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30歳が苦しかったら、40歳を迎えるのは意外なほど気楽です

撮影:荒牧耕司

こんにちは。大宮冬洋(43歳9か月)です。
当然ですが、3年前に僕は40歳でした。
人生の節目だな~と思って、会社員時代の同期でカメラマンをしている荒牧くんに声をかけ、電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を制作したんです。
生まれ育った埼玉県所沢市時代の幼馴染から、再婚して移り住んだ愛知県蒲郡市のご近所さんまで、20人の「同期」と語り合い、40歳についてあれこれ考えました。
ちなみに、編集を担当してくれた洪愛舜(ホン・エスン)さんも同世代です。
発売から3年ほど経ちますが、古びない内容だと思うのでnoteで販売しています。以下の「あとがき」は無料で公開しちゃいます。読んで興味を持っていただいたら、文末に載せてある有料記事(本文)をご購入いただけると幸いです。
では、お楽しみください。

『40歳は不惑ですが、惑ですか』あとがきにかえて~大宮冬洋(作)荒牧耕司(写真)洪愛舜(編集)による鼎談~

 ちょうど40歳になる今しかできない本を作ろう――。そう決めて本書の取材を始めたのは2016年の春先でした。それから半年ほどかけて20人の取材先へのインタビューと撮影を終わらせ、さらに第1部と合せた草稿を書き終えたのは年末です。
 2017年の年明けから出版元を探したのですが、「大宮さんの個人的な話ばかりで一般性がない」「なぜ40歳に限ったのか必然性がない」などと各出版社の書籍編集者から鋭く指摘されてしまいました。当然と言えば当然の指摘ですよね。
 正直言って、出版をあきらめかけていたんです。でも、荒牧くんが撮ってくれた写真の出来栄えはいいし、僕だって苦労して原稿を書きました。そのまま「お蔵入り」させるのは忍びないので、自分たちで電子書籍にしよう。そう決めたのは2017年の秋です。
 どうやって電子書籍にするのか、誰が編集やデザインをしてくれるのか。あれこれと模索した末に、第2部で取材先として登場してくれているフリー編集者の洪愛舜さんにお願いすることにしました。フットワークが軽くて思考が柔軟な人だからです。でも、2児の子育てと仕事の両立で忙しいので引き受けてもらえる確率は低いかな……。
 恐る恐る依頼したところ、洪さんは二つ返事で快諾してくれました。その結果、こうしてあなたに本書を届けることができています。この文章を書いているのは、僕が41歳の誕生日を迎える3日前。ぎりぎりセーフで40歳のうちにすべての原稿を書き終えました。洪さんに感謝。
 さて、僕と荒牧くん、洪さんによる反省会のような鼎談をお送りします。「あとがき」の替わりに読んでいただけると幸いです。なお、僕と荒牧くんは会社(ユニクロです)員時代の同期なのでタメ口であることをご了承ください。

あとがき

「こんなインタビューで本になるの?」と取材先に心配された

大宮: どんな体裁の本にするのかを決めずに、マッキー(←荒牧くんのあだ名)を誘ってインタビュー取材を始めたのが去年の5月だったね。カメラマンの視点で、特に印象的だった取材先は誰?

荒牧: やっぱり最初に撮影をさせてもらった日野さんかな。「この人、オレは撮れるな」とすぐに思ったよ。

: 建設業の男性ですね。確かにキャラが立っています!

荒牧: そう。たたずまいが良かった。30歳にはない、40歳ならではの味があると思った。昔はやんちゃをしていたけれど、いまでは家族のためにちゃんと働いていることがインタビューを聞いていてもわかったしね。写真の仕上がりをある程度は想像できたよ。

大宮: 僕はまったく原稿の仕上がりが見えなかった(笑)。というか、取材先である幼なじみの日野に「こんなインタビューで本になるのか?」と突っ込まれたときに何も答えられなかったからね。取材の後、都内に帰る電車内で、マッキーにいろいろ相談したのを覚えているよ。

荒牧: 移動中は「どんな本にするのか?」という話が多かったね。

大宮: マッキーから「冬洋の個人的な同窓会みたいな本で良いと思う。読者は自分の人生に引き寄せて読むはずだから」というアドバイスをもらったんだよね。あれでちょっと救われた気がした。

