポニーテールの女性が描かれている。

The ponytail can be traced back to Ancient Greece, from records of images depicting women with ponytails in ancient Greek artefacts and artworks, such as the frescoes painted millennia ago in Cretes (2000-1500 BC).

『Ponytail』Wikipediaより引用


しかし、ポニーテールは長らく成人女性の一般的な髪型であったわけではなかった。女性の髪型は時代背景とともに移り変わっていく。その例示として、まず初めにローマ帝国第5代皇帝ネロ・クラウディウスの2番目の妻であるポッパエア・サビナ(33〜65年没)を紹介したい。

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(ポッパエア・サビナ:『Poppaea Sabina』Wikipediaより引用 作者不明,フォンテーヌブロー派 )


皇帝の妻としてのポッパエアの評判は決して良いものではなかったが、彼女の美への探究心には眼を見張るものがあった。古代ローマのカリスマ美容家、言い換えれば古代ローマのIKKOさんだ。

歴史上、最も化粧に時間を費やした女性と言われた彼女の美容法には理解に苦しむものも多い。


当時は色白できめ細やかな肌を保つのために、ロバのミルクのお風呂に入ることが良いとされていた。このためポッパエアは500頭の牝ロバを飼い、また旅行に行くときは50頭の牝ロバを連れて行ったそうだ。

どんだけ〜。


ちなみに、ヤマザキマリ先生、とり・みき先生の『プリニウス』にも、ポッパエアがロバのミルクのお風呂に入り、案の定、民衆にバカにされる様子が描かれている。そらそうよ。

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(羨ましくない贅沢:『プリニウス』2巻より引用 ヤマザキマリ,とり・みき著)


ちなみに嫁さんの誕生日が近かったので、ポッパエアの話を交えながら「誕生日プレゼントに牝ロバはどう?」と提案してみたら、「……最低でも3頭は欲しいね!」と斜め上のねだられ方をされてしまった。危うくベランダで牧畜をする羽目になるところだった。

Tips!:誕生日プレゼントに牝ロバを勧めると痛い目に遭う



他にもポッパエアはネイルを竜の血に羊の脂を混ぜたもので染めていたなど、真実はどうあれ、美容に関する意気込みが凄いと感じさせる逸話が多い。

さて、そんなポッパエアの髪型について、以下のような記述があった。

この頃の貴婦人たちはキプロス・カール(古代ギリシャ女性が用いていた前髪用のカツラ)で顔のまわりを飾るなどしてフェイスラインを整え、美しさを強調していました。

『女性たちの美容文化史』より引用 ジェニー牛山著


先の肖像画だけではなく、ネロとポッパエアが彫られた当時の硬貨からも、フェイスライン周辺をバキバキのキプロス・カールで固めている様子がわかる。主張は強く顔に自信がある人にしか出来ない、ある意味、美貌に優れたポッパエアに合った髪型なのだろう。



知恵とセンスは紙一重

ポッパエアの時代から1600年ほど経っても、女性たちの髪型の主張は強いままであった。白粉を1.3センチもの厚さに塗っていたことで定評のあるエリザベス一世(1533~1603年没)に代表されるように、流行に即した髪色のカツラを使って豊かな髪を高く演出した。

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(髪型よりも気になるところが多すぎる:『エリザベス一世』Wikipediaより画像引用 Robert Peake the Elder著)



この美容史に新しい風を起こしたのが、フランス王ルイ14世の愛妾であるマリー・アンジェリク・ド・フォンタンジュ、通称フォンタンジュ公爵夫人(1661~1681年没)だ。

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(時代の変わり目:『Marie Angélique de Scorailles, Duchess of Fontanges』Wikipediaより画像引用 作者不明)


ある日、狩猟に出かけたルイ14世に同行したフォンタンジュであったが、突然の風に帽子が飛ばされ髪が解けてしまった。フォンタンジュは咄嗟に靴下留のリボンで乱れた髪を結い上げ、花のついた枝で髪を飾ることで、事なきを得た。

リボンで髪を結い上げたシンプルなヘアスタイルであったが、ルイ14世がこれをとても気に入ったため、宮廷の女性たちにバズり始めた。フォンタンジュ風ヘアスタイル(Coiffure à la Fontanges)の始まりである。

