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別冊天然生活「保護犬と暮らすということ」

保護犬を飼う人たちの温かで、命あるものに対して誠実に向き合う姿や気持ちがひしひしと伝わる本書。

それこそ20年前くらいは、保健所に連れてこられた犬猫は殺処分ということがようやく知られはじめたくらいではないだろうか。知ったとしてもどうすればよいのかわからなかった社会だったなと思う。

今では、毎週のようにテレビで保護犬・猫たちの生活の様子が放映されたり、ネットで飼い主のいない犬猫を探し里親になることができることもだいぶ充実してきた。

本書の発売を知った時も本当にとても嬉しかった。

でも、どうしても思うのが、動物を飼っている人と飼っていない人で隔たりのようなものがあるように感じてしまう。

私自身、昔から犬が大好きで、ただ、家の都合上飼うことが許されなかったので、犬の飼い方などの本を読み漁って飼いたい気持ちを昇華していた。

そこで思ったのが、あたりまえだけれど、動物の雑誌は、動物を飼っていることを前提に書かれているということ。ケージや餌といった情報は、やはり少し疎外感を感じてしまう。

保護犬猫のチャリティグッズも迷子札などといったものを見ると、動物を飼っていない私は、どうしようかなと思うこともしばしば。

そういったものを否定するつもりはまったくないし、気持ちがわからないことはもちろんない。ただ、少し仲間外れのように感じてしまうのだ。

責任を持って飼いたいからこそ今すぐに飼うことはできない。けれど、動物が好きな気持ちはあるのになと。

もっと、動物を飼っていなくても楽しめるような、動物たちの手助けになるようなことができたらなと思った。(動物モチーフの雑貨やスイーツとか・・・)

そもそも飼う飼えないの境域を超えて、動物園にいるような、しろくまやきりんも大好き。

猫アレルギーだけど猫が好きな子、パンダが好きな子、牛が好きな子、爬虫類が好きな子、私のまわりには犬猫だけでなく、動物が好きな子がたくさんいる。

そんな人達の力も借りることができたら、動物を飼っている飼っていないに関わらずに動物が好きだという人とみんなで協力することができたら、もっともっと人間と動物の共生がうまくいくのではないのかなと。


保護犬、保護猫を飼ってくださいっていうのは、簡単に勧められることじゃない。でも私は命を大切にしたいし、殺処分を当たり前じゃなくしたいんす。(唐津裕美さん)

保護する側だけが奔走したり、好きな人たちだけで盛り上がるのでなくて、互いに助け合える社会になったらいいな。


そして、話は少し変わるけれど、本書で紹介されている保護犬を飼う人々というのが、いわゆる会社員ではない人が大半で、仕事にのまれすぎず、大事な命と生きていく時間を大切にしていることに、はっとさせられた。

働かないと生きていけないではなくて、この世界で助け合って生きていくために自分のできることを誰かを助けるために提供して、自分も誰かから助けてもらう。そして、自分の生活はすこやかであること。そんな優しいものではないのかもしれないけれど。

もちろん、生きがいは人によってさまざまだし、その時によって違うこともあるだろうから、いろんな生き方があってよいとは思うけれど、なんだか考えさせられたな。

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