荒牧: 実際、冬洋の原稿を改めて読んで自分のことをいろいろ考えたよ。

30歳よりも40歳のほうが圧倒的に楽

: 私は「がんばれ!」と応援したくなる人が多かったです。40歳は人生の半分まで来ているけれど、まだ何かに向かっている途中なんだと思います。だから、漠然とした不安がある人が多いのかな。特に未婚の人。お母さんと2人暮らしをしている心優しい原田さんとか。これは大宮さんの知り合いだけではなく、現代の縮図ではないでしょうか。

大宮: そういえば、未婚の女性からはインタビュー取材をことごとく断られた。「いまの私は何も語れない」と自信喪失気味になっている人が多いという印象だな。未婚女性で登場してくれたのはテキスタイル作家の相原さんと豊橋市の福井さんだけ。

: その点では、シングルマザーの道下さんは大丈夫だと思います。仕事のことなどでいろいろ悩んでいるみたいですが、お子さんたちに囲まれたにぎやかな未来しか見えません。

大宮: 子どもが巣立った後のことはかなり心配していましたよ。自分には何もない、やりたいことすらないと繰り返していたのが印象的だった。

: でも、60歳で子どもたちに巣立たれるより、40歳のほうが圧倒的に若いので未来がありますよ。

大宮: なるほど。この本には独身男性も多数登場しているので、道下さんには安心してほしいな。再婚のチャンス、いくらでもある。ちなみに僕は既婚で子なしだけど、焦燥感みたいなものは不思議とありません。30歳のときのほうが圧倒的に辛かった。仕事も人間関係もすっごくモヤモヤしていたので……。今はあきらめに似た明るさがある。

荒牧: 僕はちょうど30歳のときに生死をさまよう大病をした。30歳になる前もあれこれ考えて構えていたように思う。でも、40歳は全然違った。この本の取材中にいつの間にか40歳になっていた気がする。

: 30歳はぼんやりとした憧れみたいなものがあって焦りますよね。私、29歳のときは結婚もしていなかったし、「なっていたい自分像」と現実のかい離がありました。周囲がすごくキラキラと良く見えて……。でも、40歳になる今は「キラキラしている人だって実際は自分と同じように悩みを抱えているのかも」と考えられるようになってきました。そういう年頃なのかもしれません。「なっていたい自分像」を追いかけるのではなく、むしろ現実のほうにそれをグッと近づける能力が身に着いてきたのだと思います。

大宮: それ、良い意味での「あきらめ」ですよね。僕も30歳の頃は「先輩みたいなエンターテイメントノンフィクション作家になりたい!」とぼんやり焦っていたけれど、いまでは憧れることすらなくなった。性格や能力のすべてを置き換えるのは無理だとようやく悟ったから。憧れの自分になるのは来世でいい(笑)。どうせあと40年ぐらいなんだからこの人生を全うさせてあげようかな、と思い始めているところ。

「お母さんは大人になったら何になるの?」

: 私は子どもたちに「お母さんは大人になったら何になるの?」なんて聞かれちゃっています。私、もう十分に大人なんですけどね(笑)。ちなみに歳の6娘の夢はトップモデルで、4歳の息子はカメラマンになりたいそうです。

大宮: マッキーも昔からカメラマンになりたかったの?

荒牧: 小さい頃の夢は覚えていない。大学生ぐらいの頃にマスコミ関係を漠然と希望していて、ユニクロでもプレス(広報)の仕事がやりたかった。同時に、カメラマンになりたいなとも思っていた。

大宮: ユニクロを辞めてから写真の専門学校に通ったよね。エスンさん(←洪さんの名前)の小さい頃の夢は何ですか?

: 発明家です……。エジソンみたいな発明家になりたかった。私は真剣に言っていたのに周囲に変にウケてしまって、中高時代のあだ名はエジソンの「エジ」です(笑)。

大宮: 伸び伸びとしていいなあ。僕は基本的に暗い学校生活を過ごしたので、ひねくれた子どもだった。夢は「そこそこエリートのサラリーマン」。将来の夢を絵にする宿題を小学校で課されて、灰色のスーツを着てデスクに座って威張っている自画像を描いた記憶がある。

