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顔のはなし

学生時代、一瞬、警察官になろうとしていた時期があった。自分でもよく分からない。一瞬過ぎて、試験すら受けていない。ならなくて、よかったと思う。

当時の彼に、思いがけないことを言われた。

「おもちは顔がはっきりしているから、受からないかもよ。」

何なに、その理由。詳しく聞いてみると、顔は捜査に影響するらしい。顔がはっきりしていると印象に残りやすいため、顔が薄い人しか受からないと言うのだ。

捜査しなかったらいいじゃん。警察にも色々な部署がある。多少関係するかもしれないけど、都市伝説のようなものだろうと思った。

でも、よく考えた。自分を犠牲にして人のために危険な思いはしたくない。警察官や消防士の人は、どうやってバランスを取っているのだろう。今だと、医師や看護師の人もそうだ。

わたしは、結果的に保育士になった。わたしの顔は、保育士に向いていたようだ。

数年前、大きな地震が起きた時のこと。障がいのある子どもの入所施設で働いていた。夜の地震に備え夜勤者を増やしていた。限られた人数でシフトを回すため、夜勤+残業の日々。

疲れ果てて家で寝ている時に地震が起きても、ベッドから起き上がることができなかった。もしこのまま死んでしまっても仕方ない。そう思った。

せっかく、よくわからない理由で止めてくれたのに、わたしは激務にたどり着く運命だったのかもしれない。

自分の命より、優先しないといけない命があるということ。それを仕事にすることの負担。

できれば、もうそういう仕事はしたくない。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

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