5-7.「……じゃあ、俺たちなりの方法であがいてみようか」

「……じゃあ、俺たちなりの方法であがいてみようか」

 三人が一斉にうなずいた。

「まずは、アルミのアプリを運営している会社から調べてみるのだよ」

 いつのまにかトシは、ノートPCを開いて、キーボードを超高速で叩いている。

「俺は、街でアルミやってるバカを見つけて軽く話を聞いておく」

「それなら僕は、囲町学園の生徒に話を聞いてみるのです」

 昼休みみたいなノリで、いきなり作戦会議が始まった。

「そうだ、トシ。これまでのミッションで使ったウェブページも、ついでに調べとけ」

「トシくんなら、ランキング用に公開されていた映像も解析できると思うのです」

「なんで自分ばかりやることがあるのだね。イチも少しは手伝うといいのだよ」

 ノートPCから目を離さずに、トシが俺に向かって人さし指を突き出す。

 わかった、わかったと返事をしながらまわりを見ると、駅を行き交う何名かの人が、改札の真ん前を占拠して盛り上がる俺たち四人をちらちらと見ていた。でも、そんなことはお構いなしに、俺たちは作戦会議で盛り上がり続けた。

 阿佐ヶ谷の駅前で盛り上がった翌日から、俺たちは毎日、部室に集まった。ユウシの事故は、二日も経てば、どのニュースも取り上げなくなっていた。ようするに、メディアが喜びそうな事件性はない。そう判断されたってことだ。だからといって俺たちのやることが変わったわけでもなかった。主にトシと俺が、アプリやウェブまわりを調べて、ヒロムとジュンペーが、事故の起きたマンションの周辺や、他のアルミプレイヤーから、ウソか本当かわからない情報をかき集めていた。

 そんな中、トシとジュンペーが、アルミのアプリを運営していたレイ・フロンティアに突撃してみたけれど、担当者に『クライアントからの委託を受けて、コンテンツを掲載していただけ』と言われてしまい、こちらの線からアルミの真の運営元を突き止めるのは難しそうなことがわかった。

「部活の行き帰りに妙な視線を感じるのです」とジュンペーが言ったのは、ジュンペーがトシと一緒にレイ・フロンティアに突撃した次の日のことだった。普段なら「そんなのは気の迷いでしかないのだ」と一刀両断にするであろうトシが「自分も同じなのだよ」と言ったので、俺とヒロムは顔を見合わせた。アルミリークスの情報が本当で、俺たちに警告という名目で脅しをかける裏ミッションが出されていたとしたら、イヤな視線を感じることがあってもおかしくはない。ヒロムはメッセンジャーで中学生軍団に連絡をすると、俺たちの周辺を見張るように指示を出した。

「アルミのアプリも必要ないなら消したほうがいいんだろ、トシ?」

「ヒロムのいうとおりなのだよ」

 トシが、念のために全員のスマホのバックアップを取る。

 こうして俺たちは、アルミを削除した。

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