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CHRO(最高人事責任者)の設置がもたらすもの~【解説】人的資本可視化指針(第13回)

シーエイチアールオー、それって何?と思った時を思い出します。それから隔世の感があります。普通にCHROに会うことがあるのです。時代は変わりました。とはいえCHROって何?と言う人もいるでしょうので確認しましょう。

HRプロさんの定義によると・・・

Chief Human Resource Officerの略称であり、日本語で「最高人事責任者」を意味する。経営陣の一人として戦略人事を実行するとともに、人事関連のすべての業務に責任を持つポジション

HRプロ「CHRO」の役割や人事部長との違いとは? 必要なスキルや能力、企業事例なども解説]」より

ということのようです。CFO、COOといった同等になった感じといったところでしょうか。つまり、「経営陣の1人」となるのです。特に戦略人事において、その役割が求められています。

人事部長やCHROとの違い

人事部は人事の統括をする部長です。人材の採用や育成・人事管理に関する業務を統括しているという役割です(詳しくはHRプロのサイト)。


人事部長とCHROとの違いは1つ、「経営に関与・責任をもっているかどうか」です。CHROは「取締役」であり、経営陣の会議、取締役会などに参加することになります。
取締役会に参画するということは、経営責任を負うということです。たとえば、
・収益が出ない場合に人事面で何が問題なのか?
・収益がでない場合、人事の責任はどれだけあるのか?
・収益がでてない、業績悪化には、人事配置に問題はなかったのか?
・不祥事があった場合、その従業員、上司、組織マネジメント、そもそもの人事の責任は?
・新規事業・イノベーション事業や優先度の高いプロジェクトの成果が出ない場合に人事上で何か問題があったのではないか?(リーダー配置、そもそもの選抜方法、能力育成、組織マネジメントなど)

こういったことが問われてしまうということです。明らかに、責任が増えるということです。これだけ書くと、大変だな~と思えますが、一方、経営戦略に発言権を持てるようになり、人事面で色々主張、提案していくことです。他部門に対しても、影響力を発揮することができるのでしょう。能力と信頼度によってどこまでできるかは変わってくるとは思いますが。

人的資本とCHRO

特に、人事と経営の関連が強い問題解決を主導するときには、よりCHROの力が発揮されることになります。それは人的資本可視化における期待とマッチしているといってよいでしょう。

人的資本可視化指針や人材版伊藤レポート2では「経営陣の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者」「社員・投資家を含むステークホルダーとの対話を主導する人材」と定義されています。期待される役割、行動として、

・人材戦略を自ら起案し、CEO・CFO等の経営陣、取締役と定期的に議論する
・CHROが実効的な人材戦略を策定する上では、本 社での戦略スタッフの経験とともに、事業側で成果責任を担った経験が有効となる
・人材戦略に関する経営陣との議論を主導し、経営陣から直接示唆を得ることで、両戦略の連動を強化できる。
・CHROは、社員や投資家との対話で得られた示唆も人材戦略に反映していく
・経営戦略と連動した人材戦略を策定し先導して実行していく、責任を取る

【出典】人材版伊藤レポート2

さらにHRBPという新しい動きも

さらに、今回の人的資本の可視化を前にして、HRBP(Human Resource Business Partner)といった取り組みなども新たに出てきています。
HRBPの定義は様々ですが
・経営目標や事業目標の達成に対するコミットメント
・経営者の右腕として意思決定に影響を与えるパートナー
・事業部長とパートナーシップを組み、成果を生み出すために人的側面から支援する
・人事の専門家として経営と現場をつなぎ、支援する
といった実践的な役割のようです。

「経営者の一人」として人事機能の統括を担うCHROとは若干違いがあるようです。

どちらにせよ、経営と人事は連動せざるを得ないようです。経営者の視点で人事を行い、経営戦略と人事を連動させ、収益をあげる、将来の企業価値をあげるそんな役割の重要性がますます高まっていくのでしょう。

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