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4月16日 春は臭いよ

 散歩から戻ると何やら臭う。服や髪の毛からほんのりと。そして何より自分の肌から・・。きっと外のにおいが染み付いてしまったのだろう。「自分が臭いよ~」と嘆く私をくんくん嗅いだ夫が”YOU GO BATHROOM!”とデタラメな英語をふざけて、でも重々しく言い放った。

 最近暖かくなってきた。
 空気がぬくぬく緩んできて気持ち良い半面、春ほど外気が臭う季節もないと思う。

 以前ニューヨークに住んでいた頃、アパートの前が犬たちのマーキングスポットになっていた。暖かくなった途端にもわぁと広がる生臭さ。このにおいで、春が来たなぁと感じたものだ。臭気が、春の便りだった。
 東京の犬はよく躾けられているからか、それとも数がニューヨークに比べて少ないからなのか分からないが、東京でそんなにおいを感じたことはない。それでも外気が臭いのは共通だ。外にいるときは感じなくとも、家に戻ると分かる。自分が臭気のヴェールに包まれてしまっていることが。
 塵埃や排気ガスなんかが、春になって緩んだ毛穴のひとつひとつにビッシリと詰まってしまっているような感じだ。

 不思議なことに夏はそれを感じない。
汗もかくし、においはむしろ濃くなるのだろうが、春ほど家にいる時と外から帰ってきたときのギャップがない。におい(汗や生活臭、緑のにおい等)が強く濃くなるに連れて、鼻が麻痺してしまうのかもしれない。
 暑いと汗が滝のように出るから、それが毛穴の汚れを洗い流してくれているというのもあるかもしれない。春はほとんど汗もかかないから汚れが出ていかないのだろう。

 でもその分シャワーが気持ち良い季節になった。今夜もシャワーでにおいも汚れもすっきり水に流そうと思う。

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