美容院が苦手なわたしはぱっつんの前髪がすき。

思春期の頃「前髪が決まらないから」という理由で学校を休みたい日もあった。
特に梅雨のベタつく時期なんかはもう、毎日のようにそう思っていたような…
とは言え真面目なわたしはその理由では休まないんだけれど。
学校って一日休むだけでも、次行った時なんとなく照れくさいから。だからそれを理由に休んでいる場合じゃなかった。
前髪のせいでテンションだだ下がりのまま1日をなんとかやり過ごすという日が多々あったような。

人からすれば「そんなこと」かもしれないけれど、前髪に限らず髪の毛に関する悩みは自分的には結構重大な問題であってだな。

それでいて、きれいにしてもらえるはずの美容院が苦手と来たもんだから本当に自分は厄介な人間なんだと思う。

予約をすると、その日が近づくまでずっと億劫な気持ちを引きずってしまうため
今は予約なしで順番に施術してもらえる美容院に行っている。おしゃれでもなんでもない美容院だけど、わたしのスタイルに合っている。

休みの日、朝起きて、美容院に行ける気分の時にババッと行ってしまうのがみそ。

そろそろ染めに行かなくては…と思っていた時、突然行けるテンションの日がやってきたので準備して億劫にならないうちにバババッと行くことに。
マッハゴーゴー!

到着すると、いつものスタッフさんがひとりおらず、指名という人しがらみに縛られたくないわたしは初めましてのヘルプで来ていた人に担当してもらうことになった。

「今日は、カラーとカットで、湿気で広がらないように長さは変えずにボリュームを少し抑えてもらいたいです」というわたしのこの質問に対しての直接の返事はなく、髪の毛をパラパラっとしながらいきなり

「うーん…お父さんかお母さんは、白髪ですか?」と。

病院でなく、美容院で問診されるのはどうなの。

ねぇ、あなたわたしの言葉通じてるのかな🥺
要望のところ、話聞いてた?
髪の状態を見たなら、察してもらえないものでしょうかね。

これだけ白髪の多い髪質だったら、大体どっちかの血を引き継いでこうなったのだと思うし、じゃぁそれがわかったら何かいい提案でもしてもらえるのか?と思い

「父も母も真っ白ですし、弟もわたしも若白髪で悩みましたし、なんなら祖父はつるつるでした」ってね、聞かれてない部分まで沢山答えてやったの。そしたらね。

「あぁ。遺伝で白髪きちゃってる感じすね。ボリュームも出づらそうな髪質ですけど、抑えます?余計はねちゃいそうですけど。おじいちゃんつるつるだったんすね(苦笑)」

え、え、え…ごめんなさい。

「はぁっ!?」

あっ、でも話聞いてくれてた!ボリュームのとのろ!ちゃんと答えてくれたんだ。パニック!わたしの頭の中はパニック発生です。

髪が膨れて顔が大きく見えるのがいやなので、ボリュームはいらないと思っていることを伝えると

「いやぁ、そうじゃないんですよ。顔を小さく見せたいならトップにボリュームのある短めのボブにしちゃった方がいいと思いますけどねぇ…」

「短くしたくないんです。長さはこのままで…」って押し問答みたいなことになって。最初からそんな感じならもうわかった。この後わたしは貝になる。

汁に入っても、酒で蒸されても、わたしはあなたに対して口も心を閉ざします。

カラーリング中はもちろん無言。必死に携帯をチェックしていた…のにも関わらず

「今日お休みなんですか?」や
「自分今日ヘルプできてて、この店の勝手がまだわかってなくて」など。

いや関係ないじゃん。勝手わかんねぇってわたしにゃ関係ないのよ。
で、仕事中ここに来てると思います?
はい、てことは休みですね?以上!

って言いたいのに

気の弱いわたしは無視はできないから。しゃべってしまうのよ。優しめに。無駄な質問にも答えてしまうし。

カラー中、2度もイスにつまずいてずっこけて、それもヘルプなんでって言い訳してたっけ。

わたしにカラー剤を塗りつけたら、隣の席の人のところに行きそっちでも「ものすごいボリュームですね!手入れ大変そうっす!」みないなことも言っていた。

でもお隣のマダムは、きちんと言っていた。

「だから今日ここに来たのよ」

ほんとそれ。あぁ!激しく同意!
握手して下さい!

