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母の精神が崩壊⑲ 母の呪縛からの解放
母のこころの病を通し、
今まで抑え込んでいた、
複雑に絡み合った感情たちが
ザワザワと、ザワつき始めていた。
それは、私だけのことではなく、
姉も同じようだった。
私たちが小さかった頃の母を思い出し、
話すことが多くなっていた。
それは、
過去の感情にタイムスリップすることであり、
姉は、苦痛なようだった。
姉は、45年前の感情が鮮明によみがえり、
幼心に傷ついたこと、
嫌だったこと、
本当に思っていたこと
を、吐き出すように話し始めた。
姉が子供の頃、
母を怒らすと、一週間口を聞いてくれず、
どれだけ話しかけても、
無視されていたそうだ。
それが、辛くて、辛くて仕方なく、
母に歯向かうことができなかったのに、
私はというと、母に反抗ばかり。
『なぜあの子は、反抗できる?』と、
苛立ちを覚え、私に八つ当たりをしていたと。
そして、私の自由さに腹が立っていたと。
正直、驚いた。
自由にしているつもりが、まったくなかったからだ。どちらかといえば、姉のほうが自由奔放に生きていると思っていた。
姉は、
母に縛られることなく、
母に反抗している
私を羨んでいた。
そして、何より、母に縛られていない
私の心の自由さを羨んでいたのだった。
45年ぶりに、母の呪縛から解放され、
真実を私に告げた姉の表情は、
どこか、柔らかだった。
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