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歪なくらいが、家族のバランス

5月も半ば、母から届いた母の日メール。
「日帰りでもいいので、会いに行こうと思っています」の一文。

3月後半から休職しているアラフォーおひとりさま、母の日も忘れていた娘に突如きた連絡。1年近く会っていなかったこともあり、そろそろ帰省すべきなのかを悩んでいたが、どうにも怠さから移動距離に勝てずにいた。

北関東とはいえ、実家はほぼ山奥。田舎育ち+インドアな母には都会の電車の乗り換えはハードルどころか、壁である。

それでも、ひとり会いに行こうと決意してくれたことが嬉しかった。

最近の母と姉とのグループLINE。
約1ヶ月間の帰国を間近に控えた姉家族。私の不安を煽るような姉の発言の連発にストレスを感じていた私。その度に肝を冷やしていた母。

別途、フォローメールを送ってくれる母に救われていたのは事実。と同時に母が思っていた以上に鬱の症状などを調べ、自分なりに理解しようと歩み寄り、見守ってくれているのだと感じた。

両親に関する悩みや不満は姉と共有してきたが、心身の不安定さや弱さは母がいち早く察知する。

小さい頃から風邪をひくと顔が腫れぼったくなる私に「もうすぐ風邪をひくのかな、顔が不細工だねぇ」とおでこを触ってくれた記憶は鮮明。
いまだ帰省時にそうなれば、その一言は放たれる。

母伝いに私の休職と病状を知った父は、先月突然電話をしてきた。
なんやかんや口実をつけつつ「声がききたかったんだ」と核心の一言。
おしゃべり好きな父だが、こう言う時は恐ろしいほど口下手になる。
申し訳ないが感動よりも、新たな一面に鳥肌が勝ってしまったのは母と私だけの秘密だ。

物理的に一番近くに住んでいるのだから事情を知らせておいてほしいと姉に懇願され、弟にも連絡。
「無理が一番よくないから、あせらず今はご自愛ください」といったような、彼らしいシンプルな返信がいつもよりも早く届いた。

今回、鬱になって気がついたことは家族のバランス。
経済的な厳しさから苦労も理不尽も正直多かった我が家。
両親は真逆な性格。キャラクターもバラバラで、結果みな自由人。
だが実は、その歪さが互いを補いあってきたのだと納得した。

振り返れば、その時々の問題や状況に合わせ、リーダーやフォロワー、ムードメーカーなど、暗黙の了解のように役割を担う立場がそれぞれ入れ代わり、様々を乗り越えてきたようにも思う。

姉の奔放さは、強さでもあり。
弟の不器用さは、思慮深さでもあり。
母の繊細さは、優しさでもあり。
父の自由さは、寛容さでもあるのだと。

今更だがそんなことに気付かされて「ありがたい」と思った、人生半ばの春。




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