: けっこう現実的な夢なのに叶っていませんね(笑)。

大宮: エスンさんの場合は、様々な企画を形にする編集者としてがんばっているので、ある意味では発明家の夢を叶えたと言えますよね。

: いえいえ。10年前に会社を辞めたとき、独立するのではなくて編集に特化した会社に転職しておけば良かったかな、と思うことがあります。そうすれば職人芸のプロ編集者のキャリアに近づけていたかもしれません。だから、仕事の面では悔いがあるんです。でも、あのときに会社に勤めていたら、いまの子どもたちは生まれていません。出会いというのは必然だと私は思います。この子たちが将来に出会う人たちの幸せにも間接的に影響を与えることができるので、私はこの人生で良かったのだと感じるんです。私自身が人との出会いで救われてきた人間なのでこんな風に思うのかもしれません。

「寝食を忘れて夢中になれること」が見つからない僕たち

荒牧: 夢の話に戻るけれど、40歳の人たちに「将来の夢」を聞いて回ったら面白そうだね。例えば、直販農家の在賀さんはこれからも何かをやりそうな気がした。飽きっぽい性格だと自認していたから。

大宮: 町役場の業務改善コンサルティングなど、農業とは関係のない仕事も始めているしね。すると、農業も新鮮な気持ちで取り組めるんだと思う。

: 私も飽きっぽい性格なので在賀さんの話は面白かったです。「オレは飽きっぽくてダメなヤツだ」と自己嫌悪になるのではなく、ちゃんと自分を認めて対策を立てて実行しているところが40歳らしいですよね。良いな、と思います。

荒牧: 僕と冬洋も同じく「夢中になれない」性格。冬洋は在賀さんへのインタビュー中に大いに共感して、「こうして仕事をしながらも今夜の夕食のことを考えている」なんて告白していたね(笑)。

大宮: 寝食を忘れたことは人生で一度もないよ。というか、眠かったりお腹が減っていたりすると機嫌悪くなるので何も良いことがない。20代の頃は明け方まで原稿を書いて忙しい自分に酔っていたこともあるけれど、翌日は夕方まで寝ていたりするし、体調も崩しがちだった。本当に仕事をがんばりたいのであれば、ある程度規則正しい生活をしたほうがいいと思う。あれ? 真面目な話になっちゃったね。マッキーは寝食を忘れる人間になりたいの?

荒牧: うーん。切り替えができるなら一度ぐらいは経験してみたいな。はい、いまから寝食を忘れます、みたいな。

大宮: それって寝食を忘れたことになってないよ(笑)。

: 未知の趣味にハマるとか?

大宮: 仕事も家庭もかなぐり捨てるような恋に落ちるとか? たいていの場合、現実逃避や依存症に過ぎないと思う。何か他のことを始めるとしても、現在の生活をないがしろにする必要はない。在賀さんだって立派に農業を続けている。そういえば、マッキーは行政書士の資格を取ったよね。

荒牧: うん。東日本大震災のときにカメラの仕事が減ったのがきっかけだった。ならば、カメラとは別の引き出しで社会に関わってみたいと思ったんだ。

今の職業とは別の引き出しで社会に関わってみる

: 別の引き出しで社会に関わる。そのワード、すごく良いですね!

荒牧: 大学のときに東南アジアが専門領域だったので、東南アジアの人たちが日本で住んで働くための手続きを行政書士として手伝うことができればと思っています。受験勉強も楽しかった! 久しぶりに筆箱を買って、試験会場には鉛筆と鉛筆削りを持っていく。マークシートを埋めるにはシャーペンよりも鉛筆のほうがいいので。

: 私も3年前に自動車免許を取るためにマークシートに取り組みました!

大宮: 僕は受験は二度としたくない。テストのための勉強も、テスト自体もこりごりだな。でも、「別の引き出しで社会に関わってみたい」という気持ちはすごくわかる。2011年の秋から始めたスナック大宮を80回以上も続けているのも、ユニクロで挫折したサービス業をもう一度やってみたかったという気持ちがあったと思う。やってみると、普段は表に出ない自分の性質を発揮できたりして面白い。僕はスナック大宮ではママというか主催者なので、母性みたいなものがドバっと出る。「寂しい人がいないかしら?」みたいな気持ちがずっと続く感じ。

: 大宮さんはきっとサービスをすることが好きなんだと思います。続ける力もあって素晴らしいです。でも、私たちは何歳ぐらいまで元気に活動できるのでしょうか。あと40年生きるとしても、溌剌と動ける40年と、そうではない40年では、まったく違いますよね。

