見出し画像

母の精神が崩壊⑮ 意見の対立からわかったこと

母の入院をするという選択を、父も姉も最初から受け入れていたわけではなかった。

姉は、当初、入院することに反対をしていた。
入院してしまえば、症状がもっと悪化してしまうかもしれないという、不安からだった。

それは、私も同じ気持ちだった。

ただ、違うかったのは、
姉はあまり母と接していなかったので、
母がどういった状況なのか、
あまり知ろうとしなった。

『そんなに悪い?』

私がオーバーに言っているかのように、疑われ、気分が悪くなり、加え、いよいよ母の調子が悪くなってきていても、母と関わろうとしない姉に腹が立っていた。

ある日、母のことを電話で話ししている途中に、私のことを、おかしくなっているのではないかと言いだした。その言葉を耳にした途端、我慢していた感情が爆発した。

『関わってないから、そんなこと言えるんや』



何日か経ち、ギクシャクしたまま、姉と一緒に実家に母へ会いにいった。

いつも座っていた椅子に母は、おらず、
ふと、目をそらすと、
母は、私がプレゼントした、肌触りの良い抱き枕を、虚ろな目で触りながら、布団に横たわっていた。

そんな母の姿を見た姉は、
ただ事ではないと接し、
やっと母と向き合うことを決意したようだった。

実家からの帰り道、駐車場までの夜道を二人で歩いていると、ふいに姉が、
『あんな姿のお母さんを見たくなくて逃げてた』
『今まで関わらなくて、ごめん』

そう言って、私に謝罪した。


誰でも弱っていく親を見るのは、
怖くて、受け入れられない。

今回のように、突然襲いかかる問題は、
怖くて、辛く、問題から目を背け、逃げ出したくなる。

しかし、
問題から逃げ出せたとしても、いつかは、
ああすればよかった、
あれを言えばよかった
と、後悔の念がいつまでも自分自身を追いかけ、苦しめ、追い詰める。

後悔を背負い、
一生生きていくのは重く、苦しい。
だからこそ、今を、後悔のないよう生きたい。
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?