さらば、南区。

25日の12時に管理人さんに呼ばれたので、管理人室へ行くとオーナーさんもいて、管理人さんから退去を命じられた。

「あなたには、ここはむかない！」

開口一番オーナーさんは、そう切りだした。

「最近のあなたの書いてくるものは目に余るものがある」
「仕事が決まったなら、ここにいる必要はない」
「仕事先に近い場所に引っ越してもらう」

「ここはリハビリを必要とする人が住むところだから、あなたには出ていってもらいたい」

「あなたはここが住みにくいようだけど、みんなはここは住みやすいと言っている」

「あなたは他の住人の悪口ばかり書いてくるけど、それはあなたがそう思っているだけで…」

オーナーは一方的に持論をまくしたてた。

ボクは反論したかった。

事件は会議室でおきているんじゃない。現場でおきているんだ、と。

夜になってもテレビを大音量で観ていた奴もいる

酒を禁止されているのに、隠れて酒を呑んでいる奴もいる

部屋は禁煙なのに換気扇を回してスタッフの来ない時にタバコを吸っている奴らもいる

オーナーさんも管理人さんも、それらのことを知らないから、ボクにここは住みやすいなどと言うのだ。

夜に部屋を出ると、通り道である105号室や101号室の換気扇が回っていてタバコの臭いが漂ってくる。

ボクもタバコを吸うが、他人が吸うタバコの煙は苦手なのだ。

「近所から苦情はきていない」などともオーナーさんは言ったが、すぐ隣の家の人がテレビを大音量で長時間つけっぱなしにするのを五日間も続けたのは、ここの住人に対する嫌がらせであり、なぜそういうことをするのかも考えないオーナーさんや管理人さんに問題があるのだと、ボクはおもうのだ。

それに、部屋でタバコを吸っていて、万が一火事にでもなったら、誰が責任をとるのだ。

ボクがスタッフにむけて書いたものの内容も、集団生活でしてはいけない行為をする奴を攻撃する意味を含んだものなのだ。

しかも、ボクが新しい職に就く寸前になって、深夜から朝にかけてテレビを大音量でかけられては、まともに睡眠がとれないからスタッフに注意してもらおうとして書いたのだ。

でももう「時すでに遅し」だ。

さようなら、南区。

ボクはその後荷物をまとめた。

そしてしばらく後に、しかるべきところに、電話をして引っ越しをすることになったことを告げた。

オーナーさんが言うには、五月中には出てもらうということだった。

そしてこれを書いている午前二時、またもや隣の部屋からテレビの声が聞こえる。

昨日、スタッフが来て隣の部屋の老人に注意していたのにも関わらずに、だ。

「今夜も徹夜だ…」

追記

ラジオ体操で、仲良くなった高見さんご夫妻、そして渡辺さん、いままでお世話になりました。

ありがとうございました。

みんなのアイドル「らんちゃん」