あなたと同じ空の下にいた

ときどき空を見上げています
いろんな人の顔が浮かびます
いちばん最初に、母の顔が浮かびます
母は三年前、末期がんで亡くなりました
最期は日赤の緩和ケア病棟で静かに過ごしました
緩和ケア病棟は森の中にあり
すぐ近くには池があります
木々のざわめき、鳥の鳴き声、風の音が聞こえました
そんな場所で私も付き添い、ときどきテラスに出て空を見上げて生き抜きをしました
母はそこで十二日間過ごした後、亡くなりました
最後に「なおみがいてくれるだけで嬉しいよ」と言ってくれました
亡くなる前日の夜中
母はもうしゃべることもできず
両手を耳のところへあてて、赤ちゃんに伝えるように、ねんねしなさいの
しぐさをしてくれました
それからずっと眠ったままこの世から去っていきました

今でも空を見上げてると
両親や別れてしまった親友
大切な人の顔を思い出します

大阪の大きい空を見上げては
大切な人に守られているように思います
大切な人と同じ空の下にいると思えば
さみしさより元気が出てきます

*

文章を書き終えて外に出てみました
秋の日らしく風が強く
木々から葉が落ちていく
一枚一枚の枯葉が神々しくおもわれ
あの木々から葉が舞い落ちるときの
感激、忘れずにいようと思います

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