私の名は、シナモンポリス
わたしは別名、シナモンポリスである。大学の卒業旅行で行った中欧にて、命名された。
中欧(行ったのはハンガリー、チェコ、スロバキア、オーストリア)は寒いこともあり、体を温めるため、シナモンが料理やお菓子などに多用されている。
私は人生で初めて口にした時から、シナモンがとても苦手である。人生で出会ってきた苦手な食べ物の中で、ダントツにこれは一生をかけても克服できない!!と思った食べ物である。好きな方、シナモンに関わっている方、ごめんなさい。
まだ口にしたことがなかった時、シナモンの私のイメージは、ふわふわとしたかわいい甘〜い味というものだった。
そう。サンリオのキャラクター、シナモン(シナモロール)のイメージだったのだ。あの愛らしい容姿の名前の食べ物があるなんて、一体どんな甘くて美味しい食べ物なんだろうと思っていた。
そのはずなのに、私の舌には恐ろしく合わなかった。シナモロールの微笑みが不気味に思えてしまうほど、びっくり仰天した。
中欧の旅行中、食べ物が出るたびに、シナモンが平気な人は気がつかないほどの些細なシナモンにも気がつく私は、シナモンポリスと化していた。
食べるたびにシナモン大国であることを、そうだそうだと思い出す。そして次の食事の時間までにはそんなことすっかり忘れてしまっていて、また私は突然顔を大きく歪ませる。その繰り返しであった。ついには友人にゲンナリ顔の記念写真を面白がって撮られるほど。
ツアーの他の人々は、皆平気な顔でシナモンのデザートなどを完食していた。意外と日本のシナモンウェルカム人口は多いようだ。
シナモンウェルカム人口比率高めの国において、マイノリティーとして生きるのは大変だけれど、ポリスという称号を与えられたからには、この職務を全うしていくことを誓う。
ちなみに中欧はとても楽しかったので、また行きたい。シナモンを忘れた頃に。
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