1-13. ようするに一番と三番の謎を解かなければ、なにもわからないってことか。

 ようするに一番と三番の謎を解かなければ、なにもわからないってことか。

「なあ、ユウシ。アルミって、ネットで答えを調べたりしてもいいのか?」

「アルミには現実とゲームの境界線なんてないんだ。だから現実にあるものは、なにを使ってもかまわない。というか、もう自分はアルミの中にいると思っていい」

 背後でユウシが答えた。

 ゲームをダウンロードしたわけでも、どこかにユーザー登録したわけでもないのに、もうゲームが始まってるだって? なんだそりゃ。

 俺はブラウザを立ち上げると、検索欄に一番目の文字列『“The White Rabbit is a fictional character—Queen of Hearts„ 9 4 20 52 38 10 35 P 5 3』を全部コピーして貼りつける。困ったときのグーグル先生だ。

 リターンキーを叩くと、一秒半で結果が表示される。

『一致はありません』

 どうやら文字列そのままの答えはないみたいだ。そのかわりに「文字列に関係がある」とグーグル先生が判断した情報がずらずらと並ぶ。その先頭に表示されているのは『Alice (Alice’s Adventures in Wonderland)』。不思議の国のアリス?

「不思議の国のアリスを書いたルイス・キャロルことチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンの本業は数学者なのだよ。このため彼が記したアリスシリーズには、暗号めいた言葉―」

「黙って見てろ、トシ。しゃべりすぎると、ペナルティくらうぞ」

 トシの解説は、ヒロムたちに途中で押さえ込まれる。

 もごもごとうめくトシは無視して、俺は文字列の先頭部分『“The White Rabbit is a fictional character— Queen of Hearts„』を貼りつけて、もう一度、検索をかけた。今度も完全に一致する情報はなし。でも、これじゃないかな、と思える情報は見つかった。

『White Rabbit』――白ウサギ。

 リンクをクリックして、ウィキペディアのページを開く。

 ジャケットを着て、手に懐中時計を持ったウサギのイラストの左横に、文字列と同じ『The White Rabbit is a fictional character』で始まって『Queen of Hearts』で終わる文章があった。

 まちがいない。あとは文字列の後半、『9 4 20 52 38 10 35 P 5 3』と書かれた数字をどう読み取るかだ。

 俺はモニタをじっと見る。見つけたウィキペディアのページに同じ数字はなかった。

 数字をつぶやきながら確認をする。九、四、二〇、五二、三八、一〇、三五――

「あ……」つい声が出る。

 数字ばかりだと思っていた文字列の中に『P』というアルファベットが混ざっていた。

 指の上でシャープペンシルがくるくると回る。ウィキペディアの文章の中、英単語の先頭に『P』の文字はない。ここで考えられることはふたつ。

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