孫子の兵法は使えるのか?

本屋でちょくちょく見かける「君たちはどう生きるか」。私には何も得るものがなさそうなタイトルのせいで、読めない。かれこれ本屋ウォッチャー歴20ウン年である。”子供の頃からずっと見かける本のタイトル”なるものがあり、たとえば「羅生門」や「銀河鉄道の夜」、そのうちのひとつに「孫子」がある。出版社と著者(解説者)の名を変え品を変えて何度もプロモートされているのを「みんな好きだねぇ」と半ばあきれ半ば面白味を感じながら眺めている。読めばきっと現状打開のヒントが見つかるはず、というわけで世のなにかしら悩んでいる人が藁をもすがる気持ちで買っていくのだろう。ゼレンスキーもプーチンも今頃TSUTAYAなんかで孫子を食い入るように、まるで四浪してる受験生のごとく立ち読みしているかもしれない。私自身はといえばじつはそこまで熱心に読み込んだことはなくパラパラと眺めた印象でものを言っているので申し訳ないのだけど、内容はシンプルイズ最強…、ゆえにきわめて難解であると思う。ぶっちゃけ、あれを熱心に読んでいる人の気が知れない。ぶっちゃけ、あれを使いこなせるのは諸葛孔明とあとは…孫正義くらいじゃないかしら(適当)。たとえばだ。個人的にここ10年で、おそらく最も影響を受けた本に「脳を鍛えるには運動しかない」がある。タイトルそのまんまの内容なので仔細な解説は省かせてもらうが、何がありがたいって、誰が読んでも解釈が一致することだ。一読すれば外に出て運動したくなる、モチベーションも上がる…、以上!いっぽう孫子はそんななまっちょろいものではない。戦争/戦略論というわりにはずいぶん観念的なところもあり、実際、そのアイディアは各自の解釈を加えられながらいくらでも借用されている。上はアメリカ軍司令官、下は三国志かぶれの小学生にいたるまで、どこの側からも元ネタにされるのだから恐れ入る。そしておそらく大半の人が使い方を間違っている。目の前の物事をきちんと見ていないことにその原因がある。

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