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【鑑賞記録】PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて
まめです。
今回は、私の大好きなTEAMNACSの作品を。
TEAMNACS第16回公演『PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて』
Blu-rayで鑑賞。
作品概要
1945年8月15日。この日、日本は無条件降伏を受け入れた。しかしその後。突如としてソ連軍の大部隊が、武装解除した孤島に攻め入ってきた!気持ちをもう一度奮い立たせ、再び銃を持つ兵士たち。彼らが立ち上がらなければ、北海道は二分されていたかも知れない。日本最後の戦いの司令部があった「幌筵島」。私たちはまだ、その島の名前さえ知らない。
原案・演出:森崎博之
脚本:林 民夫
出演:TEAM NACS(森崎博之 安田顕 戸次重幸 大泉洋 音尾琢真)、小此木まり、荒居清香、伊藤駿九郎、梅田喬、黒岩司、佐藤亮太、津田幹土、新田健太、原田新平、廣瀬真平、古川ヒロシ、松尾英太郎、三木秀甫、森下ひさえ、山中雄輔
公演日程:2018年2月3日~4月1日
史実を基にした物語。
脚本の林民夫さんは、2022年公開の映画『ラーゲリより愛を込めて』の脚本も書かれています。
10年前から構想があったというこの舞台。
全員が40代になり、家庭を持ったからこそ、北海道出身のNACSがやるからこそ意味のある作品だったと思う。
終始心を強く掴まれ、揺さぶられ、自分の中に重く残る作品でした。
※以下ネタバレ
見ている前提で書いているので、知らない人にとっては話がちんぷんかんぷんかも。
全体をバランスよくまとめるのが苦手なので、主要キャラクターと印象に残った部分を。
①冒頭
スクリーンとなる幕が張られ、3日前の8月15日へ時をさかのぼる演出。時計の針が逆方向に回り出し、私たちのよく知る戦争の映像が映し出される。カノンのロックアレンジとともに、この作品の世界に吸い込まれていくような感覚になった。
②小宮少尉(演:森崎博之)
軍人の家に生まれるも、人に指図することが嫌いな少尉。
それぞれが戦場での地獄を経験する中、共感性が高く優しい性格だからこその地獄を経験したと思う。
終盤の戦闘シーン、一人自決しようとして短銃を自らの頭に突き付けるのが辛い。やり切れずに腕を下ろすのも辛い。
③桜庭上等兵(演:安田顕)
ガダルカナル島の戦いを生き延び、東京大空襲で妻と子供を失ったことを語る桜庭。事実を知ってはいたものの、お芝居を通して受け取るからこそ一番苦しい、ショックに近いシーンだった。
花が好きだった妻と、歌が好きだった娘。缶詰工場の女性たちがその姿と重なり、何が何でも守ろうとしたのだろうか。
④田中二等兵(演:戸次重幸)
天涯孤独だったが愛する人と出会い、結婚し、産まれた我が子を腕に抱くことを夢見る田中。
サチコに出会わなければ、戸籍を取り寄せなければ、召集されることはなかったのに……でも、家族を知らなかった彼にとっては、幸せだったのかなぁ。ひたすらに切ない。
⑤水島軍曹(演:大泉洋)
戦いたい、戦いたくない、戦いたい。
終戦を告げられたことにより希望を見出してしまった水島は、2つの気持ちの間で揺れ動く。
部下を逃がして戦場に赴く姿がかっこいいけど堪らなく辛い。自分だって逃げたいはずなのに。
⑥矢野整備兵(演:音尾琢真)
戦場で戦いたくて、ずっと自分の死に場所を求めている。
一番軍人らしい人物かと思いきや、過去に失った仲間・山下の亡霊にがんじがらめにされている。自分を追い詰めて周りから銃を突きつけられる演出がキツい……。
⑦50年後の世界
ここで出てくる厚生省の男性。
島に来た遺族に対し、「私は遺族じゃないから、皆さんの気持ちがわからない」(ニュアンス)と言ううえに対応も事務的で冷たい。もちろん意図的な演出だし、このシーンにイライラする人もいたと思う。
でもこれは、戦争に、この事実に無関心な人々を表しているのだということに気づいてぞっとした。私もついさっきまでそうだったと。
まとめ
日本地図にも教科書にも載っていない事実。
キャラクターの過去やストーリー展開にもグッと来たが、私自身がこの事実を知らなかったこと、戦った人たちがいた事実を受けとめることで精一杯だった。
作品を生み出すうえで慎重になる部分も多かったと思うが、右にも左にも寄っていないし、言ってしまえば、戦争反対や平和祈念のメッセージを主題にしたものでもない。
ただ、生きること、死ぬこと。
それが懸命に、生々しく描かれている。
お読みいただき、ありがとうございました。
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