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連敗脱出!
今回は、前回のポイントを踏まえながら、悪かった前半、良かった後半。これについて。特に、なぜ重心が後ろに下がらなかったのか。これにつこれについて考えていきたいと思います!
1 悪かった前半(重心の重い守備)
大宮の守備については前回の記事を参考にしてください。
記事にもありますが、大切なのはCFによるコース制限とポジションに戻るスプリント。これは442でも今節の守備である523でも変わりません。
図1
今節の守備は基本的に523の布陣で、イバが加入したことにより、シャドーを絡めてカウンターをして相手を押し込む意図があった布陣だったのではないかと思いました。
※すみません、渡部選手が青色で敵みたいになってしまいました…
図2
523の場合CH(ボランチ)の脇のスペースです。ただこれは、フォーメーションの構造上の弱点で仕方がないんです。ただ大宮の守備の場合はここから先があいまいです。とにかく前線の3枚が前に出てくれない。その割に、スライドが遅く、そこまでパスが早くなくても簡単にボランチへのコースを開けてしまうんです。これは前節の442の守備でも同じですね。すぐに修正するのは難しいと思います。
当然、CBが自由にパスが出せる状態かつ、コースが切れていないため、相手ボランチへ三門や小野が出れない。イッペイもシャドーのケアのため、中に絞らざるおえず、サイドやボランチでボールが奪取できないという、前節とほぼ同じ構造でやられていました。いつ決壊してもおかしくなかったです。畑尾とクリャイッチがいなければ、失点していたでしょう。
ただ前半が攻撃が多少でもできたように見えたのは、イバの存在です。みなさん、収める技術やパス精度やシュートなど、高水準でだからこそ攻撃ができたと思っていますよね。まさにそうです。ただ、私の中で一番評価したプレーは試合開始序盤の2本のシュートです。ディフェンスに当たってしまった1本目とコントロールシュートしたおしい2本目ですね。イバから、「今日はガンガン行く!俺についてこい!どんどん前へ!」という横浜FCの長年のエースらしい、プレーで引っ張ってくれたことがこれからを考えると、一番大きいと思いました。正直、このプレーで前半はチームとして前に行くベクトルが定まったように見えました。しかも、それがまた絶妙に入りそう…。イバの加入はそう言った面で今節は期待値をはるかに上回ってくれました。横浜FCありがとう!
ちなみに、ガス欠しましたが、シャドーを攻撃でも守備でも引っ張ってくれ、思ったより守備に行ってくれるので、しばらくスタメンで起用して欲しいですね!
2 後半(前目の守備)
ではなぜ後半、前に守備が行くようになったのでしょうか。
ターニングポイントは小島選手の投入ですね。
図3
とにかく大きかったのは投入されてすぐの小島のプレー。相手CBに肉薄するぐらい、スプリントかけてプレスをかけてくれたことです。これにより、シャドーへのパスコースと、通常の立ち位置の相手ボランチへのパスコースを制限できた。そうなると、ボランチがシャドーをケアする必要がなくなり、相手ボランチに強く出る。イッペイも同じ理由であいてサイドの選手を前目に守備ができるようになる。最初の守備はイッペイが低い位置だったので、サイドで取れませんでしたが、小島選手は果敢に何回もこのプレーをしてくれました。このプレーに三門を中心に連動し始め、ボールを奪取し、相手陣に押し込み始めました。
この時に副次的な効果として発生するのは、全体の意識が前に向くことで、ラインがコンパクトになること。そのおかげで、ボランチ・シャドー・CFがかなり近い位置でプレーをするようになりました。またこの繋ぎにこうけんしていたのも、小島選手でした。
いろんな人がデュエルで勝ったことが大きい。という意見があり、気持ちの問題という人も多い印象でした。当然あるでしょう。しかし、デュエルで勝つことはしっかりとした理屈があります。それは「前に向かって守備をすること」これをいかにできるかです。人間、後ろ向きで守備をする、キープすることは力が乗らないため難しい。しかし、前にスプリントをかけて守備する場合、勢いもあるので、一発でかわされない限りは、ボールが取りやすいんです。だから栃木や北九州は前者は守備、後者は攻撃のベクトルが常に前のため、デュエルで勝てる回数が増えるんです。
ただ、今回の守備に関して言えるのは、実はこの守備は昨年からできていたんです。ただ今年の大宮はリスクをかけられず、プレスのタイミングもわからず、押し込まれるだけになっていました。それを小島選手をスイッチに、昨年の多少リスクを負ってもショートカウンターにつなげたことが大きいと思います。
3 攻撃面の課題と変化
〇昨年からの変化
