澤田 典宏
現実を舞台にポイントを競うゲームにハマっていく少年たち。「こんなことになるなら、友だちなんて作らなければよかった……」
二日後。病院のベッドで目覚めた俺の前には、付添用のイスに座って居眠りをする母親がいた。 なじりながら、泣きながら話す母によれば、俺は一昨日の深夜、自宅近くの…
「――ゲームオーバーだ」 ユウジはスタンガンをゆっくりと持ち上げ、自分のこめかみに押し当てた。 できの悪い映画みたいなスローモーションでユウジが崩れ落ちると…
ユウジの細長い影がゆらめいた。 「ここから考えられる可能性は、ただひとつ。おまえと兄貴はふたりでひとりを演じていたんだ。少なくとも、このアルミの世界では」 …
あの記号は、今日のゲームで俺たちが通った軌跡じゃないのか? 俺はペンを回しながら、考えられる文字の組み合わせをメモに書き出していく。 ・hhmt(スタート…
背中を強引に壁から引きはがした俺の目に、踊り場の床で鈍く光を反射する物体が映る。スマホのライトに照らし出されたそれは、よく見ると一枚の紙を挟んだ透明なプラスチ…
メッセンジャーを閉じて、またペンを回し始める。トシは、俺が問題を解く時間と、トシ自身がこの情報をまとめる時間の両方を確保するやり方を選んだんだ。 『選択まで殺…