荒牧: それは僕もすごく考える。介護の仕事をしている水泳好きの松井さんが、「死ぬまで楽しく生きるために一番大事なのは、家族でもお金でもない。健康。健康でありさえすれば、独居老人でも大丈夫」と言い切っていたのはグッと来た。

大宮: その点、マッキーは独身のままでも大丈夫そうだね。ボタン付けを自分でやるほど家事能力が高いし、体も鍛えている。筋肉、すごいよね。

荒牧: うん。パーソナルトレーナーにお願いして、座り方や歩き方なども矯正しているところ。「その座り方だと膝を痛めやすいですよ」なんてアドバイスしてもらえる。カメラマンという仕事を続ける限り重いものを持って歩くことは必須なので、体を鍛えておくことは大事なんだ。

: 実は、私も今年の9月から加圧トレーニングを始めました! 取材をさせてもらった女性用のマンツーマンサロンがとても良いので、とりあえず半年は通うつもりです。トレーニングはやっぱり辛いので、トレーナーがいないと続けられないと思います。おかげで体の可動域が広がった気がします。

大宮: 僕は運動用に着替えることすら面倒くさいと思ってしまうので、普段の生活でできるだけ歩くようにしている。目標は1日1万歩。東京で取材や打ち合わせをするときは、駅まで歩いたりして1万歩ぐらいは余裕で達成できる。でも、愛知の自宅で原稿を書いているときは、かなり意識的に散歩をしないと運動不足になっちゃう。妻も含めて、愛知の人はすぐに車を使いたがるから……。

「自分はこういう人」「もうおじさん」と思い込みがちな年頃

: 運動ではなくても、40歳からまったく新しいことを始めるっていいですよね。「自分はこういう人なんです」と思い込みがちな年頃だけど、「本当にそうなの?」と自問自答してみてもいいと思います。

大宮: 僕は「オレには体力も気力も協調性もない」と思い込んでいた。でも、こないだ新しい地元である愛知県蒲郡市の祭に参加して、同い年の仲間たちと御神輿を担いだ。ちょうど大雨の日で、朝から夕方までずぶぬれ。寒くて辛かったけど、不思議と「嫌だなあ」とは思わなかった。信頼できる仲間とずっと準備してきた祭だったからかもしれない。以前の僕だったら、「用事を思い出したので」とさっさと帰って寝ちゃったと思う。

: ああ、目に浮かぶな。1人で帰っちゃう大宮さん(笑)。

大宮: 祭が無事に終わったとき、思ったほど疲れ果ててない自分がいました。「オレも意外と体力あるじゃん。何事も気持ち次第だな」と思えたんです。妻からは「良いお友達のおかげであなたもようやく大人になれたね」と誉められました(笑)。

: 感動的な話ですね(笑)。

大宮: 「大人になった」と自覚するのはいいけれど、気をつけなくちゃいけないのは「もうおじさんだから」という言い回し。あれは何かにチャレンジしない言い訳にすぎないし、周囲に不快感を与えかねない。「そんなことないですよ。すごく若く見えますよ」という慰めを無意識で求めているのかな。僕も気をつけよう……。ようやく人生が折り返した時点なんだから、老け込むのは30年早い!

: でも、若い頃とは良い意味で違うこともありますよね。私は人間関係にがっつかなくなりました。今いる友だちはこれらもずっと友だちで、いまさら嫌いになったり嫌われたりはしないという感覚があります。お互いに「こういう人なんだ」と受け入れ合っているので、無理をせずに付き合っていける。

荒牧: そうだね。必要以上に相手に求めたりしなくなった。

大宮: うーん。僕はまだその域に達していない。2年前も愛知でせっかくできた友だちとケンカして絶交されちゃった。

荒牧: 冬洋ってどうして人とすぐにケンカするの?

