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人生の片手間に〜エッセイガッサイ➈通勤30分の大冒険!

「いってきます」
テーブルの上に置かれた弁当を今日は忘れずにバックに入れる。
「いってらっしゃい。ごめん、ゴミまとめてるから出しといて」
「了解〜」
毎週、火曜日と木曜日は燃えるゴミの日だ。気が付けば私が担当。
スニーカーに足を通してトントン。フルフェイスを被り玄関を出る。
階段を降りていると通学途中の学生に二度見された。そりゃフルフェイス被り左手にバック、右手にはゴミ袋を握っていれば誰でも気になるだろう。

 そして、バイクのエンジンをかけてアイドリング中にゴミを出し終える。我ながら効率がいい。バイクにまたがり昨夜のラジオを聴きながら出発進行!
(ビター・スウィート・サンバ)の軽快なリズムと共にバイクのギアをガチャンガチャンと上げてゆく。
そして現れた最初の難所、その名も『魔のT字路』と勝手に呼ぶ。
この信号に捕まるか、捕まらないかで貴重な通勤時間が変わる。
前方の軽自動車に張り付くように駆け抜けてステージクリア!

 朝の通勤には決まって、同じ場所で同じ人とすれ違う。

コンビニの駐車場では、リフトアップされたジムニーに乗るメガネのお兄さん。その先の緩いカーブを曲がれば古びたベスパ125にまたがりショーティーヘルメットを被ったイカしたオジサン。当然だが、みんな通勤時間は同じだ。

 次に信号待ちで苛立つ車達とは違う左方向にそれ、農道に向かって山道を駆け上がる。そこで第二の難所が登場だ。人はそれを『原付泣かせの坂』と・・・呼ばずに、これも勝手に呼んでいる。頂上に登るにつれだんだんとスピードが減速していく。それに負けじとギアをガチャンガチャンと下げるのだ。

農道まで駆け上がれば、ここからは信号も無いボーナスステージである。

「やっぱり芸人のフリートークは面白いなぁ」
ラジオに耳を傾ける余裕も出来て、まだ朝は肌寒い農道の一本道をフルスロットルで駆け抜ける。

 ボーナスステージも終えだんだんと会社に近づいた。今度はくねくねの緩い下り坂が続く。

さぁ、最後の難所は『運命の分かれ道』だ。

Aは信号があり赤信号の度に軽い渋滞が出来る。
Bは信号は無く交通量もない。しかし、合流地点でタイミングが悪いとAの渋滞していた車達が一気に流れて来る。
無難にAを攻めるか?はたまた、ギャンブル性の高いBを攻めるか?

「朝からゴミ出しをしたから答えはBだぁーーー!」(謎の自信)

ステージクリア!!

私は、勝利のウイニングランかの如く大島大橋を汐風に当たりながら爽快に走る。

間もなくゴール

記録は、きまってジャスト30分である。








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