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チーズの魔術師に会った話

実は、少し前にフランスから帰国しました。色々書きたいことがありつつも、なかなか記事にできておらず今に至ります。
これから少しずつ、時間を見つけて自分のフランスでの経験を書いていこうと考えています。


話は変わり、ここ数日色々なことがあり、いつも以上にフランスでの生活を思い出しながら過ごしています。フランスでの日々は様々な思い出や感じることがあったけれど、やはり最も印象深いのはチーズやチーズを通して手にした繋がりや経験。本場でチーズを勉強したいと決意した渡仏だったので、私のフランス留学はチーズなしでは語れないのです。ということでフランス留学記と言いつつも、これからも書いていくのは「私とチーズの物語り in フランス」になりそうです。笑 ご興味ある方、どうかお付き合いいただけますと幸いです。


今日はフランスで憧れの方に会った話をば。
とある週末、弾丸旅行でトゥールーズに行ってきました。
街並みの色や美しさから薔薇色の街と言われるトゥールーズ。以前本で見てから、フランスに留学の際はぜひ行きたいと考えていた場所の一つ。日本でも最近ラグビーでよくテレビで放映されていました。

街並みを見てみたいということに加え、訪れた理由の一つにXavierさんに行きたかったことがあります。Xavierさんは有名なMOFの熟成士、フランソワ・ブルゴン氏のお店。
熟成士というのは、熟成前のチーズを購入し、自身の熟成庫で熟成を行う方々のこと。中でもMOFというのは「チーズ熟成士の巨匠」の称号を持つ人間国宝のような人々のことを指します。そんな称号を持つ彼が熟成するチーズをどうしても試してみたかったのです。


お店に入ってまず驚いたのは陳列の美しさ。全ての商品がより美しく魅力的に見えるように工夫がこらされている気がしました。並べられたチーズの中には他のお店では見ないチーズも多々。まるでチーズの博物館にきたよう。興奮する気持ちをおさえるのに必死でした。

切り方、見せ方、全てが美しく引き込まれてしまう。
宝石のようなチーズたち。


お店の方も親切で色々説明もしてくださり、おすすめいただいたBethmale Artisanalというチーズを購入しました。種類も豊富ですし本当はもっと買いたかったのですが、ホテルに冷蔵庫がなかったので断腸の思いで1種類に。訪れたのは冬だったのですが、異常気象のせいかまだ少し暑かったのです。(フランスはホテルに冷蔵庫がないところが多いです、、。他にもエレベーターやエアコンがないなど、日本では通常ついているものがないことが多々なので要確認です。)

レジでお支払いをしていると、、
お店の裏からなんと憧れのブルゴン氏が、、

美しいチーズをバックに後ろ姿を思わず撮影してしまいました。笑


悩みつつも、ここで勇気を出さなければいつ出すんだと自分を奮い立たせ(笑)、意を決してお声がけし、なんと一緒に写真を撮っていただきました!とても優しい方で、少しお話もしてくださり幸せすぎるひと時でした。


購入したチーズはこちら。


このチーズがまたすごくて。
いただいた瞬間、おいしすぎて悶絶。豊かなミルクの香り、絶妙な熟成具合とまろやかさ。チーズのよいところ、おいしさを濃縮した味わいにただただ感動。おいしいという言葉では足りないし表現できない。どうしたらこんなチーズがつくれるのだろう。これまでいただいたどのチーズとも違う深み、香り、味わいで、フランスが誇る熟成士さんの底力をひしひしと感じました。
なくなるのが悲しすぎて大事に大事にいただいたのが思い出深い。


フランス留学では暇さえあればチーズの工場や牧場、チーズ屋さんに足を運んで数多くのチーズをいただいたけれど、こんなにも「熟成」という点で驚き、感動したのは初めて。MOFの熟成士という称号のすごさを痛感しました。そのままでもおいしいフランスのチーズ達をさらにおいしく魅力的なものに変えてしまう彼は私にとってまるでチーズの魔術師。他の誰にもできないことをできる唯一無二な存在ですし尊敬します。そんな憧れの魔術師や魔法のようにおいしいチーズに出会えたトゥールーズは、私にとって思い出深い旅となりました。


次回行く時は私ももっとチーズについて詳しく、そして何かを成し遂げて一回り大きな人間になって会いたいな。加えて、絶対冷蔵庫付きのホテルに泊まり(事前要確認)大量にチーズをお土産にしようと誓った旅でもありました。笑

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