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経営と人事の連動の柱はコンピテンシー~【解説】人的資本可視化指針(第11回)


経営戦略とは何か?その意味を理解していますか?

各部門の部長・課長はどうでしょうか。それぞれの役割と責任を明確に理解してもらい、理想像と成功モデルを考えてもらうように促すことが人事が求められていることです。伊藤レポートが求める【視点1】経営戦略と人材戦略の連動をいかに図っていくか、人事のイノベーションが試されています。

前回は経営戦略と人事戦略をどのように連動させるか、全社的経営課題の抽出について「組織面」から考えていきました。今回は「個人面」から全社的経営課題の抽出について考えていきます。


伊藤レポートより


大事なのは成果を出し続けている従業員のコンピテンシー

経営戦略の実効性、組織の施策・事業を振り返ることができれば、全社的経営課題の抽出はできるでしょう。そうしてあがってきた全社的経営課題について、人事はどう理解し、整理していくのか、その視点が大事になってきます。

人事としては、経営課題において大事なのは、収益に貢献するような大きなイノベーションや周りに波及する成果を(数年後に)出す「組織と人」が何だったのかを把握することでしょう。
それは人事評価で「優秀」で「スター社員」「Sランク」の従業員ではないかもしれません。大事なのは人事評価の結果を分析することのように思えます。ただし、人事評価は組織が個人に求める役割における期待水準などに対する業績評価や能力評価になりがち。360度評価にしても、上司には受けがいいが部下には厳しいとか、全方位面でみることになるのでなかなか難しいです。また、人事評価の業績評価もある意味、部門の「運」の要素にひきづられます。収益に貢献するような大きなイノベーションや周りに波及する成果は半年の人事評価ではあまり見出せません。
そして、収益に貢献するような大きなイノベーションや周りに波及する成果を(数年後に)出す「組織と人」をリサーチし、そういった人たちの条件を見出さないといけません。

それこそコンピテンシーです。

ポイントは、創造的なサービス開発をしたかどうかやチームでの役割発揮度(リーダーシップや他人サポート度)、業務での改善・イノベーション提案とその実行度、そういった観点から見ると良いでしょう。

連動は難しいが、戦略人事に脱皮する

今回の経営戦略と人事戦略との連動ですが、人事戦略が不明確だったり、膜然としたものだと経営戦略との連携は難しくなります。経営戦略と連動した人事戦略と人財育成方針などを多くの幹部層が理解・納得し・実行に向けて動いていないと人事戦略は機能しません。

筆者作成

そもそも人事は労務管理や当たり前のことをきちっとこなす、問題を起こさないことが組織や個人の目標であったわけで、戦略性を求めらえれるのは本当に大変だということを理解してくださったでしょうか。厳しい言い方ですが、時代が求めているわけで、既存の人事を戦略人事にイノベーションしていかなくてはいけないのは宿命のようなものでしょう。

まずは経営戦略を理解・納得したうえでですが、人事部門の施策や事業の評価を振り返ることから始めるとよいかもしれません。たぶんこれまでの採用や給与計算、労務管理などの業務はしっかりできていたのでしょうから、その実態を踏まえて、経営戦略の要素を当てはめていくことが良いかと思います。

次は経営課題とは何か、という話をしていきます。

PS:TL人的資本ガイドブック もし欲しい方がいらしたらご連絡ください(企業の人事担当者に限ります)。


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