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「ユーザー視点」を可能にするコーチングーー【「ついやってしまう」体験のつくりかたを読んで】


最近コーチングスクールに通い始め、その素晴らしさに感動し、コーチングを布教すべくこのnoteを綴っております。

「コーチング」とは、コミュニケーションスキルの1つ。どういったコミュニケーションスキルかというと、ざっくり言うと、「対話によって、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションスキル」です。(この辺の定義は団体や人によって違うと思われます)

▲布教している理由


今、コーチングを習得すべくスクールに通っているのですが、「あれ? このコーチングの考え方、ビジネスにも活用できるのでは?」と思うことがどんどん出てきています。


その中でも今回は、コーチングをマスターしたら、ユーザに寄り添った思考ができるようになるのでは? ということを考えたので、それについてメモっておきたいと思います! (長くなってしまいました…)


ユーザに寄り添った思考を実現する難しさ


最近、元任天堂の玉樹真一郎さんの著書『「ついやってしまう」体験のつくりかた』を読みました。

この本は、人が「つい」興味を持ったり、やってしまう仕組みについて

・マリオをプレイした人は、なぜ何も説明されずにに右へと進むのか

・ドラクエにはなぜ「パフパフ」が必要なのか

などを例に、わかりやく体系立てて説明してくれる、めちゃくちゃ面白い本なのですが、その中で個人的に刺さったところがあります。

「体験をデザインするデザイナーは、自分の感性や記憶だけにしたがってデザインしている限り、良い体験は提供できないでしょう。もし人々に広く楽しんでもらえるポップな体験をデザインしたければ、「ユーザーはどんな脳や心の性質を持っているか」「ユーザはどんな記憶を持っているか」……あくまでもユーザを起点にしてデザインするしかありません。」

これです。


普段コンテンツマーケティングをやっている会社で働いているのですが、つい、「今回のターゲットである30〜40代の働く男性は○○という考えの人で〜」といったように、こちらで勝手に人物像を描いてしまうことがあります。


ダメですよね…。そういった思考になった時にいつも反省しています。でも、こういうのやってしまいがちですよね。


例えば、あなたが絆創膏(ばんそうこう)の商品開発の担当者に新たに任命されたとしましょう。(最近使ったんです…絆創膏)


急な設定すみません…。ちょこっとだけお付き合いください。

役に入り込んでいただくために、まずは簡単なクイズをやりましょう。


さて、どちらが多いでしょうか?


スクロールする手を止めてちょっとだけお付き合いください。


さあ、答えは出ましたでしょうか? 難しく考えずにいきましょう。


では、答えにまいりますね。

答えは女性! いかがでしたか? 調査によると、男性は約50%に対し、女性は約70だそうです。 


さあ、きっとあなたはもう「絆創膏の商品担当者」になっていることでしょう。


ある日、あなたは会社に行くと、上司にこう言われます。


「女性が喜ぶ絆創膏の新商品を作ってくれ」


なかなかの無茶振り。

さて、あなたはここからどうしますか? ほんのちょっとだけ、スクロールする手を止めて考えてみてください。



OKですか? 今日も暑いので、冷たい飲みものでも飲みながら考えてみてくださいね。


あなただったら、どのような新商品を作りますか?


もういいですかね。さあ、聞かせてください! 


「ヒールの靴擦れで使うシーンが多いと思うので、耐久力のある絆創膏がいいと思う」

これは気づきませんでした…。いいですね!


「お母さんは、子どもに張ってあげることも多々あると思うので、除菌効果に優れた絆創膏なんかはどうか」

ああ〜確かに。素晴らしい!


ざっくりとした問いに答えていただき、本当にありがとうございます。こういうの考えるの、意外と楽しいですよね。


ですが、これらの考え、全て「勝手に人物像を描いた」ものであり、「ユーザを無視した発想」そのものなんです。


人は想像力を働かせて、勝手に物語を作ってしまう


「お前が考えろって言ったんじゃないか!」という声が聞こえてきます…。すみません…。


ですが、上司からの依頼と、僕からの質問を思い出してください。

▲上司からの依頼

あなただったら、どのような新商品を作りますか?

▲僕からの質問


勘の良い方でしたらもうお気づきですね。


そう、どちらも「絆創膏を使っている女性を想像しろ」とは一言も言ってないんです。


「いやいや、どんな商品が良いかを考えるのに、どのような人がどんなシーンで使うか考えるしかないのでは?」

「マジ屁理屈」

と思われるかもしれません。く…。


批判をされ血を吐きながらも僕がお伝えしたかったのは、「人は想像力を働かせて、勝手に物語を作ってしまう」ということです。


玉樹真一郎さんの著書『「ついやってしまう」体験のつくりかた』にもそのことが書かれています。

脳は物語を語る臓器だといえます。目・鼻・耳といった無数のセンサーからかき集められた断片的な情報を統合し、これまでの人生と照らし合わせながら「結局のところ、目の前で起きているのは何なのか」という意味を推測し、文脈をつなぎ、あなたの人生という物語を語るナレーター……それが脳の本能的な役割です。

