ぼやいてみた。

高校生まで使えた珠算能力は、いつのまにか失われてしまった。

自動車学校で学んだ知識やドライビングテクニックも、もう忘れてしまっているのだと想像がつく。

体育の授業でテストの時にだけ成功した前方宙返りも、二度と成功しないのだろうな。

学生時代に得た知識などは、微塵も覚えていない。

RPGのように「一度覚えた能力がずっと使えたらいいのにな」と思う。

人の能力には忘れるというものもあるが、それは諸刃の剣でもあると考える。

忘れてほしくないものまで忘れてしまうことは、けっこうつらいと感じるのだ。

頭とか身体の記憶しておくスペースに空きがないのなら仕方がないけれど、まさかそんなハズはないといえると思うのだけれど。

…最近になって歩く頻度が増えたから、記憶力や思考能力は復活しつつあるのだけど、身体で覚えたことを忘れてしまっているから悔しくてしかたがない。

もし生まれ変わることができるとして、前世で得た知識や技を再び使えるのなら、それから覚えることも加えて数多くの能力が身につくゆえ、他人とは比べ物にならぬ数の能力を持てるのだろうけど、それは夢の中の夢である。

人と争う時に使いたいとは考えてはいないけど、一度覚えた能力は失いたくはないのだ。

そして自分勝手な考え方だが、悲しいことや辛いことは忘れてしまいたいと考えている。

ボクはこれから生きていく上で必要な能力を身につけていきたいと考えている。

だがそれも、いつかは忘れてしまうのだろう。

悲しいことだが、ボクは超人ではなく、ただの人間でしかないのだから。