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母の精神が崩壊③ 怒りと不安の矛先

相変わらず、毎日何回もかかってくる電話。
最初は愚痴だった電話が、いつしか、実在しない男と女に怯える内容に変わっていた。ひどいときは、自分から電話をかけてきているのにも関わらず、『この電話は、盗聴されている!』と、言い出し、急に電話を切り、またかけてくるの繰り返しで、むちゃくちゃだった。

ある日、買い物に外に出ていたところ、父から電話がかかってきた。電話に出ると、父の後ろで『えい!やーーー!』と母が叫んでいる。父に事情を聞くと、母は、見えない誰かと、戦っているらしい。

数分の間、父と母の症状のことで、話しをしていると、急に『なにをしよん!』と、怒鳴りだし、急に電話が切れた。心配になり、数回電話を鳴らしたが、出ない。

父と母に何が起きたのだろう…。
不安で心臓が張り裂けそうになった。

父から、折り返しの電話を待った数分が、気が遠くなりそなほど、長く感じた。

『ごめん、ごめん。お母さんが抱き枕を椅子に叩きつけだして…』と、困惑している様子だった。

口数が少なく、おとなしかった母が…
信じられなかった。
想像もつかない暴力的な行動に、私も困惑した。

感情を表に出すのが苦手だった母。
椅子に抱き枕を叩きつけることで、自分の中の怒りや不安を、コントロールしていたのかもしれない。

ひと暴れした母は、その後、布団で小さな子供のように丸まり、放心状態になっていたようだ。荒れ狂う自分の感情をコントロールすることができず、自分の精神の行く末を案じ、ますます精神は崩壊していった。

















































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