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今日の"その日の天使"

朝起きたらメダカの鉢が荒らされていた。10匹ほどのメダカが居なくなっていた。鉢の側には鉢底にあるはずの赤玉が数個落ちている。野良猫が首を突っ込んだなんて考えられない。イタチかそれともハクビシンか。

以前からそんな悲しい事件が稀に起こるという情報をご近所さんづてに聞いていた。まさかうちのメダカちゃんが。朝からなんて日だ。気分が悪い。

早速JAへメダカを買いに行った。JAにはご近所の方が育てたメダカがその人の名前入りで販売されている。人気の品種から雑種まで。人気の品種はやはり高価だ。ビニール袋かプラスチックケースに小分けで置かれている。

メダカを物色していると後ろから声を掛けられる。おふくろくらいの年代のおばちゃんだ。

「お兄ちゃん、メダカ買ってるの?」とおばちゃん。

「今朝鉢が荒らされててね。食べられちゃった。」

「気を付けないとやられるよ。イタチは水中に顔突っ込んで食べるから。」

やっぱりイタチかぁ。

「(ところで)光っているのおらんかな?」とおばちゃん。

ちょうど見ていメダカが若干光っていた。多分”みゆき"という人気品種のものだとすぐ理解できたが値段的にも5匹で500円だったので違うと思った。

「光って見えるけど多分違うよ」

「でもこれ光ってるよ」とおばちゃん。

「この値段だから雑種でしょう」

「これはなんだ?メダカ入ってないねぇ」とおばちゃん。

「それは水草だね」

タニシがどうだとか水草はこうだとかおばちゃんとのメダカ談議は20分以上続いた。

おばちゃんとこは5つの鉢で育てているらしい。うちは2つだ。

敗北感。

おばちゃんは多分"みゆき"じゃないメダカが入ったビニール袋をカゴに入れその場から去っていった。

そんなおばちゃんとの会話で癒された。

朝の事件の悲しみも少し薄らいだ。

おばちゃんは今日の天使だと思った。







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