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春の味覚、アサリと蕗の炊き込みご飯

このところずっと雨。
寒くて、小さい楓の葉っぱが開こうかどうしようかと戸惑っている小枝には、
雨の雫がぶら下がっている。

隣の銀木犀の木の下では、蕗の葉っぱと石蕗(ツワブキ)の葉っぱが仲良く、空に向って葉を広げる。
冷たい雨に洗われた葉は瑞々しく、綺麗な黄緑色を放っている。


1. 蕗とツワブキの違い


蕗もツワブキも色や形も似ているけれど、よくみると違う。
蕗の葉っぱには産毛がある。
石蕗の葉っぱは厚みがあり、ツヤがある。

ツワブキは『ツヤブキ』が転じて『ツワブキ』と言われるようになったのだとか。
ツワブキは晩秋になる黄色い花を咲かせる。
そしてこの花は茶花にもなる。

一方蕗の花は、春を告げる蕗の薹が大きくなったもの。
固く閉じていたふきのとうのりん片がほころんで、花茎が長く伸び花を開かせる。

白く花を咲かせた後にフキになるのではなく、花が咲いた後は茶色になって枯れてしまう。
それからしばらく経ってから、ふきは地下茎で広がり、ふきのとうが出た場所とは違うところからフキの葉柄が出てくる。
花と葉柄が別々の時期に別々の場所から出てくるなんて、不思議な植物だ。

野生のフキは最近ではあまり見かけなくなったそうだが、幸いにも実家の近くには黄緑色のフキが一面に広がっている場所がある。
人があまり通らないせいか、あたり一面に広がるフキの山の中を歩いていたら、妖精にでも出会いそうだ。
妖精でなくても、こんな雨の日にはカエルがフキの葉っぱの下で雨宿りしているかもしれない。

フキは場所によってもいろんな呼び方があるそうだ。
例えば青森の津軽弁では『ばっけ』。
アイヌ語では『コロコニ』。

こういった言葉の響きがますます私を幻想的な世界へ導く。

フキの根っこにはフキノトキシンという毒があるらしい。
この毒のせいで、蕗の薹の花言葉には
『処罰は行わなければならない』というものがある。

こんなに厳しい言葉、いったい誰が思いついたのだろう。

人と同じでほんのちょっとの毒やアクがある位が面白いし、美味しいと思うのだけれど。
若い頃はそこまで関心がなかった山菜も、歳を重ねるにつれその美味がわかるようになる。
毎年同じようで、同じ春は二度と来ない。
今あるこの季節、この気持ちを大切に春を味わってみたいと思う。

2. 春は貝類が美味しい、アサリと蕗の炊き込みご飯で春を楽しむ。

アサリの下準備


アサリは綺麗に洗い、バットなどの平たい容器に入れてヒタヒタに塩水を注ぐ。
(塩水:水200ccに対し塩6g)
*アサリが呼吸ができるようにヒタヒタに塩水を注ぎ、その上からペーバーを軽く被せて冷蔵庫に入れて、砂抜きする。

蕗の下準備

まな板の上にフキを並べ、塩をまぶしてゴリゴリと擦る。
*フキは鍋に入る長さに切り揃えておく。

鍋にお湯を沸かし、塩ずりしたフキを2分ほど茹で、冷水にとる。
蕗の皮を剥き、水にさらしておく。

お米の下準備

お米は洗ってザルにあげておく。

炊き込みご飯の材料:

お米2合、アサリ400g、お酒大さじ1、薄口醤油大さじ1、フキ適量


<アサリと蕗の炊き込みご飯の作り方:>

  • 鍋にアサリをいれ、水1カップを注ぎ蓋をして火にかける。
    アサリのフタが開いたら火を止め、身を殻から外しておく。

  • (A:アサリのスープ、薄口醤油大さじ1杯半、お酒大さじ1、お水)を入れ全部で2カップになるように準備する。(*塩味が足りなければここで足す)

  • 炊飯器或いは土鍋にお米2合を入れ、Aとアサリの身を入れて炊く。

  • ご飯が炊き上がったら、小口切りにしたフキを混ぜ入れて5分ほど蒸らす。






















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