この「これまでの人生と照らし合わせながら」というのが非常に厄介なんですよね…。


当たり前ですが、自分と同じ人生を歩んできた人なんて、この世界に一人もいません。その自分の経験でもって、人の人生を想像すると、必ず誤差が生じてしまいます。


では、なぜやってしまうのかというと、物語を作るのが「脳の本能的な役割」だからなんですね。


このことを理解しているか、理解していないかで、かなり物事の見え方が変わるなあと思います。


絆創膏の新商品作る際には、確かに「実際に絆創膏を使用する人は、どのようなことを考えているのか」を知る必要があるのですが、その方法は「自分で想像する」だけではありません。「実際に使用している人に聴く」という方法があります。

▲「想像する」が相手に投げかけているのに対し、「聞く」は相手から情報を得ています。


「想像する」では、脳が物語を作り、勝手にユーザ像を作ってしまうので、本当にユーザに寄り添った思考を実現するためには、ユーザに直接話を「聴く」しかありません。


ユーザに寄り添うための3つの障壁

ここまでの話は、「そんなの常識ですよね」と思われる方も多いのではないでしょうか。ですよね〜。


自社のサービスや商品を使用しているユーザにインタビューするのは今は普通ですよね。


でも実際にインタビューして、ユーザの本当の考えや本当に思っていることを聞き出せているか、と考えると胸を張って「YES!」と答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

原因は3つに集約されると考えています。



スキル問題

まずはスキル問題について。これは、絆創膏を携帯している女性に会社に来ていただいたとして、その方の絆創膏についての不満や、本当に思っていることを聞き出せるか? というコミュニケーションスキルの問題です。


「絆創膏について、忌憚ない意見をお願いします!」や「絆創膏について何か不満はありますか?」という質問では、きっと女性は言葉にできません。


そもそも「本当に思っていること」を自分で理解できてないことなんて、たくさんありますよね。誰かと話しているうちに、「あ、自分こんなこと考えてたんだ」と感じた経験のある方多いのではないでしょうか。

つまり、「ユーザの本当に思っている」ことを理解するには、それ聞き出すコミュニケーション能力がそもそも必要、ということです。


バイアス問題


例えば、自社の絆創膏の強みが「水を完全に弾く!」だった場合、ユーザに絆創膏についての困りごとを聴くインタビューなのに「キッチンで絆創膏が剥がれた経験などありませんか?」といった質問をしてしまう可能性が高いです。

これは、聴きたいことを聴こうとしているから。つまり質問に見せかけた誘導なんですね。バイアスがかかっているともいえます。こうやって文字にすると「まさかあ〜」と思ってしまうのですが、結構ありますよね。


対等な関係問題


そもそも、初対面の人に会って話をする、というのはなかなか相手の心理的ハードルが高いですよね。

もし、あなたが「自社の絆創膏について意見を聞かせてくれ」というお願いをされ、その絆創膏を使った時に「なんか剥がれやすかったなあ」と思っていたとします。

じゃあそれを素直に相手に伝えられるか。……結構難しいですよね。

つまり、ユーザの本当に思っていることを聞き出そうと思ったら、ネガティブな意見も言える「対等な関係」を築く必要があるのです。

ユーザに寄り添うコーチングスキル


これら3つの問題を解決するのが、コーチングスキルなのです。


コーチングはざっくりいうと、質問によって相手に思考を整理&言語化してもらうスキルなので、①のスキル問題は軽く解決。

②に関しては、コーチングは、ゴールを設定して、そこから逆算してコミュニケーションとるのではなく、対話によって相手にゴールを描いてもらうという作業なので、バイアスをかけると成立しないスキルなのです。

よくコーチングをする際は、「白いキャンバスを用意する」という様な表現をしたりします。なので②も解決!

③に関しても、コーチングスキルを身につけると解決します。「相手との対等な関係を築く」というのはコーチングの基本的な考えで、これなしにコーチングスキルは効果を発揮しないからです。はい楽勝〜。

▲KOREDA!!!

じゃあ、それ具体的にどうやんの? 

と言われると思うのですが、それに関しては、今「こうすればいいのでは…」と考えているものはあるのですが、まだ人様にお伝えできるレベルになっていないのでお許しください…。

この先スクールの授業が進むと、くっきりしてくると思います! もしご興味ある方がいたら、フレームなど作ってnoteに書きなぐりたいと思います。

長文にお付き合いいただきありがとうございました〜


*例として絆創膏についてを書いていますが、御察しの通り、絆創膏のプロではありません。なので、絆創膏のプロの方がみて嫌な気持ちになっていたりしたら本当にすみません…。絆創膏、昨日も使わせていただきました。いつもお世話になっております…。また、絆創膏=女性が持っているもの、とも全然思っていません。寛容な目でみていただけたらありがたいです…


記事にスキをもらえると、スキになります。