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誕生日!

今、俺は刑務所の中にいる。

そのわけはある男を殴り殺したからだが、それは俺の女=亜由美が殴り殺した男に襲われていたと勘違いしたからであり、亜由美が身体を売る相手と値段の交渉で揉めていたからだ、と後になって知ったのだ。

その時にはそんなことあり得ないと思っていたから、俺の女に手出ししようとする泥酔者を相手につい本気になって鍛えてきた武道を使い、気づいた時には殴り殺していたという始末だったのである。


亜由美は身寄りもなく高校を卒業後にすぐに職に就いた。

俺は高校時代に彼女と付き合いたいと考えていたから、積極的にアプローチして、何とか付き合えるようになったけど、俺の両親は身分の違いから交際は認めず、俺だけが大学に行くようになり、交際禁止と両親から言われて、仕方なく別れることにしたのだ。

そして大学卒業後の俺は、とある会社へと就職したが、まさかその会社に亜由美が働いているなど夢にも考えてはいなかったのだ。


「これは運命だ!!」

そう考えた俺は会社帰りに亜由美を待ち伏せして「再び交際してほしい」と告白したのだが、彼女は首を縦には降らなかったのである。

俺よりも先に就職したけど彼女の給料は単なる事務員ゆえに入社1ヶ月目の俺の給料よりも少なかったみたいだった。

彼女と同期で同じ事務員をしている女性から「給料はどのくらい貰っているか」を聞いてみて驚いた。

大卒と高卒ではあまりにも差があったからだ。


俺が醜く太った中年の野郎を殴り殺したことを、彼女は幸せと思ってくれたみたいな表情で、パトカーに乗らされて警察署へと行く俺を、いつまでもいつまでも微笑んで見つめていてくれたけど、彼女は薄給ゆえに身体を売り、次の俺の誕生日に高価な物をプレゼントとして渡すためにと、1度だけ危ない橋を渡るつもりだったと知ることとなったのは刑務所を出た時だった。


彼女が自ら俺がいつ刑務所を出るかを調べて待っていてくれた時に俺は決心したんだ!!


オヤジ・オフクロ「俺は決めたんだよ!親を見捨てても彼女と結婚して、幸せになるんだ!!」あんたらとはもうお別れなのさ。

すべてを捨ててでも俺は彼女と結ばれて彼女を取りまく闇を晴らしてみせるぜ!!


そういえば、あと3日過ぎると彼女の誕生日だったよな。

俺は新たに仕事を探す、まだ若いからチャンスはあるだろう。

亜由美はまだあの会社で働くけど、俺は転職して1からやり直すぜ。


これからもよろしくな、ハニー!!


…終わり。


初めてショートショートに挑戦してみましたよ。

2時間くらいで書きました。

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