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娘がくれたもの
単純な私は、性別も顔かたちも似た自分の赤ちゃんを、自分の分身のように思っていました。
私は問題児で、学校が大嫌いでした。自分のペースで勉強を進めたいし、集団行動が苦手。気の合わない人と話すのも本当に苦痛でした。だから、「学校が苦しくなったら我慢せずに言うんよ。学校以外の選択肢だってあるんやから」と、小学校入学前から娘に言い聞かせていました(先生方ごめんなさい)。
ところが娘は学校が楽しい、学校へ行きたいと言いました。先生からも、いろんな子に優しく接する良い子ですよ、と言われました。一体なんで?どういうこと?
特に中学校は、乱暴者の子、授業中に教室を出て行ってしまう子などけっこうな問題児がおり、なかなかな環境のようでした。不登校の子も複数いました。そんな中を娘は楽しんで過ごし、時にはクラスの雰囲気に流されずに自分の意思を表明しさえしました。
「そりゃあいやなこともあるけど、友だちもおるし、先生もおるし、楽しいよ?」
彼女は私なんかよりずっと、クレバーで逞しい子どもでした。
一方で私は、自分が母にしてもらいたかったことを、娘にしました。
習い事を無理強いさせませんでしたし、買う服はいつも彼女自身に選んでもらいました。体型のことを話題にしませんでしたし、いつも弟の面倒を見ている娘を、姉では無く1人の子どもとしてかわいがり、いっぱい甘えていいよ、と言い続けました。心がぱんぱんで溢れそうになっているときは、黙ってずっと抱きしめて、背中をぽんぽんしてあげました。そうしてずっと、あなたが大好きと伝え続けました。
娘を抱きしめていると、自分が自分に抱きしめられているような、なんとも言えない、温かい、泣きたいような気持ちになりました。
娘と一緒に、昔の私も抱きしめていたのかもしれません。
大丈夫。あなたが大好き。大好きよ。
のびのびと楽しそうな、友だちの多い、娘。しっかりしていそうで、うっかりやさんの娘。変なところで繊細で、正義感の強い、娘。片付けが苦手で、私が選ばないタイプの服を着る、可愛いかわいい私の娘。
この子が生まれてきてくれたおかげで、私は子ども時代を肯定的に生き直すことができたように思います。
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