カラー剤のタイマーが鳴ってもしばらく放置されて、地肌にしみる派だってことも伝えてるはずなんだけど…ドSなんですか?としばらく思っていたらシャンプー代に案内される。
はよ流してくれ…お願いしますよ。

シャンプー中に聞かれるあの質問が来た。

「どこか気持ち悪いところありますか?」

よし、言ってやるぞ。気持ち悪いところ。ある、じゃなくて、あったね、最初の頃。

「そうですね…最初から、父が母が白髪がって聞かれたところが気持ち悪かったです。逆に聞きますけど、あなたのご両親ってでべそですか?どうですか?今どんな気持ちです?そういうことじゃないですか?あなたの質問は」って。

言いたくても言えないのがわたしですね。もうバレてると思うけど。

言ってやったのは、心の中でさ!ははっ!
早く帰りたい。人生に巻き戻しと早送りのボタンがあったらよかった。

するとお次は、あつあつの全然冷めないホットタオルを首に挟まれる。
あっつい!でも言えない。
なんで冷めない?
と、首を半うかしにしながら耐える。
ずっとは続かない、そのうち冷めると思ってもやはり冷めなかったのは特別にちゅんちゅんにあっためられたやつだったのか。

なんてそうこうしてるうちにまたカットしてもらう椅子に戻る。
ドライヤーは頭にゴツっと当たったり、耳の穴に風をぶっかけたりしながら

「前髪はどうします?」と聞かれた。

大切な前髪パートに入る。伝えなきゃ!ちゃんと伝えるんだ。してもらいたい前髪のこと。

「厚めのぱっつんでお願いします」

「ぱっつんすか?ぱっつんでいいんすか?今だったらシースルーっぽいほうがよくないすか?」

あの、ちょっと静かにしてもらっても?🫠
お口チャーック!
ぱっつん、でいいじゃないのよ。

ぱっつん、が!いいの。
お願いします、ぱっつんにしてください。
絶対シースルーはいやです。オイルつけて毛束感とか似合わないのわかってますし、オイルつけなくても自前の脂汗でシャンプーした後なのに毛束感でちゃうから…お願いします、ぱっつんがいいです(土下座レベル🙇‍♀️)

と思いながら、頑なに「ぱっつんでお願いします」キリッ。っとお願いする。

美容院ってこんなに汗かく場所だったかな。
今回はある意味スポーツみたいだな。
この人と相撲をとっているみたいだ。ただ、美容院に来ただけなのに。

シースルーにしたかった、みたいな不服そうな顔で前髪作りに取り掛かるも、厚めのという要望は通ってなくて、思ってたのんと違うのが出来上がっていく。
もういい。前髪は伸びる。

その前髪カットの過程でその人は、わたしのお胸らへんに手を置きながらはさみをパッチンしていた。およ?なんかずっと触れてるんだが?
どさくさ紛れも甚だしいな。

なーんだ。この人、ただの変な性癖の持ち主か。

両親の白髪について聞いてきたのも、いすでずっこけそうになったのも、あちあちタオルも、シースルーおすすめも。
わたしの困った顔が見たくて…げふふ興奮するなぁ。みたいな。

最後までPayPayの操作ちょっと今日初めてなんで聞いてきます、って言ってたな。

帰って、耳のあたりが痒いなぁと思ったら、右耳の穴の上辺りにカラー剤が詰まっていた。これ、色がついてしまうやつ…

きっと、「あの客の耳の中に詰めたカラー剤、今頃かゆさが発動していないかな…ぐふ」なんて思われているんだろうか。

彼はどこからヘルプできたんだろう。もしかして、いつもあんな感じなのか。
それともヘルプだからやりたい放題独特の性癖をかましてきたんだろうか。
口の割に、手はおぼつかなかったし彼の正体はいかに。

いやもう、何度行っても美容院は緊張して苦手だ。
がちがちに構えていたので筋肉痛になりそうだ。

だけど生きていれば髪は伸びるし、また悩みの種の白髪も目立ってくるからまた1ヶ月も経てば、お世話になるんだけど。

美容院が終わったら甘いものをひとつ買うようにしている。その日に食べた甘くてしあわせな記憶を強く残すために。

だけど今回は、どうしてもそばの気分だった。変な汗で塩分がぬけていたのかもしれない。

鏡のまえで、薄めのぱっつん前髪を抑えながら、おつかれわたし!と労った。
前髪は決まらないけど、あしたも明後日もがんばらなくてはいけないのが大人なんだよな。

あー今日も楽しかった😮‍💨

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