当時バキバキに髪を盛るスタイルが流行の先端にあったなか、フォンタンジュが披露したシンプルなヘアスタイルがルイ14世の目に新鮮に写ったことは想像に難しくない。女性らしい自然の美しさが心を打ったのだろう。


しかし流行りものはいつの時代も変化をし続ける。せっかくの自然な髪型が売りのフォンタンジュ風ヘアスタイルであったが、何を血迷ったか結い上げた髪の高さを競い合う「フォンタンジュ亜種」が生まれてしまったのだ。

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(フォンタンジュ亜種:『Marie Louise Thérèse de Savoie, princesse de Lamballe』より引用 Antoine-François Callet 作)


フランスの思想家、シャルル・ド・モンテスキュー(1689~1755年没)はペルシャ書簡の中で「フォンタンジュ風ヘア、マジでウザい。あいつら顔が姿全体の中央にあるやん」というような不快感を記している。

せっかくの良いところを全て帳消しにしたフォンタンジュ亜種にルイ14世は呆れ返り、宮廷でのフォンタンジュ風ヘアスタイルを禁じたことで、流行は終息してしまった。


ちなみにフォンタンジュは頭が悪くて有名であった。彼女に仕えた召使いはフォンタンジュについて以下のように述べている。

「彼女はとろいけれども親切で、天使のように美しい」

『女性たちの美容文化史』より引用 ジョニー牛山著


素晴らしい発見をしたフォンタンジュは実は賢くなく、逆に教養のある宮廷の女性は良いところを全消しにしたフォンタンジュ亜種を生み出すという、知識とセンスは必ずしも一致するものではないと認識させる出来事であった。



ナチュラルへの回帰

フォンタンジュ風ヘアスタイルの流行から、およそ150年過ぎた18世紀中頃。この間にも、結髪師によって巨大に高く結われたロココ・スタイルの流行が訪れたりと、相変わらず主張の強い髪型が主流であった。

しかし古代ギリシャ芸術の素晴らしさに回帰する新古典主義の影響が、この時代の髪型にも影響を及ぼすようになる。

古代ローマ遺跡のヘラクラネウムやポンペイの発掘が始まり、新古典主義への思考がヨーロッパに現れた。新古典主義とは古代ギリシャ・ローマ風へのあこがれを原動力に、「自然に帰れ」と説くジャン=ジャック・ルソーの啓蒙思想を背景にしてヨーロッパにおいて芸術から生活全般に行き渡っていった思想であり、文化である。

『女性の服飾文化史』より引用 日置久子著


代表的な人物として、ジュリエット・レカミエ(1777~1849年没)、通称レカミエ夫人を紹介したい。

統領政府時代、社交界の花形であったレカミエ夫人が開いたサロンには、多くの知識人や政治家が集まった。時の皇帝、ナポレオン・ボナパルトからの求愛を受け続けたが、これを断り続けたレカミエ夫人はパリから追放されてしまった。

下記はナポレオンがレカミエ夫人を思い作成依頼した肖像画であるが、彼女からは気に入られず、作品は未完となっている。どの方面も不憫な話だ。

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(レカミエ夫人:『Madame Récamier painted』より画像引用 Jacques-Louis David作)



肖像画からもわかるように、彼女のスタイルは至ってシンプルである。髪型も当時としては珍しいショートカット、服装も古代ギリシャを思わせるシンプルな白いシュミーズドレス姿で描かれている。

髪型も服装も女性が持つ自然な美しさを表現するために極力シンプルな装いを好んだレカミエ夫人は、流行の最先端に居たと言える。



盛るか、ナチュラルか

あるがままの美しさを追求する潮流は徐々に大きくなっていった。これはヨーロッパだけではなく日本でも同様である。

時代劇でよく見るような日本髪は、大量の油で髪を固めるため重く通気性が悪い。これより多くの女性たちは痒みや頭痛に悩まされていたことから、衛生的・経済的側面から有害という過激な提言が明治18年(1885年)にあり、比較的容易に結える束髪へと徐々にスタイルを変えていった。


