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中島京子「夢見る帝国図書館」感想~心理がわれわれを自由にする~

私は 図書館が好きだー。

比較的に近所にあるので積極的に通っている。
図書館が税金でまかなわれていることは知っていたけど、図書館の成り立ちは知らなかった。

本書で知る。
日本で最初の図書館エピソードすなわち図書館の歴史を知り、
樋口一葉、谷崎潤一郎、菊池寛、芥川龍之介も図書館に生き生きと足を運ぶ姿が眩いのも。

そして図書館が樋口一葉に恋をしたり、
宮沢賢治が生涯引きずる別れをするのも図書館。

図書館エピソードを史実と虚構でバランスよくみせ、ホントにあったのではと思わせる話が盛りだくさんで楽しい٩(ˊᗜˋ*)و

目からウロコだよーん❤️
図書館はじめて物語と思いきや!
それだけではないのが本書の魅力❤️

<簡単あらすじ>
作家のわたしが、白髪で小柄な頭陀袋めいたスカートを履いた喜和子さんから「図書館が主人公の小説を書いてみるっていうのはどう?」と提案される。やがて図書館の歴史と喜和子さんの人生が交差する。


面白かったー♡
大好きな作品になったよ。

戦後、駅で迷子になり、ゲイカップルに保護され上野のバラックで何年か過ごす喜和子さん。
その時のお兄さんのひとりが絵本を書いていた。

お兄さんの絵本はどこに?
喜和子さんが迷子になったのはなぜか?

喜和子さんの人生を紐解くことで見えてくる。

喜和子さんの人生を通し、本書の中で私が好きだったのは、母と娘のわかりあえなさを描いているところ。

昨今は、母と娘の話がたくさんありお腹いっぱい気味でしたが、本書の描き方が好きだった。

オペラの「魔笛」を題材にしてみせる。(←母の支配から抜け出して幸せになる娘の話)

そして、「魔笛」で母と娘の話を読み手に最後に納得させるのですよ。
「魔笛」をちゃんと観たくなった。


図書館の歴史物語から、男尊女卑、女性軽視、性的マイノリティ...。
あらゆる視点から、ごちゃごちゃしないで読ませてくれて知的好奇心をくすぐりすばらしやー。

国立国会図書館東京本館の図書カウンターに刻まれた言葉。

真理がわれわれを自由にする。

まさしく真理がわれわれを自由にする物語をみせてくれた一冊。

#読書の秋2022 #夢見る帝国図書館


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