大宮: どうしてだろう。やっぱり相手に求め過ぎちゃうからかもしれない。プライベートで親しくなると「自分と同じ価値観でいてほしい」という気持ちが高まる気がする。5年前に引っ越した愛知県では友だちが近くにほとんどいないところからの再出発だったので、ようやくできた3人の男友だちに精神的に依存してしまった。そのうちの1人が僕のネット記事を読んで不快に思ったらしくて抗議をして来て、それに僕も品のない反論をしてしまって、彼を激怒させちゃった。もう少し距離を置いて付き合って、何か言われても適当に受け流しておけばよかったのに……。「君子の交わりは淡きこと水のごとし」を肝に銘じたいよ。

荒牧: 誰かに何かを求めてしまうと、それに応えてくれなかったときのイライラもセットで付いてくるよ。だから、僕はできるだけ求めないようにしている。

大宮: 勉強になります……。

人生の折り返し地点。焦りはないけれど不安はある

: でも、大宮さんは仕事の面では穏やかに働けるようになってきたんじゃないですか?

大宮: そうですね。30代前半ですごくモヤモヤしたから、その後は比較的すっきりしている。以前は「出版社とは対等でいたい。編集部で打ち合わせをするなんて、呼びつけられているようで腹が立つ。僕の自宅との中間点の喫茶店でやるべきだ」なんて主張していた。我ながら自意識過剰だったな。いまではそんな面倒くさいことは言わない。仕事をもらえるのはありがたいと痛感したので、問い合わせがあったらすぐに出向く。ちなみに、今日もこの鼎談のためだけに愛知から出てきました。都内在住のお2人との中間地点を主張したら、熱海あたりで会うことになっていたけどね(笑)。

: 熱海での鼎談、楽しそうじゃないですか。打ち上げは熱海でやりましょう(笑)。それにしても、大宮さんの中で「30代前半の暗黒時代」は大きな出来事だったんですね。今回の本の中にもたくさん出て来ます。

荒牧: こういうスランプの経験は自分にもあったな、と共感しながら読んでくれる人は多いと思う。取材先の中にも若い頃に思い悩んでいた経験を語ってくれた人が何人もいたね。

大宮: 40歳の今は、現実と理想のかい離を感じたりはしないし、焦りみたいなものもない代わりに、将来の不安はリアルに感じているよ。いまは恋愛や結婚に関するテーマで仕事をたくさんさせてもらっているけど、60歳になっても同じことをやれているとは思えないから。

: 現時点の大宮さんが興味を持っていて、社会的にもニーズがあるテーマ。それが恋愛や結婚なんだと思います。テーマは年齢を重ねるとともに自然と変わっていくものではないでしょうか。大宮さんを次のステージに導く出会いがこれからもあるはずです。

大宮: 嬉しいことを言ってくれるなあ。僕は運命論者ではないけれど、出会いというかチャンスは積極的につかんでいくべきだと最近は思っています。今回の本もマッキーとエスンさんと組むことができなかったら実現不可能だった。そういう意味では出会いが生み出した本だね。

人との出会いと信頼関係が生み出したオンリーワンの本

荒牧: というか、今年の夏ぐらいまでは消えそうな企画だったよね。冬洋が何社も出版社を回ってくれたけど、出版は難しそうだとわかったから。

: 紙の書籍として一般流通にのせられなかったことは残念ですね。でも、大宮さんを知っていて、その文章をいつも文章を読んでいる人にとっては魅力的な内容だと思います。だから、電子書籍という形で販売することには価値があるはずです。ちょうど私はInDesign(DTPソフト)の使い方を覚えて、他の本を一冊仕上げたところだったので、お声がけいただいたのはグッドタイミングでした。

大宮: エスンさんに編集をお願いして本当に良かったなあ。

: 大宮さんは無料メルマガ「冬洋漬」の挨拶文で、「直販農家みたいになりたい」と書いていますよね。今回は電子書籍という形で直売するので、まさに夢の第一歩じゃないですか。

大宮: そうでしたね。僕はスナック大宮やメルマガを淡々と続けていくことはできるのですが、最初の目的を忘れがちなんです(笑)。今回の本がそこそこ売れたら、定期的に直販企画をやっていきます。おかげで、この先5年間ぐらいは楽しく働いていけそうです!

荒牧: こんなにキレイに前向きな話にまとまるなんて、ほんの2か月前までは考えもしなかったね。

大宮: 最初からエスンさんと組んで電子書籍を直販するつもりだった、と原稿を書き換えちゃおうかな……。

荒牧: それはやめたほうがいいよ。本当のことを書いたほうが冬洋らしいと思うから。

(2017年10月 東京・西荻窪のアジア食堂「ぷあん」にて)

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