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「障害者雇用代行ビジネス」について、琉球新報 論壇に投稿しました。

大学院に進学して1年経ち、自身の考えをまとめるために論壇を投稿しました。文章を書く練習っていう意図もあります。
今回は、職リハ従事者や障害者雇用を行う企業・官公庁、福祉事業所の皆さんに、「障害者の働く権利」について、もっと考えてきませんか。というメッセージを込めています。

近年、障害者雇用のあり方を揺るがす問題が起きている。平成30年度は、官公庁や自治体において、雇うべき障害者を雇っていることとし法定雇用率を満たしていると報告する、いわゆる「障害者雇用水増し問題」が明らかになった。当時メディアにも大きく取り上げられ、障害者雇用促進法の理念に反するとして批判が相次いだ。その後、人事院による障害者採用試験が開始し、各自治体においても障害者雇用求人が積極的に出されるようになった。その結果、雇用する障害者は増加し、各自治体の法定雇用率が満たされるようになった。一方、「数」としての雇用は促進されつつも実際に働く障害者の働きがいの創出や、非常勤職員として採用した後のキャリアプランなど雇用の「質」に関しては、まだまだ未発達な部分が多い。これは、一般企業にも同様な課題と言えるだろう。

そんな中、今年1月に「障害者雇用代行ビジネス」に関する報道があった。障害者雇用代行ビジネスは、農園の運営企業がその農園を他企業に有償で貸し出し、農園を借りる企業側は賃貸料を支払うことにより、離れた農園で働く障害者を自社の職員として雇用し、法定雇用率を満たすというスキームで成り立っている。このような仕組みは障害者とそうでない者の分断を生み出すとして問題視されており、地方紙においてもさまざまな批判とともに取り上げられている。

これらに共通することは、「働く」ということにおける障害者の人権を蔑ろにしているということではないだろうか。そもそも、障害者を雇用することは社会貢献でも企業による施しでもない。障害の有無に関わらず、生きていく上での選択肢の一つとして「働く」があり、これらは誰もが主体的に選択できる権利の一つである。それらを、雇用側が利害得失の観点で語り、雇用の選択肢を雇用先とは異なる場所にある農園とし、そこでの雇用を量産していくような発想では、共生を目指す社会とは程遠い結果となっていくだろう。障害者の働く権利は他者と同等に享受される必要があるはずなのに。

しかし、報道によると農園では5000人程度の障害者が既に働いており、そこに様々企業が参入をしている。そのため、社会に一定のニーズがあるようにも感じ取れる。やはり、このビジネスの手法だけを批判するのではなく、そのようなビジネスが生まれる社会的背景を明らかにする必要がある。

本報道に関心のある方は、まずは自身の周りを見渡し障害者を排除する構造はないか目を向けてみて欲しい。そして、障害者雇用代行ビジネスの批判の矛先はどこか、議論していきながらともに思索を深め続けていきたい。

琉球新報 2023年3月26日 論壇

感想。字数足りない!そして、乱文。なかなか字数制限がある中で、自分の意見を述べるって難しいですね。

以前、noteでも「障害者雇用代行ビジネス」について私の考えをまとめましたのでご興味があれば!


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