長らく一般的ではなかったポニーテールも、仕事や運動など活動の場を広げた女性のスタイルによりフィットし、またオードリ・ヘップバーンなどの銀幕スターがポニーテール姿を披露したことも手伝って、より広く浸透していった。

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(ポニテヘップバーン:画像引用


全く関係ないが、私はいままで「好きな女性のタイプは?」という問いに「オードリ・ヘップバーン」と答えるような奴が嫌いだった。いまさらビジュアル最強の彼女を推されても面白みがないので、「ハイハイ、天ぷらは塩で食べるタイプの回答ね」と心のなかで軽く受け流していた。

しかし、今回の記事を書く中で軽い気持ちで調べたオードリ・ヘップバーンのポニーテール姿に度肝を抜かれた。可愛すぎる。とてもじゃないが50年以上前の写真とは思えない。

ビジュアルや素材の大切さを、オードリから学べた気がする。

Tips!:天ぷらは塩に限る



異常に前フリが長くなってしまったが、話をツインテールに戻そうと思う。ツインテールは1980年代に、アニメやマンガといった日本のサブカルチャーを発端に認知されるようになった。ちなみにツインテールは和製英語である。

『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎを筆頭に、サブカルチャーの中で勢力を拡大していったツインテールであるが、前述の通り、現実世界でツインテールをしている方をなかなか見ることはない。ほとんどレアポケモンである。

レアケースとしてアイドルが例示されるくらいではないだろうか。

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(レアポケモンことリアルのツインテール:『渡辺麻友』エケペディアより画像引用)



認知はあれどツインテールが広く実践されなかった理由を考察した際に、浮かんできたのがフォンタンジュ亜種の存在であった。

フォンタンジュ亜種は、女性本来が持つ自然の美しさを際立たせたフォンタンジュ風ヘアスタイルの良いところを全部無くして、結い上げた髪の高さを競い始めてしまった悲しき髪型であった。

ルイ14世やモンテスキューからもウザがられ、踏んだり蹴ったりである。



実はツインテールにも似たような側面がある。

基となるポニーテールは、時代とともに活躍の場が広がった女性たちのニーズを満たしていた。動きやすく衛生的なポニーテールはある意味女性の権利開放の象徴であったと言える。

しかし、ツインテールの両サイドに流れる髪束は日々の生活の邪魔にしかならない。運動するにも働くにも邪魔なツインテールを進んでする成人女性は少なく、その結果、幼い子供にしかツインテールをすることがなくなったのではないか。

こうして子供っぽい髪型といった印象がついていけば、世の女性がツインテールをする理由はより無くなる。

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(邪魔そう:『怪獣8号』2巻より引用 松本直也著)


一方でサブカルチャーの中では、日常生活での利便性を考える必要がないので、他のキャラクターと明確に差別化できるツインテールは広く普及し、次第に「ツンデレ」「お嬢様」「妹キャラ」といったテンプレート化に至ったと考えられる。

ナチュラルな美しさとは、単に外形の美しさだけではなく日常の機能性も兼ね備えていたが、フォンタンジュ亜種やツインテールは主張が強さに特化した髪型であり、現代社会で広く普及するに至らなかった。


まとめ

ツインテールの二面性について、女性の髪型の歴史から考察を行った。

『怪獣8号』での四宮キコルは従来のツインテールキャラがもつ「ツンデレ」「お嬢様」といった属性に熱血といった要素が加わり、とても魅力的なキャラクターとなっている。コレは間違いない。

マンガの中では本文中で述べたようなツインテールのデメリットを感じることは一切ないので、今後も存分に活躍して欲しい。



ちなみにツインテールの語源として有力なのが、『帰ってきたウルトラマン』の怪獣ツインテールだ。両サイドに割れた尻尾はまさにツインテール。

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(元祖ツインテール:『帰ってきたウルトラマン』より画像引用 円谷プロダクション制作)


怪獣を倒す彼女の髪型の由来が怪獣という皮肉。ちなみに怪獣ツインテールの肉は海老の味がして美味しいことで有名だ。

なんとなくツインテールが人気な理由が分かったような気がする。海老、美味しいもん。


それでは。

(今までの記事はコチラ:マガジン『大衆象を評す』


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