監督の交代について。見事。小島でプレスを明確にし、押し込み始めたところで大山投入によるパスの向上に加え、高田の個人技で畳かける。申し訳ないけど、京都の監督に常に後手を踏ませていた。満点でしょう。
昨年と同じショートカウンターという言い方をしましたが、明確に違うところもかなり見えました。それはポゼッションです。
ポゼッションを考えるとき、みなさんはボール保持率ばかり見ていませんか。そこは大事ではありません。必要なのは自分のリズムを作ること+自分たちの強みを出すために保持すること。これがポゼッションだと思います。
そこで大きな変化は、大山選手投入後が特にそうですが、奪取後ただ蹴るのではなく、何回かパス交換して、CFが収めるためのポゼッションができていたこと。また相手の運動量が落ちたのもありますが、相手がブロックを敷いたときに、しっかりパス交換に個人技を織り交ぜて、しっかりと崩すことができたこと。
この2つのポゼッションが今期大宮でゲームをコントロールするうえで、必要なことで取り組んできたことだと思いました。みなさん、イバに注目していますが、得点の時は、イバがいなかったんです。正直、あのクオリティならイバはいずれ得点を取ると思います。だからこそイバ交代後にしっかり崩して取れたことが大きいです。
〇課題
1つ目は、前半から後半になってから改善しつつありましたが、攻撃の距離感です。間延びしてるんですよね。守備の重心が重くなってしまったので、仕方ないですが、押し込んでる時ですら、2枚のボランチのポジションがCBとほとんど変わらないんです。そのため、前線がシャドーとCFだけになってしまい、厚みをもてなかったんです。理由はシンプルで、両CBが真ん中のCBとほとんど同じラインでプレーし、ドリブルで持ち出してくれないため、まったく相手のマークがずれない⇒ボランチがCB近くに落ちる⇒狙われる⇒カウンターの悪循環でした。ただ序盤数試合はできていたんです。
2つ目はパススピードです。ゆったりしてること…というかと待っていることが多いんですよね。スピードとは一つ一つのパスもそうですが、1個飛ばしのパスが鳴りを潜めていることですね。例えば、畑尾選手とマクシメンコ選手など、お互いにいい位置をしていても、まったく出しません。ボランチも逆サイドへ展開できるときも、ほとんどしなくなりました。サイドチェンジは難しいからともかく、相手のスライドを動かす意図でパス回しを「していない」ことも見えました。なんでだろう…?
4 最後に
後半のゲームはかなり良かった。ただあの運動量を90分持たせることは無理です。連戦ですし。だからこそ、勝負は前半の戦い方だと思います。どこでプレスをかけるか。スプリントして押し込むか。これを監督の指示ではなく、ピッチの選手で表現できること。ただこれは難しい。何回も何回も繰り返すしかありません。ただ今はイバという明確なポイントがあります。だからこそ、前半はイバをいかに生かすかという視点で攻撃をする。奪取後⇒数回のパス交換⇒イバ(シャドーの選手)が一番シンプルかつ効果的ですよね。プレスの使い分けを練習しつつ、イバを生か攻撃ができればベストですよね。
最後に畑尾選手が「後ろを信じろ!」ということを言っていたそうですね。信じるって重いですよね。今の選手たちは自分たちを信じるための自信がないですから。だからこそ、傷だらけで、交代してもおかしくない状態の畑尾選手や魂でゴールを死守したクリャイッチ。こういった「気持ち」や「プレー」など、理屈を超えたところで守ってくれそうな守備陣は本当に頼もしいですよね。イバ選手も前から必死にプレーで引っ張ってくれました。
だからこそ今日は勝ってほしかった。今までより前向きで、何より畑尾選手を筆頭に意地でも勝ちたい!という姿が本当に見えたし、シュート数にも出てた。だからこそ勝って、みんなの笑顔を見れたこと、寝ても大宮が流れたこと。ついでに渡部選手の得点時のガッツポーズに泣きそうになりました。
ただまだ一勝です。この勢いを途切れず、いい循環をさせるためには連勝が必要です。それを後押しできるかのように、ホームゲームです。だからこそ、拍手で気持ちで後押ししましょう!
では今回はこの辺りで!
※おまけ
京都サンガについて。
いままでの試合を見ていると、ウタカの攻撃と、金久保のスルーパスとドリブル。バイスのフィードとセットプレーのイメージだし、見返してもそうでした。ウタカが抜けるといい意味で別チームでした。正直、昨年の京都サンガのサッカーそのものでした。自分もターンオーバーと言ってしまいましたが、大宮の場合…というかどの試合を見ても、今節のほうが京都は良かった。後半のプレス機能していた時間もです。大宮としては起点がはっきりしていたほうが守りやすい。サンガサポもツイートでも散見してましたが、得点はウタカなどがいたほうが取れる。ただチームとしてはいないほうが脅威でした。これから京都がどういうかじ取りをするか純粋に気になるので、少し追っていこうと思いました。